すぐに辞めてしまうのには、原因があります。
定着率が高くて戦力化できている職場もあるので、「いまどきの若い者は・・・」と相手のせいにしないで、まず自分たちにできることを、しっかりやることが大切です。
すぐに辞めるには、いくつか原因があります。
現場の問題には
・人が足りないから補充する考えしかない
・人を育てる態勢がない。
・採用した人の能力不足
・管理者に部下を育てる余裕がない
・人間関係がギスギス、無関心
・中堅クラスが空洞のように抜けている
・将来の方針がない
・挑戦させない会社
問題のないことがいいことではありません。
現場の問題点に過剰なくらいに注目して、小さくても問題がないか、注意深く発見することが改善の早道です。それが生産性に直結しているからです。
小さな点まで気をつけて、より優れた状態にすることが、管理者のスキルをさらに高める一方で、全体に高い生産性を実現します。
すぐに改善できることから始めて態勢を整備することが基本です。
しかし、実情がどうあれ、人が足りないから補充する必要がありますから、まず面接の時に、応募者とコミュニケーションがきちんとできるようにしましょう。
面接力は現場の問題と表裏一体なのです。
では、効果的な面接から採用までを説明します。
大きくわけて3つあり、その主な内容は次の通りです。
1.面接の準備は確かか?
・募集態勢
・面接の目的
・話しやすい環境で面接する
2.面接
・面接前チェック
・ファーストチェック
・人物評価の基本
・本音と建前を見分ける
・質問で引き出す
・念押し
3.出社までのフォロー
・連絡と準備
・オリエンテーション
それでは、それぞれについて説明します。
【1.面接の準備は確かか?】
ここでは次の点について説明していきます。
・募集態勢
・面接の目的
・話しやすい環境で面接する
▼募集態勢
募集態勢とは、どんな人が欲しいのかを明確にすることです。
それには己を知っておくことが先決です。
「どんな人が欲しいのか」は感覚的に知っています。
しかし感覚と採用する理由と食い違う場合もあります。
・明確な経営ビジョンがあるか
=どんな人が欲しいのか、客観的に理解しているか
・会社の魅力、現場の魅力を伝えることができるか
・採用する理由
・採用の基準
・育てる体制、人手はあるか
・育てる方法は出来ているか
人を外的に評価する基準はいくつかあります。学歴、成績などはその典型です。
しかし、それよりもっと大事なことがあります。それは内面の力です。
ところが、これは付き合って見ないと分かりません。
それを短時間で発見するわけですから大変です。
・最後までやり遂げる人か
・柔軟性があるか
・有効なキャリアがある(キャリアが邪魔な場合もある)
・会社の業績や風土をよりよいものにしてくれそうな人か
これらを発見するために、まず面接する側の姿勢を正しておきましょう。
・固定観念を持たない(たとえば性別、年齢など)
・聞いてはいけないことを守っているか
▼面接の目的
面接の目的は、相手を査定するわけではありません。
それでは見下しているようです。相手は緊張しているのが普通です。
しかも短時間です。
仮に相手を査定するつもりでも、これではいい人材を発掘することはできません。
面接の目的は、相手の人物像、特に長所を引き出すことにあります。
▼話しやすい環境で面接する
・リラックスできるようにする
・応接室を使えない場合は、お客さまの視線や聴こえないように配慮
・あいづちを入れながら会話する
・笑顔
・査定する意識ではなく、相手のキラリと光るものを引き出そうとする工夫
【2.面接 】
ここでは次の点について説明していきます。
・面接前チェック
・ファーストチェック
・人物評価の基本
・本音と建前を見分ける
・質問で引き出す
・言ってはいけない、聞いていけないこと
・念押し▼面接前チェック
・応募するときの電話のかけかた
・遅刻してこないか
・時間ギリギリになって質問や連絡してこないか
・動作の機敏さ
・礼儀正しさ
・身だしなみ
・言葉づかい
▼ファーストチェック
面接のときに最初に見るポイントです。
面接する人のセンスで考えず、一般常識を優先します。
・面接開始の挨拶
・来訪時、入退室の挨拶がきちんとしているか
・立ち方、歩き方、座り方、お辞儀の仕方
姿勢がいいか、テキパキしているか
・視線
話すときに目を合わせているか
・見た目(外見)
相手への敬意、気遣いができているか、どうか
・態度
謙虚さ、質問者の言葉を確実に聴き、確実に答えようとする態度になってい
るか。態度からありのままの相手が見えてくる。信頼できる人かどうか判定
しやすく、積極さや、最後までやり遂げようとする人物かどうかの予測がで
きる。
・表情
オドオドせず、自信がありそうか、やる気を見ます。
・話し方、口調
分かりやすく、伝えようとする努力を見ます。声の出し方、敬語が使えるか、
相手への気遣いができているかをチェックします。
「です」「ます」がはっきり言えるかも大事なポイントです。
わが社ではどうするつもりか、熱意を感じることができるかどうかも忘れず に。誇張、抑揚はポリシーがない場合が多いので、注意します。
すべての人が会社側が希望する人であるはずがありません。他の要素と 併せて、育てる場合に育てること ができる相手かどうかの判断もします。
・話の内容
会社に関心のある人は、質問が多く、少ない場合でも、共通して具体的です。
質問の内容に将来の姿を発見できるので、注目するようにします。
お調子者は、よく話すので、積極性があるように勘違いすることもあります が、内容がなくポリシーがありません。話の内容でよく見極めましょう。
・責任感の見分け方
軽い話題、質問でいいので、会話をすると分かります。責任感のある人は話 す内容に真剣さと重みがあります。外的な評価がしやすい基準ではなく、内
面からにじみ出るものがあり、家族のしつけを感じます。
●質問
「遅刻をしたらどうしますか?」
「シフトに欠員が出た場合、ヘルプをお願いしたらどうしますか?」
▼人物評価の基本
・挨拶
・受け答え
・口調
・態度
・視線
・敬語
ファーストチェックの内容と変わりませんが、ファーストチェックで気になった 点も含めて、より慎重に見ます。 質問、会話を通して、光っているものがないか、良い点を引き出すようにします。
●採用したくない人
・嘘としか思えないことを言う
・話す内容の筋道が通っていない
・取るに足らない内容を自慢げに話す
・陰口を言う
・自己中心
・先のことには触れず、過去の話が中心
●採用を考えたい人
・明るく元気に挨拶できる
・晴れ晴れとした表情
・正確なことを話す
・陰口を言わない
・豊富な知識
・ムダなことは言わないが、必要なことはきちんと話す
▼建前と本音 本音を聞きだす質問
入ってすぐに辞めるには、理由があります。本当のことを話し合う機会を持た ないまま採用すると、すぐに辞める人が増えます。
すぐに辞める人には大きくわけて2つのタイプがあります。
・意志の強い人
・視野の狭い人
このように、会社側から見ると、本当は辞めて欲しくない人も、育て方で、戦 力になる人も含まれています。
入ってすぐに辞めるのを防ぐには、本当のことを話し合うことが欠かせません。 質問で本音を引き出すようにしましょう。
●質問
「採用されて仕事に就いてもらったとして、あなたのイメージと違うこともあ るかも知れません。それでもいいですか?」
▼質問で引き出す
「なぜ、当社へ応募しましたか?」と質問しても、当人の最大の関心は、賃金、 時間、休暇にあるので、あまり意味がありません。
本気で働きたいと思っている人は、必ず知りたいことがあります。 そこで、逆に質問させることで、不安を解消して安心感を与えます。
●質問
「なにか聞いておきたいことはありませんか?」
・「社歴は?(簡単に説明しておきます)」
・「社員数(総数)は、どのくらいですか? (当社の・・・)」
・「就業規則はありますか?」
・「保険は?(当社では・・・・)」
・「給料は?(当社の・・・・)」
・「社員の平均年齢は?(当社の・・・・)」
・「女性(男性)の割合は?(現在、当社では・・・・)」
・「社風は?(当社の・・・・)」
「なにか聞いておきたいことはありませんか?」と質問して、応募者から逆に 質問が出るように導きます。
質問がない場合には、「社歴には興味がありませんか?」「社風に関心はあり ませんか?」 というように質問します。
聞いている態度や反応から、人物をチェックします。
質問の機会を利用して、自分たちが大切にしている「目的」「使命感」を伝え るようにします。話しながら相手の反応を見ながら、相手に合わせた会話を心
がけます。それは同時に相手を知ることになります。
前職を辞めた理由を聞く場合は、理由を聞くだけでなく、居心地のいい場所を 渡り歩いているだけなのかを見極めるために、次のような質問をします。
・今度はなにか目標にしていることはありますか?
・自分の進路についてプランはありますか?
・内向的でしたか
・意識的に自分を変えようとしていることはありますか?
▼言ってはいけない、聞いていけないこと
・(女性に)親元からの通勤か、ひとり住まいか?
・(女性に)男性を優先している
・(女性に)きれいですね(類似するコメント)
・家族の職業を細かく聞く
・家族構成を細かく聞く
・出身地を細かく聞く
・親、家族の年収
・(本人、家族の)宗教▼念押し
「もし、採用が決まれば、かならず出勤してくれますね?」「では、結果が決まれば連絡します」
・・・・では、相手も判らないのだから、自分の気持 ちを変えてもいいと思い込んでしまうことがあります。 念を押しておくことで、こちらの本気度を伝えることで、勝手に変えることはで
きないことを印象付けておきます。
【3.出社までのフォロー】
・連絡と準備
・オリエンテーション
▼連絡と準備
採用の連絡をしても、すぐに辞める人が多いので、モチベーションのあがるフォ ローを心がけましょう。
採用を決めたのなら信頼と期待をするのが本当でしょう。相手に伝わるフォロー をします。
▼オリエンテーション
強い口調できつく言うことが厳しいわけではありません。厳しさの意味をはきち がえないようにしましょう。
どのような組織であるべきかを前提とした経営をしているかを精神論でなく具体 的に伝えることが、安心と意欲のもとになります。
どういうことに価値を置いていて、目的にしているのかを伝えず、その場しのぎ の場あたり的な指導をしていては、やる気をはぎとるようなことになります。
出勤してきたら、まずオリエンテーション(新入者が活動に早く適応できるよう 具体的に説明する)します。
どういう価値観で、どのような目的を達成するために実行しているのか、現場の 仕事の仕方、機器などを前にして説明、質問に答えます。
面接の段階で伝えた「使命感」を、具体的な事例を通して説明します。
すぐに辞めない面接のもっとも大事な点は「人への期待と信頼、それを育む気迫 を持っていることです。小手先にテクニックでは不安がられます。
不安を持って仕事に就いたとき、「やっぱり、思った通り」と感じたらすぐに辞 めるものムリがありません。 相手も問題もありますが、自分たちにできることには最善を尽くすようにしまし
ょう。
ライフスキル講座 詳しくは
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