FUN
IN ACAPULCO
アカプルコの海
エルヴィス・プレスリーの音楽
エルヴィス・プレスリーのDVD
エルヴィス・プレスリーの本
あまりにもビッグネーム、それゆえ聴いた気分、見た気分。
あるいはいつでも聴ける、見れるの錯覚にして誤解。
キング・オブ・ロックンロールをそのように扱うのはいとしのマルガリータよ、それは悲しき闘牛士。
いくら万歳!酒、金、女がいてもあっても、すてきなメキシコに行けるわけじゃない。
スポーツカーでは狭すぎるながら運転はやめにして、一度はしっかりアカプルコの恋唄をレクチャーされてみるのもいい。
ベイビー、ビートルズだってツアーしながら、ドライブイン・シアターで鑑賞したんだぜ。
「30#1ヒッツ」なんて代物に絶対収録されないだろうグアダラハラにキングにパスポートはいらないことを知るだろう。
それも当然、牡牛と闘牛士の三角関係にここは楽園と語るスリリング。
「アカプルコの海」はエルヴィスの60年代的魅力が満載。
とにかく片っ端から曲がいい。そのレベルにひきあげているキングの巧さと声のパワー。
エルヴィス・プレスリーを本当に聴いたことがあるか?
もし聴けば「エルヴィス・プレスリー」その言葉から想像するイメージほどポップでもない。
ハワイアンにしろ、ボサノバにしろ、そこにはハデハデ観光地にして、地元民が暮らすリアルな素朴が表裏一体。その土地に暮らす人々の人情と不安がある。
それを調べとして声にして表現されるエルヴィスのハワイアンやボサノバには民衆の自然な思いが脈々と流れている。
それはエルヴィス自身が聴いてきた音楽を通して会得してきた民衆の文化、 歴史が表現されているからだ。
エルヴィス・プレスリーは黒板の前で人間を語ることはなかったが、五線譜で知り、語り続けていた。
アーティスト、エルヴィス・プレスリーの映画はキング本来の音楽と比較するとアートと表現するにふさわしくはない。
そんななか、とかくエルヴィス映画は「ブルー・ハワイ」「ラスベガス万才」「G.Iブルース」「闇に響く声」が最高と語られる。が、しかし忘れてならないのが「フロリダ万才」「燃える平原児」と「アカプルコの海」なのだ。
「アカプルコの海」では他の作品と比べて陰のある男を黒づくめの衣装で熱演。
ジョン・フォード監督の最高傑作「静かなる男」を連想させる。
しかしキングの闘牛士姿の伊達男ぶり。
美しくサマになっている姿を見るとイヤミにすら思える程だが、それを感じさせないのが歌の魅力だ。
もう、”どうぞ、お好きにやってくださいませ”となる。
M-G-Mは「ハレム万才」で稀代の美形俳優バレンチノに挑戦させるが「アカプルコの海」にヒントを得たのかも知れないと思わせるほど決まっている。
案の定、両手に花だが、共に美しく魅力的なのも作品をひきしめている。
キングは歌い踊りながらクライマックスに向かって進む。
メキシコという国は世界中に農産物を輸出しながらも、教育は貧弱。社会システムの歪は深刻だ。
「アカプルコの海」ではメキシコの少年と自転車で走る場面が好きだ。
キングの表情もいい。なによりこのデュエットこそ聴きたいぞ。CDでは現在まで不可能だがDVDでは思う。
エルヴィスにとって信頼とは、親子(母子)のように何をしても許されるものだと思い込んでいた気がする。
他人との間でもそれは実現すると思い込んでいたような、甘えられなかった子供心を取り戻すかのように、乾いた土が水を吸収するように、愛を吸い込む。
愛されることへの祈りのような気持ちが、歌ではキングならではの声域、声質とひとつになって温かくありながら寂しくもあり、生の人間の声として露出していたように思える。
それが「アカプルコの海」では、メキシコの解放感と哀愁のあるメロディーラインに乗ってひときわ冴えている。
ここでは悲劇的に去ったと思われているエルヴィスではなく、復活した光り輝き希望に溢れるキング・エルヴィスを楽しみたい。
見る人々にエネルギーを放射するキング!
それは<ボサノヴァ・ベビー>で会える!『ガール!ガール!ガール!』の<心のとどかぬラブ・レター>と『ラスべガス万才』の<好きだよベイビー>を結んでひときわ快感!
このカルトっぽさとキング・オブ・ロックンロールとして、POPSの王としての堂々たるパフォーマンスの掛け算。
シナトラのような都会の夜のゴージャスではない。
どこかキッチュで怪しげ!夢か現か。白と黒のコントラストもここまで鮮やかなのも、煩悩の世界に舞い降りた司祭にして、限りなく素朴な天使といかがわしい悪魔の二面性の疾走の興奮。
それをこんなに楽しくやってのける人物は世界広しといえどエルヴィスしかいない。
もちろんいまのところ後継者もいない。
<パルプ・フィクション>のトラボルタの怪しいおしゃれ、
<ゴースト・ワールド>のオープニングの胡散くさいワクワク,あるいはサザンオールスターズのポップなカオス。
それに通じる永遠。オレが楽器、オレがリズム、オレがロック。
分かったかと問われたらイエス、サー。と答えるしかない身体の動き。
当たり前だが大画面で見たい。
壁一面のプラズマ入手にドケチ、スーパー質素で挑もうかと思わせるに十分な場面の登場。
21世紀に生きるいまこそ見直したい一本。
ストーリーを追うよりエルヴィスを追え!
泣けるほどに素敵な映画だと分かったりする。
俺は言ったよ「ねえベイビー、ここは暑いけど外はすごく涼しいよ
1ドルおくれよ、ガソリン入れてドライブにいかないかい」
信じられないほどの素晴らしいエルヴィスが発揮されるのはこういう楽曲だ。
多くのミュージシャンが人間の内面や葛藤を表現することに汲々とし、また周囲も曖昧な良識でそれを評価したがる。キングの場合、そんなものはロックする腰つきで星屑の彼方に蹴飛ばしてしまい、自分を空っぽにして音そのものになり、人間より大きなものと一体になったかのように歌う。
深い思索は頭じゃなく心と身体でするもんだと教えてくれる。
ねえベイビー、ここは暑いけど外はすごく涼しいよ。
「アカプルコの海」・・・・かたまりとなった人々の熱狂とひとりずつの静寂の谷間。
あなたの痛みを松明にして心の闇に飛び込むキングが見えたら幸福だ。
BOSSA NOVA BABY
l said "Take it easy baby.
I worked all day
And my feel feel just like lead
You got my shirt tails flying all over the place
And the sweat popping out of my head"
She said "Hey, Bossa Nova Baby, keep on working
For this ain't no time to quit"
She sald " Go Bossa Nova Baby, keep on dancing
l'm about to have myself a fit"
Bossa Nova Bossa Nova
l said "Hey, Iittle mama, Iet's sit down
Have a drink and big the band
She said "Drink, drink, drink, oh a-fiddle-de-drink
l can dance with a drink in my hand"
She said "Hey Bossa Nova Baby keep on working
For this ain't no time to drink"
She said "Go Bossa Nova Baby, keep on dancing
Cause I ain't got time to think"
Bossa Nova Bossa Nova
ホサ・ノヴァ・ベイビー
俺は言ったよ「頼むぜベイビー、
俺は一日中仕事して
足が鉛のように重いんだ
シャツのすそははみ出してるし
額には玉の汗」
彼女は言ったよ「ボサ・ノヴァ・ベイビー
今は休んでる場合じゃないの」
彼女は言ったよ「ホサ・ノヴァ・ベイビー、せっかくノッてきたんだから」
止まっちゃだめよ
踊り続けて
ホサ・ノヴァ ボサ・ノヴァ
俺は言ったよ「リトルママ、ちょっと座って飲みながらバンドの演奏でも聞かないか」
彼女は言ったよ「お酒を飲んでバンドですって!お酒なら持ったまま踊れるわ」
彼女は言ったよ「ホサ・ノヴァ・ベイビー、お酒なんて飲んでる場合じゃないの」
彼女は言ったよ「ホサ・ノヴァ・ベイビー、考えている暇などないのよ」
止まっちゃだめよ
踊り続けて
ボサ・ノヴァ ボサ・ノヴァ
俺は言ったよ「ねえベイビー、ここは暑いけど外はすごく涼しいよ
1ドル貧しておくれ、ガソリン入れてドライブにいかないかい」
彼女は言ったよ「ボサ・ノヴァ・ベイビー、ドライヴなんてしてる場合じゃないわ」
彼女は言ったよ「ホサ・ノヴァ・ベイビー、でなけりゃ他の人を見つけるわ」
止まっちゃだめよ
踊り続けて
ボサ・ノヴァ ボサ・ノヴァ
P.S
この映画と同時期に制作された青春映画『パームスプリングの週末』(トロイ・ドナヒュー主演)に興味深い場面がある。ハイスクールに通う娘がトラブルに巻き込まれる。父親は怒って1ヶ月間、学校と家庭の往復だけの禁足令を出す。
アメリカでは一般的な白人家庭の躾だった。
自由を唱える国の家庭でいまもその精神は息づいている。
アカプルコの海
1963年
DVD発売元 パラマウント
ホーム エンタティメント
監督 : リチャード・ソープ
主演 : エルヴィス・プレスリー、ウルスラ・アンドレス、ポール・ルーカス、エルザ・カルデナス
7/25on sale!
■英語音声:5.1ch サラウンド ■片面1層
■復元版(英語):モノラル ■字幕:日本語/英語 ■複製不能
■カラー
■90分(本編)
■スクイーズ16:9(ビスタ)
DVD 問い合わせ先
電話 03-3486-5885
パラマウント ホーム エンタティメント ジャパン株式会社(マーケティング部代表)
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