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プチ不調以上、病気未満

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エルヴィス・プレスリーの本

NEVER ENDING
ネヴァー・エンディング

<素敵じゃないか>から始まる小宇宙。ロック史上、米英ポップス史上、最高傑作、至高のアルバムと称される『ペット・サウンズ』を聴いていて思うのだが、ビーチ・ボーイズとはロックンロールをやりたかったわけではなく、もちろんロックンローラーであるわけでもなく、”ロックンロールが好きな若者の音楽”と定義づけられる気がする。
ブライアン・ウィルソンもやはりエルヴィス・プレスリーの刺激的なフィーリングに興奮し夢中になったひとりだ。

エルヴィス・プレスリーの『フランキー&ジョニー』がリリースされた翌月の1966年5月16日に『ペット・サウンズ』はアメリカでリリースされた。
当時ブライアン・ウィルソンはノイローゼだったためバンドのワールド・ツアー(アジア)に参加せず、カリフォルニアにいた。出かけたバンドの留守中にビートルズが1ヶ月かけて録音した『ラバー・ソウル』に触発され、スタジオにこもって作り上げた個人的、内省的な作品が『ペット・サウンズ』である。初めて”ゴッド”という言葉がロックのタイトルに使用された。「これはチャペル・ロックだ。大衆の聖歌なんだ。」ブライアンの魂がこめられていた。

『ペット・サウンズ』リリース10日後の1966年5月25〜26日にエルヴィスはゴールデン・ヒム・セッションをナッシュビルで行う。<横町を下って><偉大なるかな神><明日は遠く>などを録音している。音楽シーンがエルヴィス登場以降、もっとも大掛かりな革新を見せ始めたその時、エルヴィスも復活への助走を始めていたのだ。

「エルヴィスの素晴らしさをホントは誰も分かっていないんだ!」と語ったフィル・スペクターがプロデュースした<ビー・マイ・ベイビー>・・・ブライアン・ウィルソンは「なんだ!コレは!」と感性を揺すられた。
さらに『ラバー・ソウル』だ。この時ブライアンの創作への情熱はあらゆるリスクを忘れるほどに、誰も止めようもなく爆発していた。スピリチュアルで繊細な音の星座のように燐とした配置、配列の創作活動中「ボクは神に捧げるティーン・エージ・シンフォニーを書いている」と語ったが、この言葉こそコンセプト・アルバムあるいはトータル・アルバムとは何かをもっとも端的に、誠実にして率直、無垢に語った言葉だろう。

ビーチ・ボーイズの『ペット・サウンズ』

『ペット・サウンズ』はビーチ・ボーイズのサウンドにしてビーチ・ボーイズにあらず。なにより、ここではバンドのメンバーはほとんど演奏しておらず、バックコーラスのみに終始している。
ブライアンは留守中にL.Aのスタジオ.ミュージシャンをかき集め一発録りで収録、あとから随所に繊細なオーバー・ダビングを加えていった。日本でのライブを終えツアーから帰ってきたメンバーに求めたのは、ブライアンが独断で決定したヴォーカル・パートのみ。しかもメンバーが共有してきたビーチ・ボーイズ・サウンドではない。メンバーが反感をもつのも当然である、「一体誰がこんなもの聴くんだ、犬にでも聴かせるつもりか!」と返した。
ブライアンはメンバーにこだわらず外部のシンガーの起用すらも計画した。兄弟、親戚、友人で構成された人気グループは危うい状況を乗り越え、当時その価値も理解されないままに歴史的名盤を完成させたが、今度はキャピトル・レコードが驚いた。ビキニのギャルもサーフボードもない予想外のアルバムに売れないことを懸念、リリースわずか2ヶ月後に『ベスト・アルバム』を急遽リリースして急場を凌いだ。
『ベスト・アルバム』はゴールドディスクを獲得する好調さだったが、『ペット・サウンズ』もチャートトップ10に入った。しかし予期しなかったキャピトルの動きにブライアンは『ペット・サウンズ』プロモーションへの妨害と判断、孤立感を深め、著しく精神の安定を欠くようになり、ドラッグ地獄に堕ちていった。

ビートルズは『ペット・サウンズ』に触れた時「ぼくたちは一体どうすればいんだ」と強烈なKOパンチを受けたことを隠しはしない。
そこからビートルズの反撃ははじまり『ペット・サウンズ』発表3ヶ月後の66年8月に『リボルバー』を発表、さらにワールドツアーをこなしながら、翌1967年『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ』『マジカル・ミステリー・ツアー』へと発展していく。
約5ヶ月間スタジオに泊まり込んで完成させた『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ』では、そのジャケットに於いて、墓場にマリリン・モンロー、マルクス、オスカー・ワイルド、レニー・ブルース、フランケンシュタイン、マーロン・ブランド、ボブ・ディランなど総勢50数名を盛大に召集、自分たち、すなわちビートルマニアの死を祝った。おそらくエルヴィスにも参列してほしかっただろう。

一方、ブライアン・ウィルソンは『リボルバー』に対抗、『スマイル』の制作を準備していたのはロック史上もっとも有名な話のひとつ。しかし結果的にドラッグがその実現を拒み未完に終わった。
優等生ビートルズが、エルヴィスよりもビッグになること、すべてのグループを超越することを徹底した自分たちの手によるマネジメントとブレーンを含んだチーム力によって成し遂げたのとは反対に、ビーチ・ボーイズはブライアンの個人的な感性と才能によって、理解されない空虚を乗り越えて、ロック史上最高傑作と称される栄誉を獲得した。代償はブライアン自身の破滅とバンドの混迷と崩壊だった。

チャック・ベリーのイントロをそのままコピーして、ガレージからヒットチャートに飛び出したカリフォアルニアの若者たち。憧れのロックの神様本人の手による<サーフィンU.S.A>をオリジナルとしてプレーしてきたロック好きな若者にとっては、たとえ傷ついても、それもまた途方もない夢の実現だっただろう。
1968年、イギリスでは、人気投票でビーチ・ボーイズが自国のヒーローであるビートルズを抜いて1位に選ばれている。アルバムもアメリカ以上によく売れた。
ハンバーガーとポテト、フィッシュ&フライの国の違いか、繊細でお洒落なイギリス人気質が透き通るほどに美しく内省的なサウンドを愛した。

現在、『ペット・サウンズ』コンプリート盤はモノ・ステレオの両方を1枚のCDに曲順もそのままに収録して販売している。(モノの末尾にのみボーナス曲1曲を収録している)
<素敵じゃないか>の素敵なドラミングから始まって<スループ・ジョン・B><神のみぞ知る><駄目な僕><キャロライン・ノー>などが並ぶ。なかでも<キャロライン・ノー>の”キャロラインだめだよ”という歌詞と最後の犬の鳴き声と電車の音・・・無垢の喪失は心臓に突き刺さったままになって、永遠に忘れられないだろう。このアルバムは本当に響くのだ!
フィル・スペクターはエルヴィスと組んだら間違いなくこのアルバムを超えるものを創れる自信があったと思う。

また1万数千円するボックス盤は、正規盤、アウトテイク盤など4枚のCDで構成されており、ライナーノーツにはポール・マッカートニーも参加している。通常ボックス盤は「編集盤」が一般的な概念だが、このアルバムに限ってはボックス盤自体がブライアンの生きざまを表現した「壮大な作品」となっている。大傑作に対して最大の敬意が払われていて気持ちがいい。

これについては『カントリーロック/COUNTRY ROCK』などエルヴィス・カントリーを語らせたら第一人者である、萩原健太氏のライナーノーツが分かりやすいので、紹介しておこう。

1997年11月にリリースされた4枚組CDボックス・セット「ペット・サウンズ・セッションズ」はビーチ・ボーイズ・ファンの間に大きな反響を巻き起こした。当時の録音スタジオの様子がいきいきと伝わってくる収録風景や、別ヴァージョン、歌抜きのバック・トラック、逆に演奏を全部抜いた歌とコーラスだけのトラック、そしてアナログ・ジャケット仕様のオリジナル・モノ版『ペット・サウンズ』などなど、すべてが生々しく記録されており、『ペット・サウンズ』という稀代の名盤の成り立ちを立体的に楽しめるよう構成されていた。
が、何よりもぼくたちファンの度肝を抜いたのが、ボックス・セットの冒頭に収録されていた初のトゥルー・ステレオ・ミックス版『ペット・サウンズ』だった、当時のブライアンの録音方法は、まずバックの演奏を4チャンネルのマルチ・テープに収め、それを別の4チャンネルの1トラックヘモノラルでミックス。残り3トラックにヴォーカルやコーラスをダビングするという方法だった。
だから、最終的なマルチだけを使うと演奏がモノラルのままなので、もう一本の、演奏用のマルチ・テープもシンクロさせつつ仕上げられた入魂のステレオ・ミックス。ミックスの際、もろもろのテクニカルな問題から、オリジナル・モノラル・ヴァージョンとは一部違うヴォーカル・トラックが使われたりもしているようだが、いずれにせよ当時は絶対に実現できなかったミックスだけに、このボックス・セット版ニュー・ステレオ・リミックスの意義は大きかった。

「ペット・サウンズ」の世界がより一層深く、豊かに生まれ変わっていた。よくよく思い出してみれば、ぼくが最初に買った「ペット・サウンズ」の国内盤は疑似ステレオだった。その後、72年にカール&ザ・パッションズとの2枚組(国内盤は「ペット・サウンズ」なしの1枚ものだったが)で再発されたとき、ジャケットに''本盤はブライアンが意図した通りのモノラルでカッティングした"という説明が入っており、そのとき、モノラル特有のガッツ溢れる音像に感動した覚えがある。ああ、やっぱりベット・サウンズってロックンロールだったんたな、という妙な感慨があった、

余談だが、ガッツ溢れる音像という表現には「イエス!その通り」、ハンマーで脳を叩くような<ハウンド・ドッグ>、<監獄ロック>などボクの『ゴールデンレコード第1集』はモノラルだ。第2集は疑似ステレオ、第3集はステレオ、それぞれその性格にあっているように思うのだ。

さて、エルヴィス・プレスリーのサン・セッションを収録した『サンライズ』もコンパクトかつ全部集めただけのものではあるが、心情的には同じコンセプトにある。言い出せばキリがないので、まずまずとしておきたい。しかしこちらは『ペット・サウンズ』や『リボルバー』と違って音楽史上最大かつ文化的にもエポック・メーキングな”事件”だけに、本当は『ペット・サウンズ』ボックス盤のような扱いをしてほしいと切に願う。

同じく『エルヴィス・プレスリー登場/ELVIS PRESLEY』はそれ以上の文化的”事件”である。当然ボックス盤を期待したい。正規盤(モノ、ステレオ、疑似ステレオ)アウトテイク盤、できれば『エルヴィス・プレスリー登場』のガイドの役割を果たしているビデオ『エルヴィス・プレスリー』に、<ハートブレイク・ホテル><ただひとりの男>のシングル盤をセットにして、ライナーノーツにはいまや歴史の生き証人であるポール・マッカートニー、キース・リチャーズなど。CD3〜4枚、シングルCD1枚、DVD1枚、ライナーノーツの構成だ。おまけにトム・パーカーのポートレートをつけて(冗談半分、本気半分だが・・・・釘打つファンのために?)もらえばいかがなものかと思う。【『エルヴィス・プレスリー登場/ELVIS PRESLEY』の扱いだけはホントにどうにかしてくれ!!】

ビーチ・ボーイスがロックンローラではなくロック好きな若者であったように、「ロックンロールは若いやつにはちょっとした楽しみだが、オレにとっては宗教だ」と言い放ったミック・ジャガーも、ビートルズも本質的には金と女に囲まれたロックンローラーに憧れたジョニー(ジョニー・B.グッド)だったと思う。
しかしエルヴィス・プレスリーは決定的に違うのだ。先駆者である。黒人のマネをしたとか、腰を振ってワイセツと、何もせずにいて批判だけする輩が掃いて捨てるほどいたとして、彼等が何を変えたと言うのだろうか、歴史が証人なのだ。オリジナルだ。貧しく将来が閉ざされているように見える状況から、知ってる音楽のありったけを、身体の奥からなりふりかまわず噴出させたら、それがロックンローラーだったという話。

ビートルズ『ビートルズ・フォー・セール』思えばビートルズがチャック・ベリー、カール・パーキンス、ジェリー・リー・ルイス、リトル・リチャードなどをカヴァー、ロカビリーに挑戦したアルバム『ビートルス・フォー・セール/FOR SALE』は、そのタイトルが示すように"ロケン屋ごっこ”をしているのだ。『フォー・セール』は自分たちの音楽をやるために、青春への長いお別れであるような気がする。

『フォー・セール』『ラバー・ソウル』『リボルバー』『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ』の系譜は自己発見の偉大な過程だ。それはビートルズの個人的な問題であるものの、それを超えて死と再生のドラマの素敵を示唆している。・・・限りない風の歌が聴こえるだろう。

『フォー・セール』の中で歌われる<ロックンロール・ミュージック>は愛そのもののような気がする。この曲が毎晩”ALL IS ONE”つまり「愛こそすべて」をコンセプトにしている『ハードロック・カフェ』の空間に流れることは、とっても素晴らしいことだと思う。そこにはエルヴィスが、チャック・ベリーが、ビーチ・ボーイズも、ストーンズも、セックス・ピストルズも、みんなが一緒に飛び跳ねているのだ。ブライアンは語る「どんなサウンドであってもグレート・シングルには愛が満ちているんだ!」そう、分ける意味などない、それはとてもつまらないことだ。

ロックンロールの壷のなか。
ロックンローラーとそれを追いかける奴がいて、さらにその後をパンクスが追いかけた。
すべてはエルヴィスから始まった。サウンドに過去と現在があったにしても、そこに流れている時間は決して過去と現在を分けないのだ。
分けないからこそ心地がいい。エルヴィスがドアを蹴り破った音も、ジョンとボールが夢を語ったハードな港町のコーヒーの香りも、ブライアンの脳のきしみも、シド・パレットの狂気も、みんな時間の中に閉じ込められていて、同じように胸騒ぎは終わることもなく、誰も奪うことも出来ない代りに、誰もそこでは失ったものもないし、失うこともない。録音日も記号でしかなく、新しいファンとか、昔はこうだったとか、年令も無意味。
受験にミスして落ち込んだことも、初恋の人の面影も、つまらない口論から友人を失ったことも、そこに行けば”いま”も失っていなかったことに気がついているはずだ。

そしてブリトニーがジャンプスーツで踊れば、ピンクはステージにひっくり返る。そこには見えないがゆえに恐い明日があるけれど、エルヴィスがサム・フィリップスとともにスタジオを実験室にし、ビートルズが来る日も来る日もパブのステージで1日10時間の演奏をすることによって、明日を希望に変えたように、明日を自己実現の時として受け継いでいく姿も同時にある。

<ハウンド・ドッグ><抱きしめたい><グッド・ヴァイブレーション>など鳩時計のように目立つところで活発なものもあれば、ひっそりとすみっこで置き去りになったままのものもある。
しかし<ネヴァー・エンディング>ーーー決して時は終わらないのだ。

Walk down to the beach at sunset
Look as far as you can see
You will find that endless ocean
And that's how my love will always be

l bring you never ending
Never ending, never ending, never ending
Never ending, never ending love
(It goes on and on)

Look up at the sky at midnight
Gaze upon the starlit view
Just as heaven has no boundaries
Neither does my love for you

l bring you never ending
Never ending, never ending, never ending
Never ending, never ending love
(It goes on and on)

Never ending love
(It goes on and on)
Never ending love
(It goes on and on)
Never ending love
(It goes on and on)


<ネヴァー・エンディング>は、倉本聡・作、杉田成道・演出のTVドラマ『北の国から』を思い起こさせるようなフォーキーなギターの音色とエルヴィスの丁寧さが誠実さを表現して、やさしい空気をかもし出すミディアム・テンポの楽曲。バディ・ケイ、フィル・スプリンガー共作。レコーディング・パーソネルはギター・スコティ・ムーア、ピアノ・フロイド・クレーマー、ドラムス・D.Jフォンタナ、マーレー・ハーマン、コーラスはジョーダネアーズ。<はてなきハイウェイ>で渋いピアノが光りまくるフロイド・クレーマー、ここでも快調だ。
ブライアンの<キャロライン・ノー>ような楽曲とは違う古いタイプだが変わらないサウンド。エルヴィスは夜空を風に乗って飛ぶカイトのように歌う。<今夜はひとりかい>を連想させる、少しカマトトぶったパフォーマンスがご愛嬌だが、バックコーラスがスパイシー、忘れられないギターとビター&スイート2乗な雰囲気に彩られて、海辺と満天の星が降り注ぐ情景描写はさすがにエルヴィス・プレスリー。63年5月26日録音。

歌詞だけ見てると加山雄三かと思うような、日本でもフォークとポップスかけあわせたような<空に星があるように><バラが咲いた>というような曲もあるが、そのお手本のような曲だ。

エルヴィスは晩年のコンサートで<今夜はひとりかい>を歌う時に冗談ぽくこなしていたが、これは「正解」。なにしろ加山雄三の<君といつまでも>どころの甘さではない。
まともな神経ならなかなか本気ではやりずらい曲。と、言うのも、”ウソをつき続けてもいいから、僕を愛して”というのは、あまりに男子としては無惨。若くてハンサム、何も不自由しない状態で、かつカリスマ的な人気があればこそ逆説的に通用する内容で、これを普通の男が言うと「アホか、お前は!」と女性に蹴り入れられるのがオチ。

これを当時だけで500万枚もセールスしたことは、それだけエルヴィス人気が凄かったことの証明に他ならない。桁はずれの人気絶頂期を何度もくり返しているようで、イケイケどんどん、なにしろゴールドラッシュの国、アメリカン・ショービジ感覚によって映画路線に暴走迷走したのも分かる。
しかしさすがのエルヴィスも40才にもなってくると、やりにくかっただろうし、プリシラと離別した後は特に辛かっただろう。やりたくないと思って当然。そうでなくてもエルヴィス・ファンでない女性が聴いたら、「なんなのよ!だらしないよね、エルヴィスって!シャキとしろ、シャキっと」と思うのも無理がない内容、世の中の女性が強くなった時代には尚更、この曲をケラケラ笑っていた若い女性たちがいたのも事実。口直しに<ハウンド・ドッグ>でも歌わないとおさまりがつかなくなる。という訳で、歌わないとファンがうるさいし、そのままでは抵抗があるしというあたりで、エルヴィス自身がジョークを交えて巧みにこなしていたのだろう。

しかし63年はエルヴィスもまだ若く独身のカリスマ、少々甘目にしたところで、キャーキャーとは叫んでも誰も文句は言わない。<ネヴァー・エンディング>ではうっとりさせてやるぞという意気込みが感じられるくらい甘い。だけど誠実さは隠せない。

日が沈む頃、海辺におりて
はるか彼方を見つめてごらん
視界に広がる果てしなき海は
君への愛によく似てる

君に、終わることなく
永遠に続く、終わることなく、永遠に続く
終わりのない愛を捧げよう
(いつまでも続いていく)

真夜中に空を見上げて
星が照らす景色を眺めてごらん
天国に限界がないように
君への愛も限りない

君に、終わることなく
永遠に続く、終わることなく、永遠に続く
終わりのない愛を捧げよう
(いつまでも続いていく)

終わりのない愛を捧げよう
(いつまでも続いていく)
終わりのない愛を捧げよう
(いつまでも続いていく)
終わりのない愛を捧げよう
(いつまでも続いていく)

エルヴィスが<ネヴァー・エンディング>を録音したこの時期、平和を求めた若い大統領に引率された明るく元気な全米ではポール&ポーラの<ヘイ・ポーラ>、リトル・ペギー・マーチの<アイ・ウィル・フォロー・ヒム>、ボビー・ヴィントンの<ブルー・ヴェルヴェット>、坂本九の<スキヤキ>、ジャンとディーンの<サーフ・シティ>などメロディ・ラインの美しいポップスが相次いでチャートナンバー・ワンになっていた。

この年(63年)の同時期には、日本では『ラスベガス万才』がロードショー公開中、『OO7/危機一発(ロシアより愛をこめて)』が大ヒット、米海軍の原子力潜水艦が日本寄港で問題になっていた。
イギリスでは前年<ラブ・ミー・ドウ>でメジャー・デビューしたビートルズが、エルヴィスよりビッグになる夢をこめて、4人が12時間1発録りの全力疾走で仕上げた最初のアルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』と『ミート・ザ・ビートルズ』を発表、この年、アメリカの評価は低かったがヨーロッパでは爆発的な人気を獲得していた。ジャマイカがイギリスから独立した年でもあった。

64年には、ビートルズ、ストーンズを追いかけてイギリス4大バンドのひとつ、ザ・キンクスがデビュー。どのバンドも猛烈な勢いでリリースを続けた。アメリカの女の子は「エルヴィスは死んだ」のポスターを持ってビートルズを空港で迎えた。水玉、ポニーテールの妹たちは、大人への階段を上がるために自分たちだけのアイドルが欲しかったのだろう、素敵なことだ。

ビートルズはエルヴィスから学んだ誠実さで同じように応えた。ファンが雨に濡れていたら、自分たちも雨の中に立った。コンサートでは深々と頭を下げた。エルヴィス同様にシングルヒットはアルバムに入れないことを守った。ファンに同じものを二度買うようなことをさせたくなかったからだ。アルバムには14曲を用意した。エルヴィスへのいい加減同様にアメリカのキャピトル・レコードは無視して、曲数を2~3曲減らす、ダブらせることをしたが、ポールは「ボクたちのやったことじゃない」と怒り、イギリスでは誠実に守られた。
<ネヴァー・エンディング>はそんな年に60年録音の<サッチ・ア・ナイト>のB面としてリリースされた。すでにフロンティア魂のケネディは亡く、明るく元気なアメリカも憂鬱なロンドンの霧が似合うようになっていた。続々と新品が誕生するブリティッシュ・サウンズが大爆裂の年だった。

その後、<ネヴァー・エンディング>は国が混乱を深める1967年『ダブル・トラブル』のボーナスソングとしても収録された。時代に翻弄され続けた曲は『ロストアルバム』の1曲でもあった。
『プリーズ・プリーズ・ミー』から『リボルバー』までわずか3年、時の勢いの埃をかぶって、部屋の隅っこで小さくなりながらも、満天の星が降っているのを見つけたら、そっとひろいあげて耳を傾けてもらえたら、うれしい。優等生じゃなかったけれど、自分よりも先に他者のことを考えるココロの優しい子だった。置き去りになった優しさに、終わりなんかないからねと言ってあげたい。・・・傷のように時の印をつけて、ネヴァー・エンディング。過去と現在が同じように同じリズムで呼吸している。
”お富さん”の座ぶとんで聴くロケン屋の密かな情景。それもやっぱり素敵じゃないか。


アサーティブネスとは何か?


エルヴィスが社会を動かした―ロック・人種・公民権
書籍
エルヴィスが社会を動かした―ロック・人種・公民権
マイケル・T. バートランド 著

アメリカの差別構造と偏見を破壊したのは、皮肉にも、もっとも人種差別の激しい南部出身の白人青年エルヴィス・プレスリーによるロックンロールだった。エルヴィスの音楽活動と、それを支持した若者を通じて、その社会構造を解き明かす力作
アメリカに興味のある人、すべてのロックンロール、サブカルチャー、ティーンエイジ、50年代〜60年代の社会に関心のある方には、絶対おすすめです。



エルヴィス主演「恋のK・Oパンチ」のサントラ、アウトテイクを網羅。

Kid Galahad

デビューからファイナルまで、特選ロックを集約した日本オリジナル企画の価値ありの一枚。

ロックンロール/エルヴィス・プレスリ−

迫真のステージを感動体験(DVD)
エルヴィス・オン・ステージ スペシャル・エディションDVD
  
 
ナンバー1ヒッツを集めた究極のベストアルバム、世界17カ国でチャートトップ
ELV1S:30 #1 HITS  

ナンバー1ヒッツだけで語れないエルヴィスの第2ベストアルバム
ELVIS 2nd TO NONE

  
世界中をとりこにしたメガヒット・シングルを集めた伝説のアルバム

エルヴィスのゴールデン・レコード第1集 

1968年のライブ!不死鳥伝説の凄まじい迫力 
エルヴィスNBC・TVスペシャル [LIMITED EDITION]

60年代前半の映画3作品を集めたサントラ盤、アウトテイクが楽しい
燃える平原児・嵐の季節・夢の渚


エルヴィス30ナンバー1ヒッツ
ELVIS 30#1 HITS
2002年9月25日全世界同時発売

1. Heartbreak Hotel/ハートブレイク・ホテル
2. Don't Be Cruel/冷たくしないで
3. Hound Dog/ハウンド・ドッグ
4. Love Me Tender/ラヴ・ミー・テンダー
5. Too Much/トゥー・マッチ
6. All Shook Up/恋にしびれて
7. Teddy Bear/テディ・ベア
8. Jailhouse Rock/監獄ロック
9. Don't/ドント
10. Hard Headed Woman/冷たい女
11. One Night/
ワン・ナイト
12. A Fool Such As I/ア・フール・サッチ・アズ・アイ
13. A Big Hunk O' Love/恋の大穴
14. Stuck On You/本命はお前だ
15. It's Now Or Never/イッツ・ナウ・オア・ネヴァー
16. Are You Lonesome Tonight/今夜はひとりかい?
17.
Wooden Heart/さらばふるさと
18. Surrender/サレンダー
19. His Latest Flam! e/マリーは恋人
20. Can't Help Falling In Love/好きにならずにいられない
21. Good Luck Charm/グッド・ラック・チャーム
22. She's Not You/あの娘が君なら
23. Return To Sender/心のとどかぬラヴ・レター
24. Devil In Disguise/悲しき悪魔
25.
Crying In The Chapel/クライング・イン・ザ・チャペル
26. In The Ghetto/イン・ザ・ゲットー
27. Suspicious Minds/サスピシャス・マインド
28. The Wonder Of You/ワンダー・オヴ・ユー
29. Burning Love/バーニング・ラヴ
30. Way Down/ウェイ・ダウン

Bonus Song: A Little Less Conversation (Radio edit)/
ア・リトル・レス・カンヴァセーション(ラジオ・エディット)

ボーナス・エンハンストCD 収録ビデオ
1. A Little Less Conversation (Original)  ア・リトル・レス・カンヴァセーション(オリジナル)
2. A Little Less Conversation (Extended Remix) ア・リトル・レス・カンヴァセーション(JXLリミックス)
3. A Little Less Conversati! on (Music Video) ア・リトル・レス・カンヴァセーションMTVビデオ・クリップ

備中鴨方女うどん 世界で一番大切な君に話すこと。


エルヴィス・プレスリー全仕事

死ぬまでに聴きたいエルヴィス100曲
備中鴨方女うどん 世界で一番大切な君に話すこと。
エルヴィス  キングなおススめ
エルヴィス・プレスリ− キングなオススメ
エルヴィス・プレスリー全仕事
エルヴィス・プレスリー全アルバムデータ
エルヴィス・プレスリー全シングルデータ
エルヴィス・プレスリー全楽曲データ
エルヴィス・プレスリー ソングブック
エルビス・プレスリー映画大研究
エルヴィス・プレスリー電脳シアター
エルヴィス・プレスリーWHO'S WHO
エルヴィス・ハートブレイクな書き場
エルヴィス・プレスリーのフォトギャラリー
ミュージカル「エルヴィス・ストーリー」
Elvis Kids
エルヴィス・プレスリーのリンク集
ロックンロール・ザ・100
キレイなゲンキ専門店 ゲンキポリタン
 

 

 

死ぬまでに聴きたいエルヴィス・プレスリー100曲



愛ピのエルヴィス・プレスリー コレクション


エルヴィスに聴け キングなおススメ エルヴィス全仕事 

全アルバムデータ 全シングルデータ 全楽曲データ  
SONGBOOK エルビス映画大研究 電脳シアター 

WHO'S WHO ハートブレイクな書き場 フォトギャラリー ミュージカル キッズ・エルヴィス 

リンク  ロックンロール100  
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