WEBサイト『ELVIS PRESLEY コレクション(http://www.genkipolitan.com/elvis)』の管理をしている自称「愛ピエロ」です。
エルヴィスを最初に聴いたのは小学生の時で、近所に住むお姉さんに、いいもの聴かせてあげると、「監獄ロック」を聴かされたのが、記憶している最初のエルヴィス体験でした。その時の印象は「この姉チャンは気が狂ってる」でした。
そのエルヴィス体験が無意識に影響したかも知れません。あらゆる音楽嫌いの自分が中学生になって自分の意志でエルヴィスの映画を観ます。観たのは『ガール!ガール!ガール!』でした。但し目当てはエルヴィスではなく、水着のガール!ガール!ガール!でした。ところが、タイトルバックの青い空と海のフレームで颯爽と登場したエルヴィス。さらに劇中「心の届かぬラヴレター」を歌うエルヴィスのカッコよさときたら、美女がいくら束になってかかってもかなわない!もう最初の動機なんか知らない間に完全に消失。エルヴィス狂いが始まったのです。
続いて「恋のKOパンチ(広い世界のチャンピオン)」「ヤングヤングパレード(あなたにそっくり)」「アカプルコの海(ボサノヴァ・ベビー)」と夢中で観て、とどめの一撃となったのが「ラスベガス万才」でした。アン=マーグレットとの体育館でのダンスシーンは圧巻で、プールサイドでのデュエットなども最高にワクワクしましたが、当時サントラ盤にも全曲収録されていませんでした。いまのようにビデオもなかったですから、仕方なしに脳裡に焼き込むしかないので、夏休みに1週間毎日場末の劇場で朝から夜まで座ってました。この映画はこの時期だけで30回は観ました。
映画主体の時期のエルヴィスがリアルタイムの体験でした。当時は学生でカネもなくアルバムはなかなか手が出ずシングル盤中心でした。「悲しき悪魔」などに一番愛着があります。やがてサンレコード時代のものがシングルでシリーズで出ていました。「今夜は快調!」「ブルームーン・オブ・ケンタッキー」などシンプルで古めかしいけれど、それだけにごまかしの効かないサウンドにゾクゾクしました。アルバムはゴールデンレコード・シリーズから始めて、サントラの狭間に古いのを順番に買うのがやっとです。当時はビートルズ、ストーンズ、ベンチャーズが人気絶頂でした。エルヴィス好きという人は自分の周りにはほとんどいませんでした。(いまもWindowsよりMacが好きという天の邪鬼なのです。)それにしても勢いの違いは決定的なものを感じましたね。ビートルズの「ヘルプ!」とエルヴィスの「青春カーニバル」がともに正月映画として公開されたのを記憶していますが、世の扱いも客の入りも随分違うように思えました。確かジェリー・ルイスのコメディと2本立でした。共にハル・ウォリスのプロデュースということになるわけですね。以後、『エルビス・オン・ステージ』で復活するまで、悔しかったですね。
『オン・ステージ』が公開された頃に、ラスベガスへのツアーの募集もしていたようですが、当時ホンダの軽自動車N360という一世を風靡した車1台買えそうな費用だったのを記憶しています。とっても夢のまた夢でした。それでも『エルビス・オン・ツアー』はシネラマの大画面で上映され、その嬉しさは格別でした。衛星中継でハワイコンサートのエルヴィスを観た時は、エルヴィスのとてつもないスケールの大きさを感じました。雰囲気が全く違った。これこそカリスマでした。この体験はいまビデオで観るのと全然違います。ビートルズの武道館ライブでも言えることですが、映像はその時と同じでも「リアルタイム」でないとないものがありますね。これから何が起こるか判らないというワクワク、ハラハラの期待感あるいは”未知との遭遇の瞬間の連続”でしょうね。
どの時代のエルヴィスも好きです。それにしてもサンレコードのエルヴィスは、いま聴いても新鮮でドキドキします。またRCA初期のアルバム"ELVIS PRESLEY"や"ELVIS"も大好きです。「A FOOL SUCH AS I」は一番きれいな声ですね。男のくせにこの曲には体が溶けそうになります。(女性が失神するのは当然か?)
ラスベガス・ヒルトンには数年前に行きました。銅像が歴史を語っています。
1999年やっとメンフィスとテュペロに行きました。意識がエルヴィスに集中していて深夜グレイスランドの前の道路であわや車に轢かれそうになりました。行って正解でした。
(涙のように美しい汗は誰のために…)
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリが地球に残した「星の王子さま」に次の一節があります。
この王子さまの寝顔を見ると、ぼくは涙がでるほどうれしいんだが、それも、この王子さまが、一輪の花をいつまでも忘れずにいるからなんだ。バラの花のすがたが、ねむっているあいだも、ランプの灯のように、この王子さまの心の中に光っているからなんだ。
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「星の王子さま」に出てくる飛行士が疲れて眠っている王子を見ている時の心境を語った言葉です。この言葉とともに私は自分の愛する人を思い浮かべます。また自分もこの文章のようでありたいと思っています。そしてエルヴィスもまたこの言葉そのままだったように思います。
一輪の花とはボクたちであり、エルヴィス自身だったのではないかと思わずにいられないのです。
昨年グレイスランドの門扉の横の柵に大事な人の名前を書きました。
書きながら胸の中で、「喜怒哀楽その時の気持ちに応じてずっとあなたは私を支えてくれました。あなたが私を支えてくれたように、私も自分の大事な人を支えたい。」神社におみくじを結ぶようにエルヴィスに祈願してしまいました。
エルヴィスのことを宗教みたいと言われるのはすごく嫌いなのですが、これではそう言われても仕方がない状態ですね。
ボクはエルヴィスに導かれながら
ピエロから星の王子さまに変わる旅を続けていきます。
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