どんなふうに聴けばいいのか、いまだによく分からない。考えずに聴けばいいのだろうが、このアルバムと『ムーディ・ブルー』は異質な匂いがする。リスナーの立場として、この後に起こった悲劇と結び付けて聴いていない。

「ノリノリで行こうぜ」とバンド仲間に声かけ、スローな出だしは一転、挑発的に歌った＜ミルクカウ・ブルース・ブギー＞-------幾多の年月を重ね、歓びも悲しみを身体を抜けていき、傷ついている。---
そう手負いの百獣の王の眼差しが見える、悲しみを内に秘めた雄叫びが聴こえてくる。

いきなりOh〜とふりしぼる声は、いったいナニに向かって投げかけているのだろうか？古めかしいメロディーに乗って流れてくる痛み。まだ色のついていない未来かモノクロのフィルムで光っている過去か、あるいは総天然色の数々のフィルムなのか？誰も知らないキングのベルトの裏に閉じ込めた少年のココロか。

痛い歌だ。そう、痛みが散らばっている。ジャングルルームに転がっている絆創膏の缶が共鳴している。
1957年3月19日に手に入れたグレイスランドの木も「ボス、今夜は一緒に哭こうぜ」と主人とハモっている。

もしELVIS PRESLEY BOULEVARDを歩いたら一瞬でいい、目と耳を閉じてみよう。
歩く機会がなかったら、このアルバムを聴く前に一瞬、目と耳を閉じてみよう。

＜I'll Never Fall In Love Again＞を聴いていたエルヴィス・ファンでもない人の目頭が濡れていた。
すべてを超越して人の胸に迫る百獣の王にはナニがつまっているのか？
いまだに分からない。
唯一分っていることは、このアルバムには「人間の魂」があるということだ。

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1.Hurt
2. Never Again
3. Blue Eyes Crying In The Rain
4. Danny Boy
5. Last Farewell, The
6. For The Heart
7. Bitter They Are, Harder They Fall
8. Solitaire
9. Love Coming Down
10. I'll Never Fall In Love Again
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