人生は選択の連続、情報を使いこなし決断するライフスキル |
ライフスキルは、生きる力であり、技術です。
WEBサイトでは、ひとが健全に生きて行くために世界保健機構が定めた「ライフスキル」を仕事を通して身につける方法についてレポートしています。
人は基本的な生きる構えの影響を受けていて、ひとによって不足、アンバランスがあるものです。ゲンキポリタン(株式会社マートワン)が主宰するライフスキルに関する研究と活動は、「ライフスキル」の不足を補いバランスを調整するために仕事、学業、人生の大事な場面などの機会を通して身につけることをめざしています。
ここではライフスキルのなかから意志決定スキルについて説明しています。
意志決定スキル
人生は、常に「選択」の連続である。
どこに進学するか、どんな仕事に就くか、誰と結婚するか、どんな家庭を築くのか、個人が自分で選択しなければならない。
カウンセリングを受けても、占いをしてもらっても、選択をまわりの人に委ねるにしても、選択は自分がする。選択こそ人生。そこにはいつも決断があります。
自分を信頼できないと決断は苦しい。占いが人気なのも、選択の苦しさの表れに他なりません。
自分で自信をもって選択〜決断」するために、どのようなスキルを身につけたらいいのだろうか?意志決定スキルについて。
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何かを選ぶことは、また、何かを捨てることです。
A社に就職すればB社に就職できない。海外で働くと国内で働けない。Aさんと結婚したら、Bさんとは結婚できない。う〜ん、もったいない!?
好きな男性と結婚せずに、さほど好きでない男性と結婚した女性がいました。
十年間に及ぶ無言電話・・・・こどもに名付けた「ゆうき」という名前が、選択することの苦悩を表しています。
人生が『選択』の連続であるということは、言い換えると、「あきらめ」の連続だということ。
思いを断ち切る連続は、とても苦しく、勇気、忍耐、自分をコントロールすることで「自分のことは自分で決める」力だけでなく、「後悔しない」力が不可欠となります。
つまり自分が本心で求めることをあきらめない選択をする力です。
自己選択、自己決定能力、自己責任能力は。自分の本心から離れないことが大切です。
しかし、実際には反対の選択をしていることが多い。ストレスに我慢できずに、なんだかんだ言い訳を自分自身にも周りの人にしながら、自分の気持ちから離れた選択をする。
でも、ストレスにはいいストレスと悪いストレスがあります。いいストレスになれていないと、どっちも同じように処理してしまいます。それで選択を間違えます。
ネガティブに考えると大変厳しいことにもなるけど、ポジティブに考えたら、これほど楽しいこともない。
それを思うと自己実現の基盤が「自己肯定スキル」であることも分ります。
本当の自由
社会が物質的に豊かになればなるほど、価値観は多様化します。
たとえば戦争中なら、好きな仕事を選ぶこともできませんので、選択することができません。物がないとやはり選択肢も少なく不自由です。
現代社会のように物が豊かで、多様な価値観が競合しあう社会においては、自分がどう生きるかを、自分で選び、決めることのできない人間にとっては、大変生きにくい時代になっています。
その上、自己肯定スキルの獲得機会が乏しい環境にいると、自分のことを自分で決めることができないまま先送りにして、本気にならないことで傷つくことから身を守ろうとする行為も増えます。
しかしどんなに目をそむけても、自分のことは自分が一番知っているので、ストレスがより強くなるばかりという危険をはらんでいます。
自由とは、良心と良識を使って、意志決定できること。
良心と良識は自己肯定スキルから生まれてきます。
わがままからは自己否定感を強めるだけなのです。
しかし 近所づきあいも衰退し,隣のおじさん,おばさんとの触れ合いも少なくなり、大人から直接学ぶことも減り、大人の行動を観察して学ぶ機会が激減しています。
子どもたちはかつて,遊び集団の中でお互いの良いところを認め合っていたものですが、その機会も減り、一人っ子が増え、親ともふれあいも減っている状況では、わがままをわがままと知らないまま、好き勝手をする機会がフェています。
これは大人から観ると、だらしがない、でたらめというように映りますが、当事者は自分で選択を獲得した意識が少ないままで、自分を信頼できず、否定的な感情を強めているのが多いようです。
自己肯定スキル
食生活、運動、休養などの習慣、タバコ、飲酒など、さらには依存行動や薬物行動、そして本能に根ざした行動は、その根底に自己肯定スキルが絡んでいます。
否定的自己イメージをもっている人は成人であれ、子どもであれ、自分が抱いている「どうせ自分は……」といった否定的な感情によって、慢性化している悲観的な思考に陥り、未来への不安が強く自己実現のために時間を使うことが困難になります。
自己肯定スキルは人が選択能力、自己決定力を発揮するために欠かせない絶対的な基盤なのです。
自己肯定スキル を育む立場にある親、教師、上司は、個々の個性が発揮されるように、指導・支援してあげる上で重要な役割を担っていますが、ステレオタイプな価値観に縛られずにケアしてあげることが求められます。
自己肯定スキルは、意志決定スキルをはじめ他のスキルの高さに比例します。
つまり自己肯定スキルを高めるには、自立を促すことが有効なのです。
自分のことは自分でできる。自分のことは自分で決められる。自分の人生における選択の主体は自分にあるという実感が自己肯定感を強めるのです。
この自覚なしに、子どもの選択能力,自己決定能力は育ちようがありません。これは社会人でも同じです。
いい親、いい教師、いい上司は、自他境界がはっきりしているのが特長です。
その意味でも、自分で意志決定できるだけのスキルを持たせるように育むようにしましょう。また成人なら自分で意志決定できるだけのスキルを身につけるようにしましょう。
わたしは誰?
自己認識行動の選択など,人生において賢明な選択ができるためには,自分が何者であるかを知っておく必要があります。
わたしは誰?つまりわたしはどんな人?その答えは誰が出すのでしょうか?
人間は,自分が何者であるかを、自分1人で考えて発見することはできません。
自分の個性や持ち味を、他の人から認められたり、ほめられたりといった経験を通して,自分の存在価値を知るようになることで、,自分のアイデンティティが確実になり、自己肯定感を深めていきます。
そのプロセスで得た自分のイメージが、自己認識となり、選択や意志決定するときの決め手となります。
ここで、意志決定スキルを理解する意味で、こどもとおとなの違いについて考えてみましょう。
こどもとおとなの違い
自分の行動を自分で選択、決定して行動する点では大人も子供も大差ありません。
大人が子供と違うのは、結果を予測した選択、決定ができる点です。
子供に結果を予測した選択、行動の能力が不足しているのは、情報が少なすぎることと情報の適切な取捨選択能力ができない点にあります。。
ですから子供の行動の理由は、楽しいから、やってみたいからなど好奇心が中心になっています。
やがて経験をしていく内に、情報が蓄積されていきます。頭の中にデータベースができあがっていくようなものです。
大人になると、そのデータベースの使い方が人によって違ってきます。
ヤフーやグーグルの検索条件の設定の仕方で、検索結果が変わるのとよく似ています。
好みでパッと決める、カンで決めるのも選択、決定の一方法ですが、それでは子供のやり方とあまり変わりません。
大人の決定のプロセスは
1)問題を明確にする
2)目標、価値観を考慮して選択肢を考える
3)選択肢の情報を集めて、それぞれのプロセスや結果の予測をする
4)どの選択肢のよい点、悪い点を考慮して、どの選択肢が望ましいか評価をする
5)意志決定を下して、選択した理由をあげる
さて、このときに集めた情報の処理の仕方が選択肢の判断に影響します。
考え方のスキルには帰納法と演繹法があります。
問題が難しいほど帰納法の出番です。
演繹法
(えんえきほう)
演繹法は三段論法とも呼ばれています。
ルールや定理、法則を使って考えるのが特長です。
たとえばこんな感じです。
野菜は栄養がある。にんじんは野菜だ。だから、にんじんは栄養がある。
あるいは
ポルシェは高い。高いものは金持ちしか買えない。だから所得の少ない人はポルシェに乗らない。
あるいは
ポルシェは高い。高いものは金持ちしか買えない。だからセルシオに乗っている人も金持ちだ。
というように展開していきます。だから三段論法とも呼ばれます。
演繹法による考えは理路整然として、すっきりしたイメージがあります。
すっきりしている分、融通が効きない難点があります。
ですから、一度、道に行きづまってしまうと考えられなくなり、行き止まりになってしまいます。
性格的に真面目な人ほど融通が効かず、行きづまる傾向が強いようです。
融通が効かず、行きづまっていることに気がつくようであれば、違う考え方を求めることもありますが、他の考え方を容易に受け入れられないのも真面目な方の特長です。
売り込みされたら自分は困る。売り込みは迷惑だ。だから、自分が人に売り込むのは他の人にとって迷惑だ。というな考え方をします。
これは違う角度から見ている他人には、もの凄くごう慢な考えに思えたりします。
「万能の神でもないのに、自分を基軸にした考え方で、いったいおまえは何様だ。」というようにです。
しかし当の本人は、自分のことで精一杯で、他人のことまで気が回らないのです。
よく職人気質といいますが、日常的に、あるルールを使って作業を進めることが多いので、どうしても頑なになりがちです。
車の部品は悪くなるまで交換することはない。悪くなるまで交換しなくていい。悪くないのに交換するのはよくない。
というように固定観念で物事をとらえがちです。
実際には、世の中にはそうでないことがたくさんあり、人を幸福する考え方は他にもあるのが真実です。しかし自分が日常使っているルールにはないので、融通が効かなくなるのです。
ですから、普段から演繹法でしか考えない人同士が意見対立すると収拾が困難になります。
また権力を持って、最終判断をする立場にある人が、そうである場合も事態が悪くなることが少なくありません。
帰納法(きのうほう)
帰納法は、様々な事例を見ながら、そこに法則を発見するプロセスを踏みという点で演繹法とかなり違います。
車を例にして考えるなら、いろんな事例を見ることから始まります。
車種と使っている人の関係を見ることで、共通点を発見することが可能になります。
金持ちは共通して高級車に乗っていることを発見することができることから、金持ち高級車を好むことが高いことが分かってきます。
次に金持ちに照準を合わせて観察すると、金持ちだけど安い車に乗っている事例も発見します。
すると高級車を使わない金持ちに共通した考え方があることも発見できます。
無駄と思うことにお金を使わないという違う共通点を発見します。
次に車に照準を合わせて観察すると、金持ちでない人が、高級車に乗っている事例も発見します。
すると、高級車を使う人に共通した考え方があることも発見できます。
野菜の場合でも同じで、共通点として栄養以外に「光合成」という機能に着目する可能性もあります。
その機会を得たことで野菜は光合成を行うという結論を出すこともありえます。
このように帰納法の場合は、共通点をいくつも発見できる可能性がありますので、複数の共通した要素を発見することも可能になります。
違う要素を発見するということは、可能性の発見に他ならないわけです。
ですから帰納法は可能性を発見するための考え方ともいえます。
可能性の発見
「可能性の発見」は喜ばしいことですが、違う言い方をすると複雑化するということです。
ですから本来なら、よろこぶべきはずの可能性の発見が、演繹法を好んで使う人には、そうは思えません。
すっきりせず、それ以上、考えることが苦痛になるからです。
演繹法の場合ならほとんど二番煎じになるのに対して、帰納法の場合は無からナニかを生み出す可能性があります。
大ヒットした商品、ウォークマン、iPod、ヤフー、グーグルなどは帰納法なしにはあり得ないものばかりです。
たとえばウォークマン、iPodはコンセプトは同じように見えますが、演繹法で考えていたらうまれない商品です。
全く別の角度から見たから作れた商品です。
iPodを生み出したアップル社は長い間、「Think different(違う考え)」というキャンペーンを展開していましたが、私たちも同じく「違う角度から考えてみよう」と言葉を
普通に使っています。
それが普通にできる人とできないのは、演繹法でしか考えない人と、帰納法を頻繁に使って考えている人の習慣の違いです。
演繹法で考えていると行き止まりになる場合がよくあります。
帰納法で考えると違う共通点が見えてきます。新たな選択肢が見えてきます。
結果よりプロセス
自分で選択して決定、そして行動する。
帰納法で情報を整理し、共通点を探しだした上で、自分の価値観ろ照らし合わせて、選択〜決定します。
決定するとは、リスクを引き受けると同義語だと思ってください。
英語では、チャレンジには失敗が含まれています。
結果がうまくいかなくても結果から学ぶようにしましょう。
うまくいかなかったのはプロセスに問題があるからです。
プロセスを変えない限りよい結果はでません。だから結果に囚われるのではなく、プロセスに関心を持ちましょう。
求める結果のために意思決定して行動をしているのですが、プロセスに関心を持っていたら、結果が気にならなくなります。
結果を気にしたところで、結果がよくなるわけではないからです。
コップに水が半分入っているとして、「まだ半分残っている」と考えるのが楽天主義、「もう半分しかない」と考えるのが悲観主義。
うまくいかなかったということは可能性が高くなったと考えることができます。
うまくいかなかったからといってあきらめたり、絶望していたのでは、目的、目標の達成は困難です。
失敗はデータベースに入る情報のひとつ。
うまくいかなかったときほど考えながらチャレンジを増やし帰納法を使えばどこが悪かったのかも探せ出せます。
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