マネジャーは計画を実行する前に準備します。
そのときに部下が目標を果たせる能力を確認します。
部下に達成できる能力もないままに、やらせることは最初から達成できないことを分かっていてやるのとと同じです。
これではマネジャーの能力を疑われます。
能力の不足を発見するから改善ができ、成長も可能になります。
そこで、トレーニングの必然が生じます。
しかし、この段階で問題が表面化します。
部下の気持ちがやらん気・やれん気で揺れ動くからです。
部下の揺れる気持ちにマネジャーはイライラするかも知れません。
そこで態度が、正しいか、間違っているかを基準にして問題にしても意味がありません。
基準は、「マネジャーは部下を使って目標を達成するのが仕事」だからです。
マネジャーは気持ちをスイッチチェンジして、部下と価値観の違いをぶつけ合います。その結果・・・・
・あの人と一緒に働きたい
・あの人に学びたい
・あの人のためならがんばれる
部下がこう思わずにいられない自分をメッセージします。
「自分のことを考えていてくれている」とは
自分を一人前に扱ってくれていることに他なりません。
WIN-WINな関係は、そこから始まります。
それはコミュニケーションが適切な人、自分のいいたい事だけを伝える人ではなく、部下の言葉、気持ちを聴いてくれる人。部下の意見を受け止める人です。
受け止めた上で最良の判断ができる人、その最良を行動に落とし込み支援してやれる人です。
▼モチベーションアップの鉄則
モチベーションを高めることができるマネジャーは、4つの「あの人らしさ」に集約できます。
・自分のことを真剣に考えてくれる「ありがたさ」
・確固たるポリシーを持っていて揺らがない「厳しさ」
・自分を認めてくれている「やさしさ」
・どこに出ても間違いのない「確かさ」
あの人らしさが届くのは、部下が揺れ動いているときです。
やる気をぶち壊す人のらしさとは対照的です。
やる気をぶち壊す人は
・自分のことを考えてくれない「うらめしさ」
・その都度揺らぐ矛盾だらけの「いい加減さ」
・自分を認めない「冷たさ」
・公から逃げ出す、関わらない「曖昧さ」
コミュニケーションを断絶する人がやる気を壊します。
▼モチベーションアップの危機
ところが、ほとんどのマネジャーは、部下の言葉、気持ちを聴いているつもりだし、断絶しているとは思っていないものです。
どうして断絶しているように見えるのか、その理由は次に。
▼モチベーションアップの常識
■降参できる人がいい上司
ほとんどの上司は、部下の言葉、気持ちを聴いているつもりだし、コミュニケーションが断絶しているとは思っていない。
それなのに、部下の目には”断絶”と見えてしまうのは理由があります。
部下にしてみたら、自分の気持ちに理解を示さないように映るのは、マネジャーが心では気遣いしているつもりでも、自分の感情と相手の行動(態度)に注目しているからです。
本当は自分の行動と相手の気持ちに注目するべきなのです。
特に部下が矛盾している場合には、行動と心が裏腹なことが少なくありませんが、その場合知ってほしいのは心の方なのです。
そのときに、マネジャーが自分の感情と相手の行動(態度)に注目していると、相手は無視されていると感じてしまいます。
・あの人がいることで「やる気になる」
・あの人と一緒に働きたい
・あの人に学びたい
・あの人のためならがんばれる
コミュニケーションが適切な、やる気を作り出すマネジャーとは、矛盾を解決してあげられる人なのです。
”自分はやらん気、やれん気でいっぱいだけど、一人前に扱ってほしい”という本人が解決できない矛盾を解決してくれる人なのです。
ほとんどの上司は、部下の言葉、気持ちを聴いているつもりだし、コミュニケーションが自分の手によって断絶しているとは思っていないもの。
それなのに、部下の目には”断絶”と見えるには理由があります。
マネジャーが気遣いしているつもりでも部下の気持ちに理解を示さない上司に見られるのは、マネジャーが、自分の感情と部下の行動(態度)に注目しているからです。
本当は自分の行動と部下の気持ちに注目するべきなのです。
人は不安があると矛盾が生じるものです。
行動と心が裏腹なことも少なくありませんが、部下が知ってほしいのは心の方。マネジャーが自分の行動と部下の気持ちに注目していると矛盾に惑われませんが、これが逆だと部下は無視を感じます。
とかく自分の感情と相手の行動(態度)への注目はコミュニケーションの時限爆弾。
・あの人がいることで「やる気になる」
・あの人と一緒に働きたい
・あの人に学びたい
・あの人のためならがんばれる
コミュニケーションが適切な、やる気を作り出すマネジャー、部下にあの人と働きたいと思わせるマネジャーとは、自分の行動と部下の気持ちに注目している人で、
なにより、なにより、「矛盾を解決してあげられる人」なのです。
”自分はやらん気、やれん気でいっぱいだけど、一人前に扱ってほしい”本人が解決できない矛盾を解決してくれる人なのです。
やれん気、やらん気をやれそうな気、やる気に変えてくれる人です。
”虫のいい話”と言ってしまえば、それまでです。
”虫のいい話”ほど、深い葛藤の証明なのです。
都合のいい話を受け入れて導いてくれる人、それでいて先導役の顔をしない人。実にありがたい存在です。
部下にしたら自分が降参できる人がいい上司です。
尊敬できる理由がないと自分が馬鹿に思えるので、上司が便利屋では困ります。
降参する理由がないと尊敬できないのです。
だから「あの人なら間違いがない」というすごい人でないと困るのです。
「心意気」ですから、肩書き以上に大切です。
誰かに「あの人すごいだろう」と投げたら、「そうだよね」と返ってくる人でないと自分のプライドが傷つきます。
筋道の通った頑固さ、つまりポリシーを曲げない怖い人であり、自分を受け入れてくれる包容力のあるやさしい人でないと困るのです。仕事ができて、理想的な父と母の役割を果たしてくれる人です。
▼モチベーションアップのポイント
やる気が作られる場面をもう一度、確認しておきましょう。
Step.1)準備(計画)スタート
Step.2)能力の不足の発見
Step.3)不足を補うトレーニングの実行
Step.4)トレーニング実行段階での障害
やらん気・やれん気の露呈、
一人前に扱ってほしい欲求、矛盾の露呈
Step.5)障害を越えるための共同作業(矛盾の解決)
Step.6)葛藤から救い出す作業
(話を聴く=自分のことを考えていてくれている)
「あなたは価値ある人だ」と言われたくない人間はいません。
モチベーションを引き出すとは、もしかしたら自分は価値がないのではないかという不安や葛藤から救い出すことであって、やさしさなのです。
▼モチベーションアップの常識
■ やる気を習慣に変える
やる気は続かない事実
・気分だから続かない
・続かないから先手のフォローが必要(習慣にする)
・フォローは、いまこの瞬間、現場で
・(上司は)気分の盛り上がりで安心しない
・結果で判断、プロセスに関心が弱い人
そうして引き出したやる気は、どこまで続くのか、人と状況によって変わりますが、やる気は気分ですから、継続しないと考えるのが妥当です。
継続させるには、フォローによる「習慣化」が必要です。
効果的なフォローは、常に「いまこの瞬間に」「現場で」繰り返し何度でも、耳にタコができるまでやる。
古い習慣は無意識の反復ですから、理屈や意志では太刀打ちできないことが多い。古い習慣が出る前に先手先手で新しい習慣の行動量で防ぎます。
これを嫌がられると思うか、そうでないと思うかは、指導する側の勝手な思い込みでなく、勇気づけ、励ましとふさわしいメッセージを投げ込んでいくことです。
それは結果で判断するのではなく、いつもプロセスに関心を持ってプロセスから対策を導いてあげる。
つまりプロセスに間違いがないか注目して、間違っていなければ続けることを奨励、望ましい結果が出たときには、プロセスのなにが功を奏したのかをきちんとタイムリーに伝えてあげます。
当事者には結果を出すためのプロセスこそ大変です。
それを知っていてくれて、それを賞賛してくれることは、”自分のことを見ていてくれている”と心理的な近さを感じます。
やる気を気分から習慣に変えるために、プロセスから目を離さない。コーチングの鉄則であり、やる気を作り出す優れたマネジャーの鉄則です。
一方、結果が良いと褒める人がいます。
これはプロセスを見ていなくても、知らなくてもできるので簡単です。目標を共有していなくてもできます。
結果で褒める態度は、上から目線であるために、褒められたときには嬉しくても、当人の孤独感はそのままになるため、上司との心理的な距離感は遠いものがあります。
人は大切に扱われたい、価値ある存在と思いたいと願いながら、孤独と不安にやられてしまうものです。
安直な遊興や消費で紛らわす逃避をするうちに、コツコツと積み上げるしかない努力を遠ざけて、最後には忘れてしまいます。
このような結果にならないように、計画力、危機管理スキルを働かせて、目標とプロセスを共有して、やる気を習慣に変えるサポートは不可欠です。
▼モチベーションアップの王道
■やる気を習慣にする切り札が計画力
矛盾を解決する力
・辛酸、苦渋をなめまくった人が、体験を通して身につけている計画力
・等身大で人間を受け入れることができる(自分も他者も否定しない)
・当の本人がメンタル面で安定、幸福=ポリシーを持っている。
計画するとは
・逆算
・明日福岡に10時に着くとしたらどうしますか?
・予測される障害、危機を網羅して、ことごとく突破する対策を講じること。
・計画が数多くの問題を解決する。
・計画がないところには問題が山積する。
・計画と目標は違う。
「矛盾を解決していく人」に、一番近いポジションにいる人は、計画を作れる人です。ご存知のように目標を達成する方法、それが計画です。
計画するとは、目標を達成する方法を逆算で組み立てることです。
計画内容と実態がかけ離れてしまう具体性に欠けた精神論ではあっては困ります。がんばらなくてもできる方法を組み立てるのが計画です。
その計画を実行するためにがんばることになりますが、”がんばって山登りましょう”という感覚とは別物、大違いです。
【逆算の分かりやすい事例】
あなたが東京に出発して、明日10時に福岡に着くには、
どういう段取りでどうするか、その答えを出すことです。
これが逆算です。
10時に着くために、予測される障害、危機を網羅して、ことごとく突破する対策、スケジュールを講じると思います。これが計画です。
逆算するから計画できるのです。
部下の矛盾は、この計画に組み込む課題であり、同じように逆算で対策を講じて計画に織り込みます。
マネジメントはマンパワーこそ中核です。マンパワーという重要な問題を組み込んでいない計画は破綻するのは明らか、計画としては失敗は必至です。
裏を返せば、計画が数多くの問題を解決に導くことを意味しています。
▼モチベーションアップの秘訣
■矛盾がエネルギーになる
計画がないと問題が山積されます。出たとこまかせのやり方では、マンパワー対策が必須になっていないので、部下の矛盾を解決するのが難しいのです。
解決するどころか、逆に矛盾を生み出してしまう、やる気ブレイカーになる可能性があります。
計画がないために、山積している問題が次々と露呈するために、
・顔を会わせたら数字のことを言う
・過去の成功方法や自分の心構えを言う
・部下が自主的に動かないので指図をする
以上のようなことが起こる結果
・顔を会わせた数字のことばかりでやる気を失う
・過去の経験ばかり言われるのでイヤになる
・我慢しても先を思うとイヤになる
・指図ばかりでハラがたつ
・こっちの気持ちを考えてくれない
・・・・・・・
と、いうように部下の不満が噴出することになります。
しかし、ほとんどのマネジャーは部下の心情を考慮しているつもりです。
むしろ遠慮している場合も多いものです。
残念にも、それが伝わらないのは、マネジャーが”トホホ”の状態に陥って、部下の行動に注目して、自分の感情に注目するという反対をしてしまうからです。
計画しないと連鎖的に破綻していくことを計画に織り込んでいるのが、あるべき計画です。計画がなくても仕事ができるのは、受身だからです。主体的に能動的に行動するには、予定がなければ動けません。指示や権限の委譲ができるのは、主体的に能動的だからです。受身でも権限の委譲はできますが、この場合、形だけで主体性もなく、能動的ではないので責任だけを押し付けられた感じがします。
つまり誰かが指図していることを意味していて、顧客である場合がほとんどで、右往左往に為りかねません。
なぜ右往左往するか、「腐ったホウレンソウは食えない」をお読みください。
http://www.genkipolitan.com/0000000000(近日アップします)
▼モチベーションアップの原理原則
どうしていいのか分からない、うまくいかないことを心配するから計画を練り上げます。
ところが計画を作らない人、雑にする人は、分からないから計画が作れないと言う。
同じ問題に直面したときに、選択が違うということが分かります。
これは部下の矛盾に直面したときも同じで、選択の違いなのです。
矛盾しているから救ってやろうと思う選択もあれば、
矛盾しているから関係ないと選択する人もいます。
選択の違いは、価値観、危機予測のセンスの違いですが、危機管理が苦手な人ほど、自分と話があう、ウマがあう人を重宝します。
それが悪いというわけでなく、問題を避ける傾向が強いということです。
しかし、問題があるか、ないかは、問題そのものがあるわけでも、ないわけでもなく、問題を見る人の基準で、問題にもなるし、問題にもならないのです。
そして現実は、当人のセンスに投げ返してきます。
「不況だから」「買わないお客が悪い」「部下が悪い」という理由は、認識と現実のギャップから生まれてきます。
問題を生み出す力は、認識と現実のギャップを先読みする力であり、人を育てる力の源です。
業界試算、前年比95%は、誰もが95%ではなく、110%と90%の平均であって、先読み力、計画力の平均です。
知り合いの雑貨店の店長はディスプレーの商品の角度が1センチづれているだけで問題にします。
その部下の人は、それがどうしたのという顔で聞いています。
しかしその部下の方とお茶していたら、「展示の変更で徹夜しても、店長は疲れた表情を絶対に見せない。プロとはあの人のことですよ!」店長はすごいと賞賛しまくりです。
矛盾という摩擦は、生きるエネルギー、働くエネルギーなのです。
▼モチベーションアップの常識