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歌の贈りもの

先週は<POT LUCK>が<ゴー!ゴー!ゴー!>より劣っているという誤った印象を与えてしまったので、今週は予定を変更して、1960年の<ELVIS IS BACK!>の後に続く除隊後の(サントラ盤以外の)アルバムをピックアップ。1961年にリリースされたアルバムはその名も『歌の贈りもの』

まず誤解を与えた<POT LUCK>もこの<歌の贈りもの>も、もちろん<ゴー!ゴー!ゴー!>より絶対いいどころか、比較するのが間違いの代物。エルヴィスに恐るべき駄作を与え続くた環境への皮肉だったのですが。
<POT LUCK>も、この<歌の贈りもの>も60年代のポップスを強く意識したサウンドになっていて爽やかで心地良い。またロックンローラー・エルヴィスからの脱皮を図ろうとするチャレンジがある。
しかしそのチャレンジは『ブルー・ハワイ』の映画、音楽両面の成功によって映画に一層傾斜することからおかしくなってしまう訳だが。
その延長線上に『ハレム万才』『ゴー!ゴー!ゴー!』があるわけで、楽曲も<ゴー!ゴー!ゴー!>あたりは、「助けてくれ!どうにかしてくれ!」という内なる胸の悲鳴と「なぜ、こんなことしてるの?????」と質素な脳は素朴な疑問の山になって??????で満タンになったものだ。

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<SOMETHING FOR EVERYBODY>の前後のアルバム仕事
1960年 4月 <ELVIS IS BACK!>
     10月 <G.I.BLUES>
12月 <HIS HAND IS MINE>
1961年 6月 <SOMETHING FOR EVERYBODY>
10月 <BLUE HAWAII>
6月 <POT LUCK WITH ELVIS>
1962年 9月  <KID GALAHAD>
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<POT LUCK>や<歌の贈りもの>で、聴けるその歌声のやさしさと甘さ、情感の豊かさは、結局は最も愛されるエルヴィスになったとも思う。
ここには強烈なインパクトはない。しかしこの上質なサウンド(ボイス)こそ、最近話題になるバラードにこそエルヴィスの真価があると見直し論の核になる部分だ。女性のハートをきっちりとらえ、「私のエルヴィス」と感じさせるのではないかと思うぐらいに、デリカシーに富んだ声とメロディーがぎっしり詰まっている。『歌の贈りもの』とはうまいタイトル!

赤字はオリジナルの曲目
黒字はアップデート盤で追加された曲、

1 Surrender 2:15/サレンダー
2 There's Always Me 2:32/ゼアズ・オールウェイズ・ウィズ・ミー
3 Give Me the Right 2:41/ギブ・ミー・ザ・ライト
4 It's a Sin 2:31/イッツ・ア・シン
5 Sentimental Me 2:03/センチメンタル・ミー
6 Starting Today 2:15/スターティング・トゥディ
7 Gently 2:21/ジェントリー
8 I'm Coming Home 1:47/アイム・カミングホーム
9 In Your Arms 1:54/あなたの腕で
10 Put The Blame On Me 2:05/悪いのは僕だ
                  『いかすぜ!この恋』挿入歌
11 Judy 2:11/ジュディ
12 I Want You With Me 1:35/アイ・ウォント・ウィズ・ミー

13 I Feel So Bad /アイ・フイール・ソー・バッド
14 (Marie's The Name) His Latest Flame /マリーは恋人
15 Little Sister /リトル・シスター
16 Good Luck Charm /グッド・ラック・チャーム
17 Anything That's Part Of You
       /エニーシング・ザッツ・パート・オブ・ユー
18 I Slipped, I Stumbled I Fell /
アイ・スリップド・アイ・スタンブルド・アイ・フィール
                  『嵐の季節』挿入歌


エルヴィスはさすがだ。

ここで歌われたどの曲もエルヴィスの声と歌のうまさで輝いている。
天下無敵------。

結局、みんながそれに甘えてしまったんだという気がする。

その包容力がにじみ出ているアルバムは結局はリスナーのこころにそっと忍び込む。

2.There's Always Meはエルヴィスのオリジナル・バラード。ピアノのイントロで始まる美しい曲。終始ピアノとバックコーラスが控えめに、からみながらエルヴィスの声を引き立てる。エルヴィスの真の魅力を聴くには<ハートブレイク・ホテル>に代表されるようにほとんどアカベラと言っていい作品がうってつけ。1967年<この愛をいつまでも>のタイトルでリリース、B面にもこのアルバムから <Judy /ジュディ>をピックアップ

3 Give Me the Right
もオリジナルのブルース。荒々しさはなく、すごく丁寧に歌っている。

4 It's a Sinはこのアルバムでも光っている少しおもしろい曲。コミックという意味ではなく、オリジナリティがあるという意味。それもそのはず1947年にヒットチャートNO.1になったカントリー。It's a Sinと歌うフレーズが忘れられなくなる。

5 Sentimental Me は1950年にナンバーワンになったバラードで、なんとグレン・ミラーもカヴァーしていたというもの。
♪Sentimental Me♪と歌うリズム感がとってもきれい。

6 Starting Today はThere's Always Meを作曲したドン・ロバートソンがやはりエルヴィスのために作った曲。これもピアノが効果的な美しい曲。

7 Gentlyは極めてフォーキーな曲。ピーター・ポール&マリーのまん中に立って歌っているような錯角するくらいに決まってる。

8 I'm Coming Home はエルヴィスの声が弾んで快調なロック。実はこのような曲がエルヴィスをおかしくしていったのではないのかと思う。ロックンロールであるようで、なさそうな、サウンドトラックで使用された数々の「ロック」と同じような。

9 In Your Armsはサックスが泣かせる音を出しているロック。

10 Put The Blame On Me は『いかすぜ!この恋』のファン投票でも挿入歌に選ばれた曲

11 Judyはとてもホンキー・トンクなピアノが60年代風の軽快さで、エルヴィスと絶妙のバランス。口ずさみやすいメロディーはシングルカットされたのも当然。

12 I Want You With Meはいかにもエルヴィスって感じのゴスペル風なロックで、このアルバムでは唯一ブラックなムード。♪I Want You With Meのフレーズが抜群のフィーリングだ。

18 I Slipped, I Stumbled I Fell は『嵐の季節』の挿入歌。この映画はNHKがよくオン・エアーしている。この映画の雰囲気とは合わないような軽快な曲。この曲のピアノもいかしてる。

 
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