洗い立ての黒い髪が馨って今にも飛んで行きそう
カシス色に染まった爪 潤んだふたりの粘膜みたい
悪いけれど葡萄酒ならば自分の口唇ダイレクトで
グラスよりも其の御口に注いで戴きたいのだもの
「始めませふ
安易な位置づけ
属隷の興行
簡単な選択
わたしは今夜 唯 攻められたひ 」
類稀に理由もなく平伏すだけの場合が有るの
近いようでも他人であるそれ以外何も無い寂しさ
「辱めて
小粋な言葉で
匂はす首
強引な仕草で
捩じ伏せて
増歪懸けたら
淫蕩ふ布
簡単な選択
わたしは只現在 あなたが依々」
蜷色に埋もれども雑じり気なき身