考えても仕方のないことを考えてしまう場合には、考えないようにする技術を使いましょう。
考えないようにする技術とは、考える前に考えた結果について、どうするつもりなのか、目的を明確に意識することです。
目的もなしに電車に乗る気分を考えてみてください。目的もなしに考えていると知ったら、同じような気分になるはずです。
学校で「考えることはいいこと」という刷り込みをされていますが、それにしても何でも考えるといいかというとそうではありません。考えて仕方のあることと、仕方のないことがあります。
考えても仕方のないこととは、考えた末に結論を出しても、それが現実に反映されることのない課題です。あるいは結論がすでに出ていて、いくら考えようが、議論しようが、もとからある結論を変えようとしない場合です。
但し、出ている結論が間違いないかを検証する目的で考える場合は、検証によって結論の変更があり得るのでこれに該当しません。
それにしても、考えて仕方のないこと考えている時は、気がつかない間に考えているものです。「隠された動機」が働いてズルズル考えてしまうものです。それに対して気がついたら意識的に考えるのをストップできる人はストレス対処スキルを身につけている人です。彼らには隠された動機があっても、目的意識でしっかり自分を守ることができるのです。「隠された動機」に振り回されると、モチベーションをあげるときには考えられない勢いで、負のモチベーションがどんどんアップしていく。
負のモチベーションが巨大化する時、どうしたらいいのでしょうか?
考え悩んでいるときに、まず考えて出た結論をどうするつもりなのか、自問自答します。
たとえば交際中の男性について考えていたとします。
彼はどんな人間なのか、なにを考えているのかについて考えたとします。
「彼は怠け者で感情的な行動の多い人間だ。彼と結婚してもロクなことはない。」
仮にこのような結論が出た場合、彼とどうするつもりか。 “違う結果であれば、どうするのか?”と自問自答し直します。
「彼が働き者で落ち着いた人だ。彼と結婚したらきっといい旦那さんになってくれる。」こういう確信的な結果が出た場合に、発展的な交際を続ける、あるいは結婚する気なら考える価値はあります。
しかし、どんな結果が出ても現実に反映されることがなにもないのでれば、考えても仕方のないことです。
つまり目的が最初にあって、考えるのなら考える意味があります。しかし目的が曖昧で、ただ交際しているから考えているということなら、はたして考える意味があるといえるでしょうか?単なる知人から結婚相手に変わることはありますが、それにしても結婚への意欲がなければ、結婚相手と意識して考えることもできません。
最近、多いのがこういうケースです。
「就職したいが、自分が思うような仕事、職場がない。しかし自分は親に面倒を見てもらっているのでこのままではよくない。大学も出ているので、つまらない会社には就職して履歴を汚したくない。しかし、これまで頑張ってやり通した経験もないし、資格もキャリアもない。こんな自分を採用してくる会社は少ないと思う。」
未処理の万能感に振り回され続けて、限界と境界が認識出来ないまま、どうしたらいいのだろうと考え続ける人が多いことです。
彼らには目的があるようでありません。どのような結果が出ても行動しないのです。先送りにして試そうとすらしません。隠された動機に支配されたまま、“何もしない”状態を継続する目的で考えているのです。しかし本人は考えているので、問題に向かい合っていると錯覚しているのです。
ひとの噂話というのは、殆どこの範疇です。それを考えて一体どうするつもりなのか聞かれも、「いや別に」としか答えようがありません。
典型的な事例が、芸能人など特殊な世界の人の噂話なら尚更です。考えても仕方のないことのサンプルだといえます。自分のことを噂話程度にしか扱っていない、それほど自分を粗末にしているのは怖いことです。
自分が何かを考え始めていたら、それを考えてどうするつもりなのか、最初に確認するようにすれば、考えて仕方のないことを考えるミスをストップできます。
同じように先の準備をするために、先のことをアレコレ考えるのはいいのですが、考えるだけなら意味のない取り越し苦労でしかありません。その時間は「使わなかった人生」に他なりません。人生を使いきるようにするために、考えて仕方のないことは考えないようにしたいものです。
結論を先に発見しておいてから、結論に辿り着くために、逆算して考えるようにすれば貴重な時間の節約になります。そのためにも目的の認識は重要です。
時間の節約は、節約しただけでなく、考えて仕方のあることを考えられる点が大きいのです。それでも、人は考えてしまうものです。
考えるのが好きだから、考えて実のあることを考えるようにしましょう。それには目的、目標、計画をしっかり持つことです。
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