傑作。雨のシーズンにふさわしい曲だ。
天気の変化のような様のオンナの正体を「カミナリ」にしたポップな楽しい曲。
『夢の渚』の<僕の天使よ/Angel>を思わせるほどのバラード風の甘いささやきからいきなり<ハウンド・ドッグ>に突入するようなコントラストをミディアムなアップテンポでまとめた快作。
いまでも世界的に支持が高く、現役のヤングにも多く愛されている。特に女性に受けがいい。
R&Bの色が濃いブラッキーな<ハウンド・ドッグ>の「まるでお前は猟犬だぜ!」と違い、かなり明るい陽射しに覆われているような気がするが、結局はここでのお相手はDEVIL IN DISGUISE 「カミナリ」だったという次第。エルヴィス映画用の曲を創ってきたチームのこれは会心の一撃だ。
この曲はボクにとってのロックンローラー・エルヴィス最後の曲だった。なぜかその記憶は変わらない。この曲が聞こえてくると必ずジャケットが浮かぶとともに終わりという言葉が浮かんでしまう。
リアルタイムで聴いた唯一の映画用でなかった曲だ。ジャケットに使われたのは映画<ヤングヤング・パレード>のスティールだ。ボクには完全無敵のロックンローラー、エルヴィスの勇姿だ。
裏面の<恋のあやつり人形>もオーティス・ブラックウェルの作品だけあって、しっかりしたポップな曲で「シングル盤」らしいコンセプトは楽しい。
この曲に続いて<ボサ・ノヴァ・ベビー><ラスベガス万才>など新曲、<サッチ・ア・ナイト><いかすぜ!この恋>など古い曲がとっかえ、ひっかえチャート・インした。中でもお蔵入りしていた<クライング・イン・ザ・チャペル(60年録音)>が出た時はびっくりした、なんという情感。うまい、すごいと、でもボクにはなぜか不完全燃焼だった。リアルタイムのリリースではないのが不満だったのだ。
期待した。きっともうすぐやってくれる、ロックンローラー、エルヴィスがヒットチャートに登場するぞと。でもボクのイメージしたロックンローラー、エルヴィスは遂に帰ってこなかった。
なにもそんなにこだわらなくてもいいのだと思う。しかし近所のおニイちゃんで、野球がすごく上手だだったりして、その人が知り合いだというだけで、みんなに自慢したくなる気持ちってあるじゃないですか?その自慢のおニイちゃんが肝心の野球しないものだから、自慢できずにイライラするって感じってあるじゃないですか。それですよ。こっちの勝手なんですけね。ーーーーーーー知って間もない頃ですよ。もう自慢したくてしたくて。ところがーーーーーヒットチャートはビートルズをはじめとするブリティッシュ勢が我が者顔で往来していた。
おかげでボクは性格がねじれてピエロになってしまった。
このジャケットが大好きです。たった一枚のリアルタイムで聴いた正真正銘のポップなロックンローラー、エルヴィスの45回転のシングル盤。
ボクが初めて買ったジャケットもネクタイもパンツも、このジャケットと同じだった。
天使のような姿の君
天使のように歩く君
天使のように喋る君
でも、わかったよ
君は天使を装った悪魔
そうさ、その通り
変装した悪魔だよ
口づけで僕を惑わせて
だまして、おとしいれた
ずっと嘘をついてたね
見た目と中身が違う君
天使のような姿の君
天使のように歩く君
天使のように喋る君
でも、わかったよ
君は天使を装った悪魔
そうさ、その通り
変装した悪魔だよ
天国にいる気分だったのに
全く驚いたぜ
神さま助けて、気づかなかった
君の瞳の中に潜む悪魔に
天使のような姿の君
天使のように歩く君
天使のように喋る君
でも、わかったよ
君は天使を装った悪魔
そうさ、その通り
変装した悪魔だよ
君は天使を装った悪魔
そうさ、その通り
変装した悪魔だよ
そうさ、その通り
変装した悪魔だよ
* You look like an angel
Walk like an angel
Take like an angel
But I got wise
You're the devil in disguise
Oh yes, you are
Devil in disguise
You fooled me with your kisses
You cheated and you schemed
Heaven knows how you lied to me
You're not the way vou seemed
* Repeat
l thought that I was in heaven
But I was sure surprised
Heaven help me, I didn't see
The devil in your eyes
* Repeat
You're the devil in disguise
Oh, yes, you are
Devil in disguise
Oh, yes, you are
Devil in disguise
1963年5月26日〜28日、ナッシュヴィルBスタジオで録音。サントラ・アルバム『アカプルコの海』のボーナス<がっちり行こう><ラブ・ミー・トウナイト>同じく『キッスン・カズン』ボーナスの<はてしなきハイウェイ><恋のやまびこ>などと共に録音された。この時の録音はエルヴィス他界後1枚のアルバムのまとめられ『ロスト・アルバム』としてリリースされた。
正直なところ響いてくるような楽曲はない。しかしエルヴィスの魅力(歌唱力と声)でかなりのものになっていることも事実だ。<はてしなきハイウェイ>の声に新境地を感じるのだ。いかすぜ!アニキ!!
ギター/スコティ・ムーア、ベース/ボブ・ムーア、ドラムス/D.J.フォンタナ、マーレー・ハーマン、ピアノ/フロイド・クレーマー、テナー/ブーツ・ランドルフ、コーラス/ザ・ジョーダネアーズ。
死後の世界でのラヴ・ロマンスを描いた傑作コメディ映画『シー・デビル』のテーマ曲としても使用された。