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メモリーズ

以前、カナダのバンクーバーを歩いていた時のこと。
その時はバンクーバーでも滅多にないというドカ雪で道は凍り付いていて歩くのも大変だった。たまたまハーブティーを出している小粋なカフェがあったので、立ち寄った。偶然にも店内にはエルヴィスの歌が流れていた。注文を聞きにきたウェイターは『THE KING』という名のケーキを薦めた。どういうものかと尋ねたら、「見たらわかる」という返事。店内には次々とエルヴィスの50~60年代の歌が流れていた。
しばらくしてウェイターはやたら大きく、いかにも甘そうなケーキをもってやってきた。
彼はそれをテーブルに置くより先に、笑顔で「HAPPY BIRTH DAY!」と言った。
1月8日だったのだ。

それにしてもコチラがエルヴィスを好きだと言ったわけでもないのに、この始末。誰彼なしにこの調子というのは「あっぱれ!」のひとことに尽きる。
BGMこそエルヴィス一色だったが、他にはいっさいエルヴィスに関したものはない。
エルヴィスを商売に利用している様子はなく、店のオーナーは純粋にエルヴィスが好きだったのだろう。

毎年1月8日になると、そのことを思い出す。小さな出来事だけど強い記憶。
エルヴィスは直接関与しなくても、こんな風に世界中にいろんな形の思い出を作っているのだなと思うとその存在の偉大さに敬服せざるを得ない。
というわけで、今週はコレ!
<メモリーズ>


ハッピーバースデーとハーブティとケーキに火をつけてもいい。
ケーキがなくても自分のココロの中でマッチをすってもいい。
ワインでも、水でもいい。
どんな形でもいいから
しばし空白の時間。

生きていたらいま何歳なんて、野暮なこと言わないで、
あなたの大好きなエルヴィスをお祝しましょう。

あなたはどんなメモリーをもらいましたか?

目を閉じて、耳を傾けてーーー
さあ、
あなただけのエルヴィス・プレスリー物語。
ハッピー・バースデー!


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