あなたは終わった仕事の結果を上司に見せました。
上司が「こんな結果ではダメだ」と言います。
するとあなたは、どうすればもつと良い結果を出せるのだろうかと考えます。
いろいろな方法を試してみます。
これが本当の意味での出発点になります。
何度も失敗を繰り返し、あきらめそうになる気持ちを鼓舞して努力を続けます。
ついにすばらしい結果の仕事をします。
これは誰でも経験することです。
世界的に名を残した人であっても、例外なくみんなそういった経験をしています。
だから平凡に暮らす者であれば、なおさらそうです。
平凡に暮らせたらいいのだから、何度も失敗を繰り返し、あきらめそうになる気持ちをいじくったりせず、そのままできないことはできないでいいんだとしたら、人生の喜びはなくなってしまいます。
ですから、出せるはずの結果を出していないのに、安易に「それでいい」と簡単に認める上司では、技術も知識も能力も上がりません。
「これだけやっているのに、どうして認めてくれないのだろう」と思うかも知れません。
小さなことにも、注文をつけてくるでしょう。
余程あなたが人格的に成長していない限り「あの野郎」と思うこともあるでしょう。
しかしそのくらいの上司がよいのです。
小さなことに注文つけるのも、見逃して放置することの怖さを知っているからこそ、こだわるのです。
良い仕事をするためには、自分自身が努力をするわけですが、潜在能力を努力によって引き出してくれる人が必要です。
「これではまだまだだ」と強く要求する人がいてくれないと、自分ひとりではなかなかレベルアップができません。
組織にいる最大の恩恵は、「これではまだまだだ」と言って、具体的に指導してくれる人が傍にいてくれることです。
しかし中には、自分の尊厳を示すだけのために「これではまだまだだ」と言う上司もいるので気をつけましょう。
単に人を蹴落としているだけの上司は、具体的に指導ができないので、すぐに分ります。
そういう上司を見抜く目も厳しく「これではまだまだだ」と要求する上司と仕事することで備わります。
遅刻しても叱られない、報告書の提出期限を守らなくても叱られない、決めたことを実行しなくても注意されない、ウソをついても気にとめられない、だらだらと私用電話をかけても叱られない。
そんな会社は早々に見限ったほうがいいでしょう。
人を大事にしているのでなく、人に無関心なだけです。
ですから、それを見てみぬふりをする上司は厳重に処罰する会社はいい会社です。
甘い上司、甘い職場は、居心地よく感じられても、長い目で見ると、あなたから訓練の機会を奪い、あなたの人生を台無しにしかねないからです。
あなたは未熟なまま年齢を重ねることでしょう。そうなったら人生の損失です。
ダメを出されることで人は向上しますが、ダメを出さない上司はあなたをダメにします。
甘い上司はあなたの前ではいい顔しても、あなたのいない場所では、あなたのことをよくいうことはないでしょう。あるいは自己弁護のためにあなたのことをかばうかも知れません。
どちらにしても、自分の責任が理解できていないか、自分の責任を果たそうとしていないからです。
甘い上司についたら「人生のピンチ」くらいに考え、自分で自分によほど厳しくするよう努めましょう。
自分で自分によほど厳しくしなければならないのは、孤独ですが、自分を守るためには、そうすることです。
それが分っていたら、厳しい上司の存在はありがたいものだと分るでしょう。
厳しい上司についたら「人生の幸運」と感謝し、しっかり鍛えてもらいましょう。
打たれ強くなってください。
あなたを信じて、あなたを受け入れているなら、あなたを未熟なまま放っておけないのが自然な姿です。
ですから、注意されても叱られても明るく受けとめて、言われたことをすぐ実行してください。
上司が遠慮なく注意できる、叱られやすい人になってください。
「これでいい」と言われればホッと一安心ですが、そこから先の進歩はありません。
けれども、「こんな仕事ぶりではダメだ、やり直しだ」と言ってくれる上司は、5 年後、10 年後の「仕事のできるあなた」をつくってくれます。
どちらがありがたい上司か、賢明な人には言うまでもないことでしょう。
正社員になる基本の自分づくり
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