イン・ザ・ゲットー
In The Getto
2006年に聴く
イン・ザ・ゲットー
<イン・ザ・ゲット−>は、灰色の大都会の匂いが、風に舞うゴミ屑と一緒に飛んできそうな曲。
アメリカを支えている時給200円の世界をどんな気持ちで歌っていたのか、エルヴィス本人にしか分からないことですが、抑制の利いたパフォーマンスで迫ります。
エルヴィスの声が響きます。
雪の舞う
曇った寒いシカゴの朝
貧しい赤ん坊が生まれる
ゲットーの中で
赤ん坊の母親は嘆く
彼女が最も望んでいないものは
腹をすかせた小さな子供
ゲットーの中で
みんな、わからないのか
子供には救いの手が必要だと
でなければいつか荒んだ少年になってしまう
目分自身に目を向けろ
我々には何も見えないのか
クルリと向きを変えて
見て見ぬふりをしてるのか
そして時は過ぎ
鼻をたらした空腹の少年が
冷たい風の吹く中、通りで遊ぶ
ゲットーの中で
彼は餓えに耐えかねて
夜の町をうろつき始め
盗みを覚え
喧嘩も覚える
ゲットーの中で
そしてある晩、ヤケになり
無我夢中で走り出す
銃を買い、車を盗み
逃げようとするが、遠くへは行けず
彼の母親が泣く
荒んだ青年の回りには人たかり
銃を片手に、うつ伏せで死んでいる
ゲットーの中で
青在が死んでいった
曇った寒いシカゴの朝
また別の貧しい赤ん坊が生まれる
ゲットーの中で
そして赤ん坊の母親は嘆く
(川越由佳氏:訳)
「エルヴィス・30ナンバ−ワン・ヒッツ」より
どこの国でも掃除を拒否した町があります。
スラムには平気でゴミが舞い飛んでいます。
掃除を拒否した町は無残ですが、そんな町でも誰かが掃除をしてくれています。
アメリカでも日本でも同じ。
決して高いといえないお給料で、寒い朝早くから夜遅くまで働いている。
国の法を逸脱したハードな環境で、給料の半分は1ルームの家賃に消えていく。
本当は、そんな人にこそ、ゆっくりさせてあげたいけれど、現実は逆で、クリスマスも朝から晩まで、正月休みも2日もあれば幸運。
メディアは勝ち組、負け組と無神経にレッテルを貼って、さらに傷つける。 左寄りのメディアを筆頭に、なにかと政治を攻撃してきたけれど、
本当に、この国をおかしくしているのは、 見て見ぬふりのスタイルではないでしょうか?
ゲットーとは何でしょうか?
特定のエリアと判断すればいいのでしょう。
ボクたちは、共同体の中で暮らしています。
いろんな共同体がありますが、グローバル」が最大の共同体として、小さなものでは家族がそうです。
問題を起す人々の特長は、共同体感覚が欠如があげられます。
共同体感覚がないと人生の建設的な側面から離れていく方向へ向かってしまいます。
いわゆるアウトサイダーです。
これらの人々を犯罪、中毒、精神障害へ誘導しますが、
人々へ関心を持つように導くことが最大の援助ではないでしょうか?
他者と関わるより、自分への関心が強く、疎外感から、他者への依存度を深めるものの、自分への誤った理解と関心が高いために、他者を信じられないないため、構造的な不安に苛まれるために、消極的な攻撃性が強くなつったり、回避的になったりします。
どうしても敬遠させがちになりmす。
青年が死んでいった
曇った寒いシカゴの朝
また別の貧しい赤ん坊が生まれる
ゲットーの中で
そして赤ん坊の母親は嘆く
この歌詞は、一人の人間の中で起っている状態でもあります。。
同時に同種の人が集まったアウトサイダーの集団であるひとつの共同体、つまりゲットーで起こります。
ひとりひとりを救助しない限り、
ゲットーへの救いの手は届きません。
・・・エルヴィスは歌います・・・
♪目分自身に目を向けろ
我々には何も見えないのか
クルリと向きを変えて
見て見ぬふりをしてるのか
そして時は過ぎ
鼻をたらした空腹の少年が
冷たい風の吹く中、通りで遊ぶ
ゲットーの中で♪
救うためには、ひとりの人を救うには、その人に仲間へのまなざしを持たせ、共同体への関心を強めさせることです。
あなたの仲間のためにあなたが出来ることは何か?
それを実行することがあなたにはできるはず。
あなたの助けを求めている人がすぐ近くにいる。
他者を助けようとするとき、自分を救い出すことができます。
結局、他者への無償の愛こそが、自分への愛だというところにたどり着きます。
エルヴィスは歌います。
♪ そしてある晩、ヤケになり
無我夢中で走り出す
銃を買い、車を盗み
逃げようとするが、遠くへは行けず
彼の母親が泣く
荒んだ青年の回りには人たかり
銃を片手に、うつ伏せで死んでいる
ゲットーの中で ♪
この青年や母親はどこにいるのでしょうか?
それは自分の子かも知れません。
職場の同僚かも、上司かも知れません。
隣の奥さんかも知れません。学校の先生かも知れません。
アメリカ人の肥満を見て笑う人は少なくないけれど、
心が肥満体になってしまった日本人に
いまこそ響く<イン・ゲットー>のように思うのはボクだけでしょうか?
エルヴィスの優しい横顔が
無性に懐かしく、切なくなる
2006年に聴く<イン・ザ・ゲットー>です。
<イン・ザ・ゲット−>は、映画「エルヴィス・オン・ステージ」でも歌われています。
<イン・ザ・ゲットー>
■サスピシャス・マインド〜メンフィス・1969・アンソロジー
■ELV1S:30ナンバー・ワン・ヒッツ
■ライヴ・イン・メンフィス
[LIMITED EDITION]
圧倒する怒涛のライブ。50年代の興奮が蘇る故郷メンフィスのコンサート。
R&Rメロディを聴けばすべては解決する。<偉大なるかな神>はグラミー受賞。