感情に支配されない、感情よりも行動
自分が思っていることを話せなかった時、意見や行動にしなかった時、気分は優れません。そのさえない時間や思い悩んでいる時間、自分を嫌っている時間は、考えていない時間、行動していない時間で、貴重な時間が垂れ流しになっている時です。
人生で何もしていない時間が多ければ多いほど、思うことができなくなります。どんなに飛び抜けた才能があっても、感情的になればなるほど、自己実現は遠のきます。感情と時間はセットで消えるのです。
感情の使い方の悪さが原因で失うものはいくつもありますが、自分の人生に致命的な打撃を与えるが時間のロスです。
感情的になって行動すると、その時間だけで終わりません。その前後、ずっと尾をひいていつまでもおもしろくない状態が続きます。その間、生産的なことに集中出来ないので、成果があがらず、その影響を受けて、また感情的になるという悪循環が続きます。
ライフスキルの基礎的スキルに<自己認識スキル>があります。これは主に自身の感情を認識するスキルです。健全で幸福な生活にライフスキルの必要性が取り沙汰されるように、自分の感情の認識、コントロールが上手にできない人は多いのです。
感情は人間らしさの点で潤いを与えますが、感情に支配されないことが、自分の人生を瑞々しくする条件です。
つまり川の流れは心を癒すけれど、洪水は心身にダメージを与えるのと同じです。川の様子は目で確認できますが、自身の感情を認識するのは容易ではありません。
行動力をアップする最適の方法は、毎日同じ時間に同じことをして、感情の支配を断ち切ることです。毎日同じ時間に同じことをして、その濃度を濃くする。どんどん感情の洪水から遠のくようにします。それを妨害するのは2つ。時間と感情です。
ですから能力や努力以上に重要な成功の条件は、次の2点にあります。
・自分の感情を支配する
・自分の時間を支配する
感情と感情的行動は全く違うものです。感情の表現は人生を瑞々しいものにしてくれます。私たちがドラマや映画、スポーツを観て感動するのは、そこに感情とのふれあいがあるからです。しかし感情はそのまま行動に移すと災害に転じます。
「自分にごほうびをあげる」この言葉の意味には深い理解が必要です。
この言葉の意味は、自律してきた自分へのねぎらいですが、こんな意味にも使えそうです。「日々、イヤなことを我慢してやっているのだから、その位したってバチはあたらないわよね」これでは、「腹がたったから酒を飲んだ」のと同じで、憂さをはらしているだけではないでしょうか。つまりほうびは感情のはけ口でしかないのです。
これが感情的な行動です。私たちはこのように気づかない間に感情的な選択によって、感情的な行動をしています。
「感情」は、愛情と恐怖です。それを分類して喜怒哀楽というように4つあります。
感情的な行動は、これらの感情を動機にした行動で、感情的な選択によって起こっています。
くやしい、はらがたつ、悲しい、・・・そう思うのも思わないのも自分自身の選択です。
テレビではニュースで「桜が咲いた、咲いた」と放送します。そのニュースをどう受けとめるかは自分の選択です。行かないと損する気分になるのも、時間がもったいないと思うのも自分の選択なのです。
しかし、感情的な行動は反射的な場合が多く、コントロールが難しいと思いがちですが、トレーニングでコントロール力がつきます。ライフスキルでいうストレス対処スキルがそれに該当します。トレーニングは日常的にできます。
感情的な行動をとりたくなったら、自分に問いかけます。
「どうしても感情的な行動をとりたいけれどいいかな?」・・・・どんな答えが返ってくるでしょうか?「とりたいならとりなさい。でも私は好きじゃないな」って自然に返せるようになったら大進歩です。心がけで、あせらずにチャレンジを重ねると感情はコントロールするものという意識が身につきます。
ひとりで学習していたとします。集中から離れて、ふと寂しくなります。
「つらいな」って気持ちになるかも知れません。感情の洪水に押し流される前に、つらい気持ちに注目することも、目的に注目することも自分で選択できます。
だから寂しいなと思ったら、「ああ自分は寂しがっている。人恋しいなんだな」って自分の気持ちを認めてあげて、今度の休日に誰か誘ってみようと判断して、目の前の学習に専念するように気を取り直します。
もし、そのときに電話をしたり、遊びに行くと、学習する時間はなくなります。
感情をコントロールするのは我慢力の影響が大きいのですが、我慢のあるべき状態とは、自分がナニをしたいのかをきちんと知った上で、したいことを選択することです。つまり自分の欲求に正直に従うのが我慢であって、したくないことをする、したいことをしないのが我慢ではないのです。
我慢の定義を間違えるから苦しいのであって、禁煙禁酒ができないのはその例です。 禁煙できない人は吸えない気持ち、つまりネガティブな感情に注目しすぎて、ポジティブな感情であるやめたい気持ちに注目しなさすぎるのです。
意志の強弱でなく、目先のことしか考えられない想像力の欠如こそ問題なのです。
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