ここまでアサーション権について説明してきました。アサーション権の理解が必要不可欠とする最大の理由は自分も相手も傷つけないコミュニケーションをするためです。
自分も相手も傷つけないコミュニケーションを、よりポジティブな表現をすると、WIN-WINな関係を実現することです。
特に現在のような社会情勢では、WIN-WINを志向することは欠かせません。
WIN-WINというのは簡単ですが、なかなか難しく、お客様との関係でも敵対的になる場合が多いのが現実です。
その理由は、どうしても自分の欲求や集団の欲求に注目してしまうためですが、結果的にはうまくいく商談でもまとまらない場合に方が多いものです。
WIN-WINはテクニックでなく、在り方ですので、本当にWIN-WINをめざす気持ちがないと意識することもできないものです。
私たちは日頃から気にかけている家族との関係ですら、WIN-WINから離脱する傾向にあるので、注意が必要です。
出かけていった子供が帰ってこない。親は心配する。いろいろ想像する。心配した挙げ句、知り合いに電話して確認する。緊張と疲労がピークになろうとした矢先に帰宅する。安心すると、抑えつけていた不安が怒りに変わって解放される。
子供を罵倒する。いま何時だと思っているのだ。連絡くらいしろ、なにをしていたんだ。バカヤロー、帰ってくるな!
叱られることを理不尽と思った子供は反撃する。誰がこんな家に帰ってくるものか。
互いに気持ちとは裏腹な言葉が飛び出す。相手の感情に注目せずに、自分の感情に注目して、とるべき行動を忘れる。
コミュニケーションのまずさから不要な不安を引き起こしたその結末が、コミュニケーションの断絶によって、感情の表現と適切な行動が打ち切られる。
残されたのは「感情的な行動」という感情と行動が整理されいない混沌とした行動です。
幼いこどもと母親。お父さんを迎えに行った場所に、お父さんはいない。待ったけれど来ない。こどもは不安と寂しさから泣き出す。
この瞬間、母親の取る態度によって、こどもは救われる。
「うるさいわね。すぐに来るから泣かないの」と言えば、子供はさらに泣く。自分の気持ちを判ってもらえない断腸の思いから、今度は母親に向かって泣いている。
「悲しいのね。大丈夫よ。もうすぐ来るからね。お父さんがいないから、悲しかったよって言ってやろうね。」子供は頷きながら泣き止みます。
自分の感情を判ってもらえて安心したからです。
前者の母親は、自分の感情に注目しましたが、後者の母親はこどもの感情に注目しました。その結果、相手の行動も、自分の行動も正反対です。
自分の行動を変えれば結果はまったく違ったものになる。
実践サーティブがもっとも伝えたいことは。この違いです。
ゲンキポリタンの実践サーティブ「日本全国男前(ハンサムウーマン)プロジェクト」の男前(ハンサムウーマン)とは、自分の感情に注目しないで相手の感情に注目する。そして自分の行動に注目する点に、男前を見いだします。