涙のしずくのように憂いと潤いのある声。
エルヴィス・プレスリーならでは哀愁を帯びた声が、
<はてなきハイウェイ>では、平静を保つように、淡々と転がっていく。
声とは対照的に突き抜けた明るさと乾いた空気を感じるパフォーマンスが、他人事のように客観的に見つめているようで印象的。
どこへ行こうが頭から離れない愛しい人の面影、仕草、言葉。
それらとどれだけ格闘しても、自分をねじ伏せる強い力。
起きて敗北、寝て敗北。枕は岩、口にする水は泥水となって襲いかかる。
深ければ深いほど、一途であればあるほど痛み。ただ敗北感だけが道連れ。
男は死んでしまうのか?
大丈夫、
♪ keep on going ♪
このまま進んで行かなくちゃ ♪
しかし、何のために?
ひとりの女と別れることは、別のひとりの女、もしかしたら、もっといい女に出会う可能性でもある。
物事の選択は、自分の選択でしかない。
♪ Tell her she's the one to blame ♪ あの娘のせいだと伝えてくれ ♪
そうは言っても、あの娘の選択ではない。生きようが死のうが、全部自分で引き受けて生きるだけだ。自分の選択だ。
♪ keep on going ♪ このまま進んで行かなくちゃ ♪
男は自分にムチを入れる。
♪ keep on going ♪
<はてなきハイウェイ>は男の詩だ。乾いている。
理屈が通じない女の世界。感情に弾き飛ばされた男は、全く情けない話だと自嘲しながら、キズつくことを選択した。
愛した女を守ってやりたいと思った男は万能の神の力を羨望する。
愛してしまった男の心はお守りの気持ちと同じ。
神の力にかけて、どれほど古びてもご利益がなくなったとは言えない。
失恋ごときで砕けていられない。ロックンロールだ!<はてなきハイウェイ>
踏まれるほどに守り抜きたい心もあった。
男はブルー・スエード・シューズをはいて旅に出た。
男は自分にムチを入れる。
♪ keep on going ♪
このまま進んで行かなくちゃ ♪
それが何になるのかと聞いてはいけない。
自分の良心にかけて、自分の良心を涙で磨くとき、男は自分になる。
keep on going
自由万歳!C級生活万歳!エルヴィスは最高だ!
<はてなきハイウェイ>男になる旅は終わらない。
(It's a) Long Lonely Highway
It's a long lonely highway
When you're travellin' all alone
And it's a mean old world
When you've got no one to call your own
And you pass through towns
Too small to even have a name
* But you gotta' keep on going
On that road to nowhere
Gotta' keep on going
Though there's no one to care
Just keep an moving down the line
It's a long lonely highway
Without her by my side
And it's a trail full of teardrops
That keep on being cried
My heart's so heavy
It's a low down dirty shame
* Repeat
l got a rock for my pillow
Beneath a weeping willow
And the cool grass for my bed
My drinking water's rnuddy
So don't you tell rne,buddy
That I wouldn't be better off dead
It's a long lonely highway
Gettin' longer on this mind
And if she don't corne and get me
Well, I gonna' Iose my mind
So if you read about me
Tell her she's the one to blame
* Repeat
<はてなきハイウェイ>は、映画「Tickle
Me」(邦題「いかすぜ!この恋」)の挿入歌として使用された。
合計9曲が歌われた。
<いかずぜ!この恋>と共に4曲が2枚のシングル・リリース。
残りは<がっちり行こうぜ><ナイト・ライダー>などを5曲を収録したEP盤でリリースされた。
この映画のアルバムはなし。
1965年のエルヴィス・プレスリー主演映画「Tickle
Me」(邦題「いかすぜ!この恋」)は。監督ノーマン・タウログ。共演はジュリー・アダムス。「ダッジ・シティ」などB級映画に出演していたキュートな女優。
時代は現代だが、ウェスタン・スタイルのロデオ男が印象的。恋とゴースト騒動のコメディ。
尚、、最近では<はてなきハイウェイ>のことを、<はてしなきハイウェイ>と表記しているものが多い。
▼映画公開当時はアルバムはリリースされなかったが、
現在は下記のCDでアウトテイクも含めて全曲聴くことが可能になった。
Tickle
Me
[Original recording remastered] [Soundtrack]
[from UK] [Import]
1. I Feel That Ive Known You Forever
(March 19, 1962)
2. Slowly But Surely (May 27,1963)
3. Night Rider (October 15, 1961)
4. Put The Blame On Me (March 12, 1961)
5. Dirty, Dirty Feeling (April 3, 1960)
6. It Feels So Right (March 20, 1960)
7. (Such An) Easy Question (March 18, 1962)
8. Its A) Long Lonely Highway (Single
Master) (May 27, 1963)
9. Im Yours (Undubbed single master) (June 25, 1961)
10. Something Blue (March 18, 1962)
11. Make Me Know It (March 20, 1960)
12. Just For Old Time Sake (March 18, 1962)
13. Gonna Get Back Home Somehow (March 18, 1962)
14. Theres Always Me (March 12, 1961)
15. Allied Artists Radio Trailer (Version 1)
16. Slowly But Surely (Take 1) (May 27,1963)
17. It Feels So Right (Take 2) (March 20, 1960)
18. Im Yours (LP Master) (June 25, 1961)
19. (Its A) Long Lonely Highway (LP Master)
(May 27, 1963)
20. I Feel That Ive Known You Forever (Take 3) (March 19, 1962)
21. Night Rider (Take 5) (March 18, 1962)
22. Dirty, Dirty Feeling (Take 1) (April 3, 1960)
23. Put The Blame On Me (Take 1 & 2) (March 12, 1961)
24. (Such An) Easy Question (March 18, 1962)
25. Allied Artists Radio Trailer (Version 2)
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