お客様からノーのサイン・・・「なんで断るんですか」
点検を頼んでもいないのに「もうこれは寿命ですね」、
在庫を確認されて探しもしないで、あるのに「ありません」
お客様を怒らせる瞬間
笑い話の領域ですが、悪気がなくても、常識の欠如は通用しません。
そもそもはマナー、エチケットの欠如だけに当人の人間性の否定になることも少なくありません。
しかし、それでは解決しない。
この種の問題は根本から改善する方が、圧倒的に早いので掘り下げます。FC (フランチャイズ・チェーン)で考えると、よくわかります。
本部を上司、またはセクション、フランチャイジー(加盟店)を当人、出先に置き換えてください。
フランチャイザー(本部)がフランチャイジー(加盟店)を組織する場合、アプローチ要素は、経済的利益にあります。
フランチャイザー(本部)は、加盟店候補に対して、フランチャイザーが開発したビジネスモデルを踏襲することで、効率的に利益が確保できることを強調します。
加盟店側は、当初描いた「経済的な利益」を追求するあまり、本部と加盟店の間で絶え間なく紛争が起こります。
この種の問題の原因は、フランチャイザー(本部)が明確な目的(経営理念)を打ち立てて.共鳴者を募るという戦略を導入しないために、経済的な利益だけが突出してしまうことにあります。
最大の原因は、経営理念の不備、あるいは「喪失」にあります。
その結果、加盟店によって売価が違う、サービスが違う、品揃えが違う、営業時間が違うなど、様々な違いが生じてFCが機能しないトラブルが次々に生じます。
憲法がないから法律もない、やりたい放題、金儲けのためなら何でもありになります。結果的に、お客様を失うという問題が起こってきます。
FCと言ってもピンからキリまで様々で、確固たる経営理念のもとに、優れた知識と体験の集積でビジネスモデルを確立しているものもあれば、脆弱なものもあります。脆弱なビジネスモデルしか持たないFCでは、統制できずに本部が破綻することもあります。
誰でも知っているはずの経営理念。
●誰のために
●何の役に立つのか
●その実現に、どのような行動をするのか
経営理念とは、目的そのもので、経営体がナニが最高と考えているかということで、人間や自然に対してどのように役に立つかということに関係しています。
経営理念は、経営体(会社)の目的になり、さらに組織と従事する人々の価値観にもなります。
価値観は全員の行動基準になり、会社(店)作りの基準であると同時に、お客様の選択基準になります。
つまり経営理念は、国家に置き換えると「憲法」の役割をしています。
価値観を反映したものである行動基準は、「法律」の役割をしています。
お客様は価値観で取引先を選別しているので、発展的に利益を得るには、会社の価値観にお客様の共鳴が必要です。ひとりでも多く、少しでも永く続くことが必須条件です。
経営理念つまり目的とする価値観に到達すれば、行動基準への共感によって利益が達成できます。
反対に、経済的利益が優先されて、経営理念が後手に回ると行動基準にバラつきが出てビジネスモデルが崩壊してきます。
価値観を貫いて、成功した事例をご紹介します。
株式会社 ABC
Cooking Studio 料理教室です。
1985年静岡県藤枝市に20歳の女のコが彼と誕生させた小さな台所商品を販売する店は、現在全国106校を擁する会社に育ちました。
「世界中に笑顔のあふれる食卓を」を経営理念に掲げたこの料理教室には、ワイワイガヤガヤ、楽しさの口コミで集まった人が、スタッフ講師が約3500名、在籍生徒22万人、毎年7万人の新規生徒。元旦から「食」でコミュニケーションしています。
ひとりひとりのスタッフ、講師と価値観をすり合わせた結果が、生徒との価値観の共有に発展、さらに生徒が同じ価値観の新規生徒を連れてくるという仕組みが機能しています。。
同じ価値観の新規さんがいたわけでなく・・・「楽しそう」の正体は、価値観を共有したいと思う人の琴線に触れたからです。その創造力と自由は素敵です。
「経営理念で飯が食えるか」という方も多い。そういう会社は雰囲気が暗く、抑圧的です。健全な経営理念が浸透している会社は開放的で、人権の尊重されていて、働くルールが年中一貫しています。
会社が従業員にしてやれることは、「幸福な自立をすること」つまり「最高の自分」と「費用(給料)」です。・・・・価値観が個人と仕事をつないでいます。
・・・働きがいは経営理念の裏返し。
お客様の役に立つこと、経済的メリット(コストパフォーマンス)に傾注する。
モチベーションのもとになる働きがいは、そこにあります。
ここに書いたことは、いますぐ、どんな会社でも、いまからすぐ誰にでも出来ることです。
昔、経営理念なんて聞いたことのない会社で、社長でない私は自分で勝手に経営理念を作って会社に浸透させました。もちろん「経営理念」なんて言葉は使いません。
つまり意識改革です。
お客様によろこんでもらいことと従業員の幸福に、力を注げば意識と行動と結果は同時に変わります。
その結果、辞めるとき、ありがたいことに「社長にしたいと考えている」と言われました。
浸透させた意識は、管理者が何人も変わっても、風土として残っているようです。
だれが作ったか、誰も意識しないけれど、見えないから、逆に手がつけられずに残っているのが痛快です。いい風土にも、悪い風土にも同じことが言えます。
永遠の痛快に「また、やるぞ!」の気持ちが湧いてきます。
仕事を面白くする方法は、どのようにでも作れます。