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ショットガン・ハウス
まだ小さかったエルヴィス坊やが駆け上った階段を通過してドアを開ける。 ドアの左手には小さなブランコがある。
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このサン・スタジオの扉を開けた瞬間を小説「スローな、ブギにしてくれ」などで有名な片岡義雄は「このとき、エルヴィスは時代の扉を開けた」と表現している。 こんにちサン・スタジオはロックンロール発祥の場所としている。 「大人たちの権力から若者を解放し、女性を拘束の籠から解放する」扉を開けたのだ。 |
ロカビリーの定義エルヴィスがヒルベリーを歌うとそれまでになかった「新しい音楽」になってしまった。 エルヴィスの歌い方はマンブリン唱法とヒーカップ唱法と言われているが、マンブリン唱法というのは口籠るような歌い方で、速いテンポでドモッているように歌ったり、低音で語尾をはっきりさせずに歌う。 |
そのためアメリカ人にも何を言ってるかよく聴き取れないというケースが多い。
ヒーカップ唱法というのは逆に声をひっくり返すように高音でしゃくりあげる歌い方で、いずれも「ロカビリー」を定義づける要素となった。
マンブリンとヒーカップの両方を巧みに交互に使い分けながら歌うのが、「ロカビリー」の特長だ。
名曲「ビー・バップ・ア・ルーラ」を歌ったフォロアーの代表選手、ジーン・ヴィンセントなどもその典型だ。
ロック誕生の一番の謎となるマンブリン唱法はゴスペルから来ているというのが一般的な見解であり、事実黒人の教会へ出入りしていたことを本人が認め、実証もされている。
ロカビリーとはヒルベリーとブルースのミックスと定義づけられた。
片岡義雄著「僕はプレスリーが大好き」の一節に下記のような文章がある。 「ブルースがリズム&ブルースにまで進展しながら、その時々の時代の中で白人に受け入れられていく歴史は、白人に真似されていく歴史だった。 リトル・リチャードの「Tutti Frutti」を最も真似しやすい体質を持っていたのが、エルヴィス・プレスリーであり、プレスリーを真似することは誰もできず、バディ・ホリーを真似することはたやすく、ザ・ビートルズだってそれをやっていた。」 |
ゴスペルやメンフィスのビール・ストリートで演奏されているブルースを通して、彼の身体の中に黒人のフィーリングが宿る。
サンスタジオで見込まれた彼はオーディションを受け、相当な曲数をプレイするが、インパクトはなかったらしい。
休憩に入り、エルヴィスが思うままにギターをかき鳴らし、歌い動き跳びはねた瞬間、周りの人は驚いたという。
白人のモノでも、黒人のモノでもない音だった。「その危険な音はなんだ!オレたちはこの町から追い出されるぞ」と言ったという。
こうしてエルヴィス・プレスリーは危ない時代に危険な音を持ち込む。ロックンロールの誕生だ。
彼がその歌い方で歌えば、みんなが胸を騒がせ喜んだ。彼が体を動かせばみんながハラハラ、ドキドキした。貧しさゆえに黒人地区に住むことを余儀なくされた少年エルヴィスの身体と魂の越境が、世界の核心(魂)を揺すぶったのだ。
1968年、彼にとってまさしくモンキービジネスだった映画を捨て、音楽にカムバック。 |
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歌は死ぬ間際まで、凄くなるばかりだったが、コンサートのやり方はひどいもので、乗れば観客が動けなくなるほど長時間歌いまくり、気分が乗らないと30分程度で終わりだったという。 それでも通用したのはアメリカンミュージック界のTHE KINGであったことと、大衆が愛した、それこそエルヴィスだったからではないか? |
エルヴィスの歌の凄みは、悲しみのどん底、あるいは不幸のどん底にある曲を歌っても、あたたかみがある。
裏切った女を憎む曲を歌う。痛みがに表現されながらも、相手を気にするやさしさが響いてくる。
あるいは、これ以上ない不幸にある。それを受けとめ、忍びながらも、希望を捨てない明るさが漂ってくる。
良くも悪くも彼の全身にしみ込んでいるのは、貧しい黒人たちを癒した黒人教会音楽(ゴスペル)だ。
数々のミリオンセラーを集めたゴールデンレコード・シリーズも当然素晴らしく、必須のアイテムだが、彼を知る上でのベストワン・アルバムは"Amazing
Grece Sacred Peformances"と断言できる。
このアルバムにエルヴィス・プレスリーのすべてがある。
悲しみなかで癒された経験が、人々を癒す力を自然に身につけた。
そう、愛はただただ、贈るものなのだ。
ザ・キング・オブ・ロックンロール は時を経て、ロックだけでなく、バラードでその真価を再認識されつつある。
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♪ 僕はいまでも家庭聖書を大切に持っている |
そこにママが挟んだ一本のバラの花びらは |
ページの間で押し花になった |
・・・・まるで隠れ家を見つけたように ♪ |
ELVIS HAS LEFT THE BUILDING!
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