前回のお話のなかで、幼児期の満たされていない欲求を、無意識の内に似たようなジチュエーションを再現して欲求を満たすお話をしました。この話には、ふたつの重要な問題が潜んでいます。
ひとつは、再現性
もうひとつは、メリット(見返り)
「再現性」と「メリット」は、人生を決定づけるキーワードです。
人間がすることなので、ビジネスでも、集団においても、命運を決定づける要素として影響します。
アサーティブで成果を求めるなら、アサーティブ名繰り返しが実行されている必要があります。
ノンサーティブな行動が繰り返されていたら、いくらアサーティブの知識があってもアサーティブなスキルはないのと同じです。再現性とは、繰り返し何度も行うことです。
成果をあげるのに必要なことが繰り返し行われるほど成果はあがります。
成果に関係のないことに繰り返し時間を使うと、成果は遠のきます。再現性の典型がルーチンワークです。
たとえば新店舗展開が著しい会社があります。どうしてあんなに店舗開発が進むのか、儲かっているのかなと疑問に思います。確かに資金力もありますが、ぞれ以上に店舗開発をルーチンワークしていることで可能にしています。
出店の勢いと収益性のバランスを崩して失敗することはありますが、ルーチンワークにしてしまえば店舗開発そのものは難しくないのです。
逆に収益性が良くても、店舗開発をルーチンワークから外すとなかなか進まなくなります。
人間は、意識していることをします。
人間は、得意なことをします。
人間は、関心の高いことをします。
必要なことがこのなかにあれば、成果はあがります。
必要なことが入っていないと、困ったことになるのは明白です。
人間の行動には、もうひとつ重大なキーワードがあります。
人間は、メリット(見返り)のあることします。
ですから、企業活動のなかに、自分にとってメリットのある行動がないと、行動が起こりません、会社で働いている人のメリット(見返り)と言うと、なにが浮かびますか。
給与、昇級、福利厚生、やりがいなどが浮かびます。
しかし、それだけではありません。
ビジネス脳では、想像もしていない見返りを求めているひとがたくさんいます。
なぜ、過度の飲食、拒食、喫煙、無謀運転 問題のあるコミュニケーション・・・・、
ひとは、意識や理性のレベルでは、自分にとってよくないと判っていることを繰り返すのでしょうか?
そこにはメリットがあるからです。
たとえば、前回お話したように、幼児期の欲求不満を解消する」というメリットもあります。
「幼児期の欲求不満解消>給与」の場合、給与があがってもモチベーションがあがりません。ですから、管理者は、個人個人の求めているメリットを知る努力が不可欠です。知った上で、それがどんな影響を与えているか知ることは不可欠です。
たとえば書類の報告が遅く、そのために上司から繰り返し叱られているとしたら、遅れる事で見返りにメリットを獲得している可能性が高いのです。
繰り返し事故が起こる場合、繰り返し退職者が出る場合、繰り返しクレームが出る場合、そこにどんな見返りが生じているのかを知る必要があります。なぜなら、繰り返すべきことを間違えていて、してはいけない繰り返しをしているからです。職場に不適切な見返りを持ち込んでいるからです。
成果のあがることを繰り返してくれれば、飛躍的に成果はあがります。
成果をあげる力がないわけでなく、求めている見返りが間違っているから成果があがらないのです。
その証拠に、目標を達成について、金銭的なインセンティブを用意すれば達成できるかというとそうはなりません。
それを能力の不足と認識する場合が多いのですが、必要な能力が磨かれないのは、求めている見返りが違うからです。予想もしていない見返りの獲得に精を出しているので必要な能力が磨かれないのです。
普通、問題点が判っていれば、改善に向かいます。
しかし、なぜこのような結果になりましたか?」と問いかけても、繰り返し繰り返し「判っていたのですが、放置してしまいました」と報告する方が少なくありません。
なぜ放置しているには理由があります。
「改善<個人特有のメリット」の状態にあるからです。人間は、自分に見返りのないことはしないものです。
たとえば、台所で雑に包丁を扱ったために、指を切ったとしたら、次からは慎重になります。
煮えたぎったやかんに触れたためにヤケドしたら、次からは慎重になります。
これがマネジメントの基本です。こどもでも実行していることです。
ところが、普通にはありえないことを繰り返す人がいます。
? >事故 の場合、個人特有のメリットが事故の苦痛を越える場合には、事故は何度でも繰り返すということです。
事故や様々なトラブルが繰り返し起こる場合、同じ危険が潜んでいます。
当人にすれば、意識や理性のレベルでは、望ましくない結果になるとわかっていても、他の何かでは、失敗を続けるだけのメリットがあるのです。
結果的に見て、人はうまくいくことだけをしますから、失敗には何らかのメリットがあるのです。
不注意ですまされない危機がそこにあることを忘れないでください。
それにしても、個人各自が意識していないメリットを第三者が知ることはできるのでしょうか。
知る方法はそれほど難しくありません。
「再現性」に注目したら見えてきます。
毎日なにをしているかに注目したら判ります。
「成果をあげるために必要なことを優先的に繰り返し実行しているか」に注目してください。
「成果にl間計のないことを繰り返し実行している」のは、個人的な見返りに気を奪われています。
いくら会議をして目標を確認しても、その場を離れた瞬間に、たとえば幼児期の欲求不満解消を見返りに働いていたとしたら、正常な企業活動が行われません。
このような人の下にいる人は不幸です。獲得できるスキルが獲得出来ないままになるからです。繰り返しなにを実行しているか、その量と質に注目してください。
量が少なく質も雑なら、間違いなく、求めるべきでない見返りを求めています。
会社として即応できるか、できないかは別にして、見返りに、給与ややりがいを求めるのは健全です。
本当のところ、見返りに、給与ややりがいを求める人ばかりだと、会社は応えることができるようになります。成果の出る仕事の仕方は、目標達成するために、うまくいくことを繰り返し実行することです。
これを「継続は力なり」と言ってます。
再現性、繰り返し行動する、継続と力なり、つまり、なにをルーチンワーク(ルーティンワーク)にしているか、なにを優先順位の上位に持って来ているか、仕事の結果はこれで決まります。
だから、自分の部下がなにを見返りに仕事しているか、知りたければ、ここを見極めたら判ります。一般に女子社員などは毎日ルーチンワークび徹していることが多いものです。
しかし実態はトップも上級管理者も、相当部分ルーチンワーク化しているものです。意識的にしていない場合も多いものですが、必要なことを欠かさずに実行することで成果を飛躍的にアップできます。毎日コツコツと積み上げていかないと成果が出ないことを観ていると、未来が見えます。
● ? >実質的な見返り
● ? <実質的な見返り 「再現性」と「メリット(見返り)」
継続とは力なり、
なにを継続しているか、しっかり見直したいものです。
ポイント
目的と不釣り合いなメリットを求めて仕事をしていると、成果は上がらない。成果をあげるには、求めるメリットを最適化する。
メリットを最適化してメリットが得られることを優先的に実行する。ルーチンワークにしてしまえば脱線しにくい。 |