『TRUE ROMANCE/トゥルー・ロマンス』が、
そのバイオレンス・シーンの激しさにもかかわらず、若い女性の心をとらえて離さないのは、その無垢さ。
エルヴィスとカンフーしか頭にないような彼と、彼と彼への愛しか持っていない女の子。
世間のみんなが冷たい視線しか投げかけなくても、満面の笑みで「世界一素敵な奴」だと言ってくれる彼。「世界一素敵な奴」だと言って喜んでいた息子を守るために、わざと犯罪組織に悪態をつき星になる父。
目を覆いたくなるような、痛々しい彼女への暴力シーンに、女の子たちは泣く。
それほどまで彼のために生きようとする姿勢に泣く。
血まみれの彼女を抱き寄せ、オレのためにと謝りながら疾走する姿に愛の素敵を見る。住むところさえないような二人にあるのは指輪とタトゥと愛をまとった身体だけ。愛一杯にして身体だけで生きる姿勢が永遠のラブ・ムービーとして光るアラバマとクラレンスの物語。
汗が涙に見える男、エルヴィスは彼に言う。「おまえには負けたぜ。クラレンス」「最高にクールだ。」「俺はおまえが好きだった。これからもずっとな。」彼にはそう聞こえる。キングに存在を肯定されることで彼は永遠に戦える。
世界一の女の子を守るために戦う彼のために、キングはキングと呼ばれるのがふさわしい。彼にいばらの道を乗り越える勇気を与え、奇跡をもたらし、真実の愛を守るために、キングはその任務を全うする。二人の息子にエルビスと名付けられるまで。
そう言えばキングも歌と懐かしい愛と痛んだ愛しか持っていなかったような気がする。
除隊後、グレイスランドの一角にある小さなオフィス。取材陣に初めてプリシラのことをインタビューされたエルヴィスには、少年のような笑顔がこぼれていた。隠せないそれはクラレンス(クリスチャン・スレーター)が父(デニス・ホッパー)に見せた表情と変わらなかった。
<恋はいばらの道を>は『トゥルー・ロマンス』とは無関係だが、これは紛れもなくアラバマとクラレンスの物語。-----そしてエルヴィスが淡い夢を描いた遠いサマー・ディスの歌。
何人いるだろうか?
サテンやレースのしゃれたドレスが着られるのに
粗末な木綿の服を選ぶ女の子は
恥ずかしさを 少しも顔にあらわさず
恋人の傍らに堂々と立てる女の子は
何人いるだろうか?
何年も寒い冬を過ごした後で
冷たく冷めてしまわない心をもつ人は
真の愛は いばらの道を通り抜けてこそ
ゴールドで舗装された道を歩いただけでは
愛は よそもの
心は危なっかしいだけ
真の愛は いばらの道を通り抜けてこそ
長い歳月を 僕たちは
多くの困難を 涙と共に乗り越えてきた
でも それが二人の愛を育んでくれた
いつも 二人は一緒
どんなに強い風が吹き荒れるとも
これまで 一度だって
君の青い瞳に ねたみや
迷いの色を 見たことがない
真の愛は いばらの道を通り抜けてこそ
ゴールドで舗装された道を歩いただけでは
愛は よそもの
心は危なっかしいだけ
真の愛は いばらの道を通り抜けてこそ
おおベイビー
おお真の愛はいばらの通を通り抜けてこそ
真の愛は いばらの道を通り抜けてこそ
キング・エルヴィス・プレスリーが宇宙に帰還後に制作されたエルヴィス映画の最新作『スコーピオン』は劇画タッチの超激写なれど、ブラックユーモアの味つけがユニーク、『サッチ・ア・ナイト』が頭から離れなくなって”うふふ”の破れかぶれ青春リターン・マッチ。
一方青春真只中『トゥルー・ロマンス』はやはり帰還後のエルヴィス映画大傑作。蹴っ飛ばされ、転がって、走って、こけて、痛みも切なさも、それゆえロカビリー。
”監獄ロックこそロカビリー
彼はロカビリーの神だった
タフでツッぱっていて無礼
あの映画の彼はロックを歌いまくって
太く短く生きて散っていく
おれの理想のカッコいい男だ
エルビスは最高さ
おれはおカマじゃないが
エルビスは女より美しかった”
しみじみセリフは、飾りじゃない。ツッぱり野郎の宣戦布告が全編を支配して熱い。
テネシー州のノックスビル生まれのロサンゼルス育ち、エルヴィス・ロカビリー大好き人間クェンティン・タランティーノの脚本、アップルコンピュータのCMや『トップガン』『エネミー・オブ・アメリカ』『スパイ・ゲーム』の映像作家トニー・スコット監督の強力タッグ。
クリスチャン・スレーター(クラレンス)パトリシア・アークエット(アラバマ)を主演にブラッド・ピット、ゲーリー・オールドマン、デニス・ホッパー、サミュエル・L・ジャクソン、クリストファー・ウォーケン、いまならオールスターというキャストで制作されたカルトな傑作。エルヴィス(エルビス)役をなんとバル・キルマーが!
How many girls choose cotton
dress world
When they could have satins and lace
And stand by her man
Never once et the shame touch her face
How many hearts could live through all the wlnters
We've known and still n()t been cold
True love travels on a gravel road
*Love is a stranger and hedrts are In danger
On s mooth street paved with gold
True love travels on a gravel road
Down through the years
We've had hard time and tears~
But they only helped our love grow
And we'll stay together no matter how strong the wind blows.
Not once have I seen your blue eyes
Filded with envy or stray from the one that you hold.
True love travels on a gravel road
*Repeat
True love travels on a gravel road
True love travels on a gravel road
アラバマとクラレンスが身につけていた馬蹄形の結婚指輪はエルヴィスが1956年、いまや伝説となった熱い執念の<ハウンド・ドッグ>録音時にしていた指輪。
『トゥルー・ロマンス』を心のバイブルにする女性たちにこの<恋はいばらの道を>を----。
彼女たちの心がいつか癒され、幸福な人生を手にすることを祈って。