1956年12月4日、エルヴィスは録音中のカール・パーキンスに会うためにサン・スタジオを訪ねた。和やかな時間が流れ、偶然スジオに居合わせた「奴ら」とセッションを始める。
カール・パーキンス、ジェリー・リー・ルイス、ジョニー・キャッシュ、カール・パーキンスのバンドという『嘘！』としか思いようがないようなメンバーだ。その名も＜ミリオンダラー・クワルテット＞とはよく言ったものだと思うし、それ以外の言葉もない。

＜ブルー・スエード・シューズ＞のカール・パーキンス、＜火の玉ロック＞のジェリー・リー・ルイス、カントリーの大御所ジョニー・キャッシュ。アメリカ音楽の歴史に名を刻んだ男たちのセッションがここに奇跡的に記録された。
エルヴィスはあの記念すべき＜ブルームーン・オブ・ケンタッキー＞のモト歌でもあるブルー・グラスの大御所ビル・モンローの曲を４曲、チャック・ベリー4曲等とともに＜冷たくしないで＞も歌っている。

後にビートルズは、サン・レコードのロカビリーをカヴァーしたアルバム＜THE BEATLES FOR SALE＞を制作。

ジョージ・ハリソンが椎名林檎の歌詞でもお馴染みの名器リッケンバッカ−からチェット・アトキンスの使っていたグレッチに持ち変えて取り組んだ熱気ムンムン、サンの匂い100％のロックンロール・アルバムだった。

このエルヴィスたち4人のセッションをどんな思いで聴いたのだろうかと思うと、アルバム＜THE MILLION DOLLAR QUARTET＞はさらに輝きを増す。
ロックンロールの歴史にいぶし銀の輝きを発光しながら残る音源だ。

1956年は、エルヴィス・パワーが爆発した年。
それもあってか、ここでは終始エルヴィスが中心のセッションになっている。