POT LUCKの社会 |
|
このアルバムはエルヴィスのオリジナル曲ばかりだと思うのですが、…………、つまりエルヴィスのために楽曲をみんなが持ち寄ったという意味の…………POT LUCK WITH ELVISでないのかと。 ポットラックとは、みんなが食べ物やドリンクを持ち寄ってするホームパーティのこと。 日本ではあまり行なわれる機会は少ないポットラックスタイルのパーティ。 |
ポットラックの悪夢 ピエロはそのバースディの主役に「もう帰る」「早いね、これからケーキ出すのに」「いいから帰る」と言い残し、その場を立ち去った。 エルヴィス・クラスになると、好きか嫌いかは別にして「知らない」ということはまずない(と決め込んでいる)。年齢に関係なく、みんな知ってるし、そればかりか、アメリカ人ならグレイスランドにも行った人も多い。どうせマザー・テレサも知らんのだから仕方ないよ、と自分に言い聞かせた。 だが、エルヴィスを知らないのも自由、好きなのも自由だ。 |
アメリカを表現する軽快なポップ・チューン で、事実はともかく反社会的な匂いが強い入隊前のエルヴィスと比較して、除隊後はかなりマイルドになったエルヴィスと「ポットラック」の関係はなんとなく分かってしまう感じなのですが。1962年6月にリリースされた、ゆったりとした感じのアルバムはちょっともの足りない。 赤字はオリジナルの曲目、( )内は日本盤初回のタイトル 1.Kiss Me Quick/キス・ミー・クイック(早くキスして) このアルバムからのヒットは2年後の64年4月にシングルカットされた<キス・ミー・クイック><サスピション(うたがい)>などだが、リリース当初はシングルカットはされていない。 このアルバム・リリース1カ月後の62年7月に「あの娘が君なら/内気な打ち明け」をシングル・リリース。続いて9月に『恋のK・Oパンチ』(サントラ盤EP)、10月に<心の届かぬラヴ・レター>、11月『ガール!ガール!ガール!』(サントラ盤LP)、63年2月<破れたハートを売り物に>、4月『ヤング・ヤング・パレード』(サントラ盤LP)、6月<悲しき悪魔>、9月にゴールデンレコード第3集をはさんで、10月<ボサノヴァ・ベビー>12月『アカプルコの海』(サントラ盤LP)と精力的な仕事ぶりだ。全体にコミカルで軽いポップ・チューンが特長。 |
ポットラックの国の自由 さて、 この「ポットラック」は自由を尊重した機能している共同体の生活習慣です。 この根底にある思想が、実はすごく重要なことだと思うんです。 どういうことかというと、 人間は考える葦になったけれど、その代わり本能が退化してしまってます。 そういう人間は「本能の赴くままに生きる」ことは出来ない動物です。 「自分」というものを認識しようとすれば他者が必要になります。 先日居酒屋チェーンで飲んでいたら、乳母車に赤ん坊をのせた夫婦がやってきてました。案の定赤ん坊は泣き通しに泣いているのですが、我かんせずで知らん顔。いい迷惑なのは周囲の客。 エレベーターや電車に乗るときは、降りる人が優先、ぶつかったら「ごめんなさい」というのもマナーです。そこには「痛かったでしょう?」という相手を思う気持があります。 そこには「人と人が暮らしている」という前提があります。自由は共同体の中にあります。 アメリカでは学生時代に「子守」のアルバイトをする習慣があります。 例えば国歌や国旗がない、それがカッコいいデザインかメロディかというのは別の問題です。 日本の場合、いろんな文化が入り込んでいるけれど、ベースが単一民族に近いせいか、このようなことを意識せずに、違う角度で「国旗、国歌」の論争をしているように思います。 |
アイデンティティの獲得へ挑戦的に立ち向かったサン・レコードのエルヴィスと『ポットラック』のエルヴィスはほとんど別人状態だと思います。 『ポットラック』のジャケットの屈託のないエルヴィスの笑顔を見ながらを、この軽快で脳天気なアメリカン歌謡曲のアルバムを聴くたびに、「日本のシステムってどこか寂しい」と思ってしまうのです。 自分は誰か?自分は何か?が断定できないのは不安なことではないでしょうか? おっと、エルヴィスの温かい声にホロリとする『メンフィス・1969・アンソロジー』の<WHO I AM?>が聴きたくなってきた。 |
ELVIS PRESLEY コレクション トップ 20世紀不滅のロックベスト100アンケート募集中! |
|
ハーブティーとアップルティーのゲンキポリタン |