健全な仕組みを持つ家族とは問題を乗り越える力を持った家族です。
家族問題のない家族はないと言っても過言ではないでしょう。ないようでもあるのが家族です。
大事な点は、問題が起こったときに、上手に対処できる仕組みがあるかどうかという点です。健全な仕組みがある家族には、それができます。
そのプロセスは、こどもから大人へ成長するプロセスを通じて、じぶん力を身につけ、コミュニケーション力を身につけています。
共同体には、大きなものには国家、小さなものには、夫と妻。ふたりの共同体があります。
共同体に属さずに生きて行けない人間にとって、アサーティブな自分を学ぶ場は、家族にあります。
家族に限らず共同体は複数の人間がコミュニケーションする場です。
当然、予測できる問題、予測できない問題が入り乱れて発生してきます。問題のない共同体はないのです。
夫と妻のふたりであっても予測できる問題、予測できない問題が起こります。それらを乗り越えていく力がじぶん力になっていきます。
人間力とは、曖昧な表現ですが、共同体に属する人間にとって、コミュニケーション力こそ人間力と言えます。
ですから、人間力を磨く場所、それが家族なのです。
私たちは、幼い頃からコミュニケーション力を家族という仕組み(システム)から学んでいきますが、仕組みには機能してる仕組みもあれば、機能しない仕組みもあります。
仕組みが機能している健全な家族では、家族に目的が あり、活動の経過があります。その経過にはうまくいってることや問題もあります。問題を改善することについて、対策を講じて実行しようとします。つまり目標ができます。目的を果たすために目標を持って活動する生活習慣から、問題を乗り越え改善していくスタイルを学習していきます。
これと比べると、仕組みが機能しない家族では、目的はあり経過があるものの、問題があっても改善しょうとしません。改善する気持ちはあっても実行が起こらないのです。仮に実行しても問題の前に頓挫し放置します。問題解決は目標にならず、願望で終わります。
さらに、ひどい家族では、目的もなくただ経過があるだけになります。まるで家族は烏合の衆です。このような家族から学ぶことはありませんので、問題があっても乗り越える力が身につきません。
健全な家族からは、生涯の重要なスキルを学びます。家族こそライフスキルの宝庫です、
目的、境界線、ポジティブであること、ルール、アサーティブ、会話のありかた、自立を学びます。
健全な仕組みは機能している家族からは、上記のことを通して、自立を学んでいきます。
■家族から獲得する自己肯定感
自然界の生態を観ても、人間の身体を観ても、そこには単体で生存していたり、機能しているわけではなく、相互依存の関係にあることが分かります。
つまり、自分自身を含めて、私たちの世界は「仕組み(システム)」になっています。
仕組みですから、正常であって普通です。
どこかひとつでも不具合が生じれば、なにかに影響を与えますが、それを未然に防ぐために、負を補完するのも仕組みに組み込まれています。
しかし、限度を超えたり、因果関係に致命的な問題が生じると仕組みが保てなくなります。
私たちは、あらゆる機会を通じて、仕組みや因果関係について学ぶことができますが、もっとも早く、身近に、学ぶ場所が「家族」なのです。
自分自身が一員であること、他家の一員として過ごす体験も滅多にないので、客観的に観察することは難しいのですが、実際には因果関係からダイレクトに影響を受けます。
■ライフスキルが育つ健全な家族
健全な仕組みを持つ家族とは問題を乗り越える力を持った家族です。
家族問題のない家族はないと言っても過言ではないでしょう。ないようでもあるのが家族です。
大事な点は、問題が起こったときに、上手に対処できる仕組みがあるかどうかという点です。健全な仕組みがある家族には、それができます。
家族内に問題児が出たり、問題が解決できないのは、仕組みに問題があるからで、因果関係に破綻箇所があります。
仕組みに支障が起きる考え方や行動が誰かにあるからで、それは特定の個人だけに問題があるからでなく、因果関係で起こっている場合がほとんどなのです。
たとえば息子が問題を起こす。それは本人だけに原因があるのではなく、母親との関係性で問題がある。同じ母親と娘の間では何の支障もない。すると母親は自分に問題があるとは思えない。息子との関係性の原因は、実は母親と母親の両親との関係性が影響していたというようにです。
家族とは、そういうものなのです。それが良い、悪いではなく、そういう問題があったときに、「息子が問題」で決めつけたり、終わらずに、解決に向けて乗り越えていく力を持っているのが健全な家族なのです。
■受容されるとライフスキルは育つ
ライフスキルの基礎は「自己肯定感」です。
自己肯定感が脆弱だと、ライフスキル全体への影響力の強い自己認識スキルが、身につけるのが難しくなります。
自己認識スキルは、自分の感情や考えを認識できるスキルですが、安定して自覚するには、率直、誠実に受け入れる力が欠かせません。
ありのまま自分を否定することなく受け入れる勇気がないと難しくなります。
自分の扱い方は、他者の扱い方の基礎になり、自分を信頼できず大切に扱えないと、他者に対しても、自らが比較するため、他者も比較すると思い込みが働き、意味もなく競争的になり、否定的になると共に、他者からの誠実な批判も率直に受け入れることが出来ないので、人間関係に影響します。
自分の基礎である「自己肯定感」は、家族から、尊重されて、大切にさえることで身につきます。
しかし、親となる人も自分の未解決な問題があると、親の役割を十分に果たせません。不幸にして受容されなかった経験をした場合には、受容される経験をやり直すことが欠かせません。
人はそれを恋愛に求めることが多いのですが、恋愛の中心は「自立」と「励まし」にあるもので、間違うと依存的な関係に陥り、満たされないと恋愛を繰り返し、その都度、依存による満足を得ようとして、ますます自己否定を深めることにもなりかねません。
受容の体験は、多人数で構成している共同体、グループ、チーム、会社などを通して獲得する方が適していて、その方が肯定感もしっかり身につきます。
■家族から学ぶこと
・目的 |
家族の目的とは、たとれば、家族ひとりひとりが健康で幸福になるために、なれる最高の自分になって、人生を楽しむ。表現は違っても、こういう感じのものが多いでしょう。
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・境界線 |
人と人の間には境界線があります。家族であっても所有物ではありません。個人を尊重して干渉しない。 |
・ポジティブであること |
問題があるのは当たり前として乗り越えて行く。「その通り、しかし、もし」の構文を使わない
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・ルール |
目的を前提に問題解決を実行する
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・アサーティブ |
率直、誠実、対等、自己責任を忘れず自己表現していく |
・会話のありかた |
率直に感情を言葉で表現できる。
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・自立 |
自分にできることはする。必要な助けは求める。なれる最高の自分になって家族のできないことは助け合う。
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■目的
目的と目標を持って生きる人、目的を持って生きる人、目標を持って生きる人、目的も目標もなしに生きる人。4種類の人がいますが、なにが違うのか、それがどう影響するのか。
その最大の違いは、主体性と困難や問題を乗り越える力にはっきり表れます。
<目的>と<目標>を持って生きるとは、主体性を持って生きることに他なりません。
<主体性>を持つと、自分の人生は<自分の選択と行動によるもの>と、自然に自覚するようになります。
つまり主体性があると<目標>、<計画>を策定する必要を知ります。併せてその達成に努力する<マネジメント>の必要も知ることになります。
計画的な行動から<プロセス>が生まれますが、単なる経過ではなく、自分が作り出した経過であると、<原因と結果>の<因果関係>を知ります。
因果関係が判れば選択した<責任>を果たせるように必要なスキルを身につける努力、工夫の必要を自然に学びます。
それをしても出来ないこと、自分の限界を自覚するので、必要な助けを求める知恵も身につけます。
これらはすべて<自立>のスキルであって、目的を持った家族からは自立への関心が強くなり、自然に身に着けようとします。
目的を持ち、自立した家族は結束力が強く、ひとりひとり尊重して、能力の開発と発揮を期待する一方、個人が補い切れない不足を互いで助け合います。
このように、目的を持った家族の行動から自立の原型と役割分担(チームワーク)の関係性を学び、さらに自立の必要と尊さを学びます。
■境界線
親子はもっとも密接な関係にあります。それにしても一致すること、不一致なことが出てきます。
しかし、親子は互いに所有物ではありません。
もし、互いを一個の個人として尊重していない場合には、一致させることを強要します。
逆に、互いに一個の個人として尊重しあう文化が家族内あると、不一致の調整、をしょうとします。このような体験を通じて<境界線>を知り、どう扱うかを学び、妥協案の提案と合意、譲れない価値観の違いを認めるスキル、WIN−WINの関係性を学んでいきます。
特にノーを言う、ノーを認める、ノーを調整する、ノーを扱うスキルは大変重要で、自分と他者、他者と他者の境界を扱うスキルになり、コミュニケーション・スキル、ストレス対処スキルになります。
境界を扱うスキルは、家族外の人と接したときにも、はっきり出ます。
■ポジティブであること
ポジティブであるメリットは、問題を乗り越えるときに際立ちます。逆にネガティブであることはデメリットになります。
つまり、ポジティブであることは、問題が起こるのは当たり前を前提にしていて、乗り越えることを含んだ考え方です。
それもこれも、目的があるからです。目的があると、どうしたらできるかに注目しますが、ないとただ経過していらことに満足してしまいます。
すると、共感できる考え方に遭遇しても、「その通り、しかし、もし」の構文で実行を拒絶します。本人は「その通り」と肯定しているので、否定している実感が乏しく、理由づけしていることもあって、できない整合性を信じています。突きつめると目的がないからです。
しかし、目的を持った家族の場合、前のめりで「どうしたらできるか」と考えていることが多いので、共感できる場合には、否定せずにダメもとで行動します。うまくいかない場合にもポジティブに対応します。
■ルール
公徳心のない大人、こどもが増えています。国力の低下の最大原因は公徳心の低下にあります。小さくても家族は共同体、ひとつひとつの共同体の公徳心が弱くなれば、国の公徳心が弱まり、国力は低下します。公徳心はいきがいと強く関係しています。
分かりやすくするために、家庭を会社に置き換えてみます。
会社が働いている人にしてやれることは、「ふたつ」です。
・経済的な満足
・自立(なれる最高の自分)
ひとつは、経済的な満足、それもできるだけ多い給料を払うことです。それは働いている人の希望だからです。
もうひとつが自己実現です。自己実現というと、迷ってしまう人も多いと思います。はっきりした目的を持っていない人がたくさんいるからです。
自己表現を違う表現をすると、自立することです。しかし、これではますます分からなくかも知れません。自立のイメージが人によって違うからです。自立とは「なれる最高の自分」になることです。
評価(経済的な満足×自立)=働きがい
モチベーションを高めるにはどうしたらいいのか。よく問題になるテーマですが、働きがいのある職場にすることが先決です。働きがいのない職場でモチベーションをあげるのは並大抵ではありません。
働きがいの話になると、まず給料、福利厚生がテーマになります。家族に置き換えると、裕福な暮らしです。
しかし本当はそれ以上に、どんな目的で仕事をしているのかが大切であって、働きがいのある職場にするには、目的を共有するほうが早いのです。
家族の場合も同じです。裕福なのに幸福でない人はたくさんいます。生き甲斐があってこそ楽しいのです。
裕福であること、給与は多いほどうれしいものですが、評価にふさわしい報酬であってこそ働きがい、生き甲斐につながります。しかも、自立ができていないと、身を滅ぼすこともあります。
逆に、最高の自分になるように切磋琢磨したうえで、ふさわしい評価と報酬を得た場合には働きがいを感じます。
経済的な満足も、なれる最高の自分も、ふさわしい行動が評価されてこそ、働きがいになります。評価をするには基準がないとできません。その基準になるのが目標です。
では、働きがい、生き甲斐とは具体的にはどういうことでしょうか?
働きがいとは「目的(ゴール)」とリンクしていて、目的そのものです。生き甲斐も同じです。
目標は、ビジネスなら「これだけ売る」、スポーツなら「優勝する」ことであって、評価の基準です。 目的は「お客様に喜んでいただきたい」「優勝してファンを喜ばせてあげたい」ことであって、働きがいです。
生き甲斐も同じです。「家族を幸せにしたい」「パートナーを安心させさい」などです。
目的=ゴールであり、達成したいテーマ
目標=目的を達成するための数値目標(評価の基準)
働きがい=目的
目標はあるけれど目的のない会社が、ものすごく多いのが現実です。
社訓は額に入れてあるけれど、実際の目的になっているわけではない。目標は達成しても、達成しても終わることなく続きます。
やがて疲れてきます。目的はそれを支え太陽と水の役割をしています。
前置きが随分ながくなりましたが。ルールとは、生き甲斐、目的、目標を正常に動かして行く基準です。快適に自立と相互依存する基準です。
家族という仕組み(システム)が持っている因果関係を最良の状態にするための生命装置です。人間の身体というシステムに置き換えると血管のような役目をしています。血管には血液が流れていますが、血管にトラブルがあると、血液は正常に流れなくなります。血液とは人間に置き換えたら「心」です。
■アサーティブであること
アサーティブとは、自分も相手も同じように大事にしながら、積極的に自分を伝えるスキル。
率直、誠実、対等、自己責任を忘れず自己表現していく力の源泉は、互いの違いを尊重することから始まります。
WIN-WINなコミュニケーションを実現する方法は、家族ひとりひとりを大事にすること、日常的に生じる問題解決から学んで行きます。感情的にならずに物の見方を変えるスイッチチェンジができるのも、家族をどうしたいのか、目的があるからできることです。
現実の社会は、それぞれの立場で主張します。正しい、間違っていると安直に判断できません。正しいから絶対というわけにもいかない場合があります。
見えない因果関係や、複雑な事情があります。コミュニケーションに混乱が生じることも少なくありません。さまざまなプロセスがあります。しかし、どのような状況やプロセスにあっても、問題を乗り越えていくことが欠かせません。そのスキルを身につける場所が家族なのです。
家族間では、さまざまなことが起こりますが、表面的な事象だけをみて、白黒つけるのは大変危険です。問題の本当の原因はなにか、因果関係を整理して、根本的な問題を抽出、客観的に判断して問題をクリアしていくプロセスが欠かせません。
家族は学習する最適な場所なのです。
しかし家族によっては、物事の仕組みを学べない家族もあります。
こどもはトライ&エラーを重ねて成長しますが、心ない親は自分の存在感を見せつけます。こどもは萎縮し親にはかなわないと思いますが、このように育てられたこどもは、やがて支配的になって行きます。よいコミュニケーションとは、支配、被支配の関係だと思い込んでしまうのです。ノン・アサーティブ(非主張的)、アグレッシブ(攻撃的)なスタイルが身についてしまいます。
こどもをアサーティブな人に育てる家族は、次のような権利を年齢にかかわらず全員に認め、対等、自己責任を日常化します。
1.自分の行動を自分で選択して実行する権利
2.他者と違う自分の価値観を大切にする権利
3.(知らない、できない、分からないなど)不完全であってもいい権利
4.論理的な説明できなくてもいい権利
5.自分の意見を主張しない権利
6.間違いや失敗をする権利とその責任を果たす権利
7.自分の考えや意見、行動を変更する権利
8.他者の困難に対して援助の選択を自分で判断する権利
9.周囲の期待に応えなくて良い権利
もし、不幸にしてノン・アサーティブ(非主張的)、アグレッシブ(攻撃的)な家族に育った場合は、積極的に自己表現をトレーニングするようにしましょう。
■会話のありかた
会話のありかたはアサーティブであることにつきます。アサーティブな会話のコツは、私とあなたを明確にすること、そして感情的にならないことです。
私とあなたを明確にするとは、英語で考えると分かります。
私はI、あなたはYOUというように、主語に私、あなたを使います。ところが日本語の場合、どうでしょう?英語程頻繁に使っていません。個人レベルになると、一層曖昧です。
「私は、○○○○○○○○○だと考えます」こういうとどうでしょう。
私とあなたの関係性がはっきりします。つまり互いの境界線が自然に意識できます。
感情的になる理由の大半は、自己肯定感が脆弱なことです。会話は自己評価がアウトプットしたものだと考えましょう。
寛恕的にならないと自分のことが話せない人がいますが、親の会話スタイルを真似していると言えます。そんなこどもにしてあげると可哀相なので共依存にならない注意が必要です。
もし、境界線を意識するようにします。境界線を意識できるようにする方法は、次のようなスタイルを通してライフスキルを身につけるようにします。
●自分と周囲の人を尊重し励ます/
コミュニケーションスキル
●プロセスに注目する/自己認識スキル
● 決めたことは責任をとる /意志決定スキル
● できるまでやる/意志決定スキル
● いまこの瞬間に集中する/意志決定スキル
● 理想と現実の差をうめる目標を選ぶ/ 目標設定スキル
● 感情的な行動をしない/ストレスマネジメントスキル
どれでもひとつでいいので、習慣化すれば境界線が見えてくるようになり、コミュニケーションの大切さが分かり、会話もアサーティブに変わってきます。
スタイルを身につけるには、自分がしたい何かにチャレンジするのが早道です。つまり目的と目標を持ち、その達成に取り組むスタイルを意識することです。
会話の仕方の練習も大切ですが、形ばかりを真似るより、なぜするのか、目的があるほうが、練習も効果的で、長続きします。
■自立
じぶん力とは、自立力です。
自立は、孤立ではなく、依存できる力です。
つまり良い人間関係を創れる力を持った状態です。
言い換えれば自立とは、依存力と言えます。
上手な依存と下手な依存があることを意味します。
上手な依存は、自分と他者の限界を知る。できないこととできることが判った上で、自分で責任を引き受けることを前提に助けを求めることができます。
下手な依存は、まったく逆さまでです。
自分と他者の限界を判らずに、、できること、できないことが判らないままに、
自分の責任を引き受けることなく、助け、サポートを心理的なコントロールで強要する、あるいは他者が他者の責任ですること、できることを勝手に引き受けます。
なぜそんなことができるのか、幼児期の万能感が影響しています。
幼いこどもは自分で生きていけません。保護者のケアが必要です。
泣けば親がサポートしてくれます。自分の思い通りになると思い込んでいます。
健全な子育てでは、成長と共に、何でも思い通りにならないことを知ります。
思い通りになるのは、自分の選択と行動だと気がついていきます。この段階で自分と保護者を含む他者の間には「境界」があることを知ります。
自分にできることを重ねるスタイルは、トライ&エラーを繰り返すことで、やがて、もっとできるようになりたい意欲を育みます。
このエラーをどう判断するか、自分を肯定する力が強いほど意欲的になり、克服することで、自分はやれる「自己効力感」が強くなります。
逆に否定感が強いと、エラーを致命的に受け止めて萎縮してしまい、トライを怖がるようになります。トライしなくなるので、否定感がまとわりついたままになります。
しかし、一方では万能感もまとわりついたままです。この矛盾が自分を苦しめます。万能感は自分には気持ちのいい感情ですので、万能感を維持することは否定的な感情を軽くします。
しかし万能感にはトライで獲得した自己効力感と違い根拠がありません。トライすれば挫折によって打ち砕かれる可能性があるので、身動きできなくなります。
そこでトライしないように、トリッキーな言い訳を重ねて、ますます自分に否定的なります。否定的になるほど無意味な万能感を強固にしようとします。
葛藤は深まります。負の感情を預金しているようなもので、年齢と共に息苦しくなってきます。やがて引き出すときが来て、大きな挫折を味わいます。
挫折は、女性なら、異性問題、家族、子育てで問題が出ることが多く、男性は異性問題、遊興、仕事で表面化します。
健全な社会で、大人が周囲の人を保護者のように扱えば、周囲の人は閉口します。
日本では、他人の迷惑を顧みない無責任さで、コミュニティーが崩壊する傾向にありますが、自立することを目的にしていないために、自立できない人が増えている証明と言えます。
もともと境界が曖昧だった社会に、誤った自由の意識が入り込んだために生じた結果といえます。社会全体で子育てに失敗していることが最大の原因といえます。
家族から学ぶ最大のテーマは「自立」。
家族の仕組みが機能していると、自分の心身を「自律」することができるようになります。
家族の仕組みが正常に機能させるには。両親(夫と妻)のシステムが正常に機能していることが条件です。互いの自分の役割を正常に果たす目的を持っていること、目的を果たして行こうとするのがはじまりです。
■問題を乗り越えるプロセスを避けない力
健全な仕組みがある家族には、問題が起こったときに、上手に対処できます。
人は万能でもなければ、完全であるはずもない。不足するものをいっぱい抱えながらも、できることをするしかない。そう思ったとき、知恵と工夫をすれば、想像以上に、できることがいっぱいあることに気がつきます。
いいことも悪いこともある。嘘もあれば裏切りもある。<自他肯定の構え>とはそれらを等身大で受け入れて、さらに乗り越えていく力、目的をもった生き方<自立>ができる力の土台は、家族が問題を乗り越えていくプロセスを通じて見につけます。
<自立>を支える力、<目的><境界線><ポジティブであること><ルール><アサーティブ><会話のありかた>・・・・もプロセスから学びます。
問題があるのが悪いのでなく、問題があるから学べる。そのためには問題から逃げる、問題に挫折するのでは困るのです。
トライ&エラーからは同時に人のできること、できないこと、人それぞれの限界を客観的に知る事ができ、自分もOK、他者もOKと等身大の人間を受け入れる力が身につきます。
また、トライ&エラーの体験からエラーする前にできることをしておく危機管理能力も身につきます。
完全ではないから努力することが楽しい、互いに完全でないから人とコミュニケーションすることが楽しい。自他肯定の構えで行うコミュニケーションは、相手に不快感を与えることは少なく互いの信頼感を高めます。しかし、完全でないとは、裏を返せば常に信頼する危険があることを含んでいます。つまりそれも限界のひとつなのです。
できるまで、トライ&エラーが繰り返せる家族、それが健全に機能している家族であって、<自立>・・・・なれる最高の自分になる力は、そんな家族から学べます。
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