■コンピテンシーとは何か
コンピテンシーとは、分かりやすく言うと「成果の出る行動」のことですが、目に見えないスキルであるために導入する事例は少ないのが現実です。
しかし、自分たちに見えないから導入しない態度が、成果のあがらないことに努力するだけでなく、問題を複雑にしていると言えます。
難しく考えず、「成果の出る行動の実行に専念する」=真剣な態度と行動を最優先するというのが激動の2010年代の経営の土台にします。
コンピテンシーは、970年代にハーバード大学の行動心理学者D.C.マクレランドが提唱した理論で、米国国務省との共同研究が基礎になっています。
コンピテンシーは、「優秀な成果を発揮する者の共通した行動特性」と定義づけられていて、1990年代にアメリカのビジネス社会に導入され、日本でも注目されたのは20世紀末です。
高い業績を上げている人たちの中から、さらに同じ高学歴、高成績を持った者をサンプリングし、同じ仕事に取り組んだ場合、同じ成果が出せるのかを調査しました。
結果は、学歴やIQなど外的な評価が下しやすい目に見える能力だけでは、成果と能力の関係が説明できないことが判明しました。
次に、高い業績を上げる人をサンプリングし、彼らが何を考え、どのように行動したか、事実を洗い直し、その事実から成果に直結する共通した要因を特定し、評価を可能にする「ものさし」をつくり.上げたのです。
この高い成果に直結した共通した行動特性をコンピテンシーと定義しました。
コンピテンシーとは、見えにくいスキルをどのように使うと、優れた成果になるのか、その行動特性を整理してモデル化したものです。
つまり、コンピテンシーは「成果の出る行動」のことですが、具体的には、「見える力」「見えない力」言い換えると「外からの評価による力」「内面から生じる力」に分けた上で、「見えない力」「内面から生じる力」が高業績に結びついていることを意味しています。
■コンピテンシー/「見える力」は「氷山の一角」でしかない。
D.C.マクレランドは、コンピテンシーで言う「見える力」「見えない力」について「人間の能力は氷山のようなものであり、人問の能力は氷山のように目に見えない部分の影響力が大きい」と「氷山の一角」に例えて説明しました。
氷山は海に浮かんでいますが、水面上にある目に見える部分は全体の20%程度でしかなく、約80%の目に見えない部分は水中に隠れています。
人間の能力の目に見える部分とは、知識、技術、経歴など経験を積むことで能力を磨いたり蓄積することができる外的な評価が容易な力がほとんどです。
一方、水面下に沈んだ力は、価値観、動機、考え方、性格、行動などであり、なかなか見えにくい把握困難な要因です。認識が難しいので、能力開発が困難な部分です。
この氷山の水面下にある部分をコンピテンシーであると説明しています。
コンピテンシーは広義には氷山全体をさし、狭義には、水面上と水面下を分けた上
で、水面下の部分を指します。
■コンピテンシー/評価について
一般に、従業員の評価は職能と成果を中心にして、そこから外れた定性評価を別枠に加えて行われてきました。
この方法の最大の欠点は、モチベーションの開発と評価が結びつきにくい点にありました。
つまり職能評価の構成は、「○○できること」「○○があること」が中心で、その解釈には可能性や希望的観測も含んでいます。
例えば「彼は○○大学卒だからやってくれるだろう」という期待値を込めて、「彼はできる」に発展してしまうのです。この事実は給与体系から判断できるでしょう。
しかし、コンピテンシーは、成果に結び付いた行動特性のことですから、「○○した」「○○している」という過去形、現在進行形で語ることができる事実の行動のみで評価します。
つまり、職能が目に見えやすい知識や技術を中心に「できること」で能力を評価しているのに対して、コンピテンシーの場合は「定性評価」で終わりがちな目に見えにくい価値観や動機などを定性評価にしないで、具体的に成果に直結している行動で評価します。
小売流通サービス業では、あるカリスマ・マネジャーの目に見えない行動特性をモデルに、意
欲的な者が真似をすることで伝承されてきました。彼らは深い洞察によって、無意識の内に原理に適った行動によって高業績を実現したのです。
しかし目に見えないスキルについて、具体的に説明には及ばなかったので、賞賛されながらも「やる気の違い」と結論付けられました。
裏を返せば、目に見える可能性を「評価対象」として会社全体に落とし込んで注目しても、成果に結びつかないという混乱を生み出し、そのために継続すらできない
こと繰り返してきたのです。
このような現実から、コンピテンシー、つまり「見えないスキル」を見えるようにして、スキルを磨いて、そのプロセスと結果を評価するように変える理由はこの点にあります。
それは同時に働くものにとっても、生涯役にたつスキルを注目されることであり、 働き方を超えた適切な評価がなされることで、勇気づけになるものです。
■コンピテンシーの基準
コンピテンシーを見える化するには、まず会社が求める成果を明確にして、ぞの達成に必要な行動を誰にも分かるようにすることが必要です。
職能と違い、コンピテンシーは成果に結び付くものが条件です。
つまり従業員のひとりひとりが明確な成果責任を背負うとも言えます。
当然ながらコンピテンシーは会社の目的や仕事の内容によって異なります。
しかし、あらゆる枠を超えて、コンピテンシーは、成果に結びつかない能力、お客様に支持されない行動は評価外なのです。
成果に結びつくことが絶対不可欠要因なのです。
つまり、お客様の支持に結びつかないサービスをいくらやっても評価外でることを意味しています。
コンピテンシーを見える化するとは、成果に結びつくこと、お客様の支持に結びつくことを具体的にセグメントして、明確に従業員に示すこと。
さらに、それを丘yk須磨との約束にすることが欠かせません。
「お客さまに真剣」とはそういうことであり、働く喜ぶことを会社一丸となって提供できる仕組みという点で「従業員に真剣」ということなのです。
現場における真実の瞬間を創造する立役者である、お客さま、従業員のよろこびを2つを柱にして、収益性、サービス力、対策という骨組みを作るという2010年代の土台となる方針なのです。
■コンピテンシー/かってのマネジメント、明日のマネジメント
かってカリスマ・マネジャーをモデルにして、その模擬を水平展開することで成長してきた業界にあって、多様化する社会ではカリスマ・マネジャーの輩出が困難になっています。
トップダウンではなく、ボトムアップの時代です。
それが働くものの欲求でもあり、その欲求を上手にキャッチして、活用できた会社がお客さまが知らない感動を提供できるので発展します。
成果にむすびつくスキルは、自律型マネジメントへの転換することで、さらにキャッチしてすくいあげることができるようになります。
■コンピテンシー/いますぐできる簡単な事例のひとつ「男前カード」
「見えない力」を「見える化する」。
作業のひとつ、ひとつを見直して、高い成果に結びつく作業基準を明文化して、目標にする。
さらに、現場に潜む「イエス」を発見しよう、
在籍する全員が、従業員の行動に注目。イエスな態度、行動を発見したら「男前カード」を書く。書いたカードは従業員ルームに掲示。たくさん集めて「いいこと」でやりがい。
●【
モチベーション 】男前カードでコンピテンシー【見えないスキルを見える化】
●【
モチベーション 】じぶん力の見える化で自分の人生のある場所で暮らす