ラヴ・レタ−
LOVE LETERS
エルヴィス・プレスリーが、66年5月と70年6月に2度録音した<ラヴ・レタ−>
<遥かなる山の呼び声>で有名な「シェーン」、<ジョニー・ギター>の「大砂塵」など、映画同等、それ以上に有名な楽曲を多く遺したことで知られる映画音楽の巨匠ビクター・ヤングが、同名映画「ラヴ・レタ−ズ」のために作曲したものです。
エルヴィスは、自身の主演映画「フランキー&ジョニー」と「カリフォルニア万才」のサントラ2つの間に<ラヴ・レタ−>をシングル・リリース。これが66年5月録音のもの。
<偉大なるかな神>を収録したアルバム、「ゴールデン・ヒム」録音時に<青い涙>や<横町を下って>などと併せて録音したものです。
同時期に録音された楽曲と比べながら聴くと、驚くほどそれぞれに違うエルヴィスに出会えます。
70年6月録音のバージョンは、「 ラヴ・レター・フロム・エルヴィス」に収録され、美しいジャケットは女性ファンの心に、遠いエルヴィスを近づけました。
君の心からのラヴ・レタ−
遠くの人を近づける
夜がきても寂しくはない
君が綴る愛さえあれば
*一言一句、記憶して
君のサインに口づける
そしてダーリン、また始めから読み返すのさ
君の心からのラヴ・レタ−
*くり返し
歌詞翻訳:川越由佳氏
<ラヴ・レタ−>
■ラヴ・レター・フロム・エルヴィス
恋心・・・・・
赤の他人から見れば、ほほえましくも「狂気」以外の何ものでもないにしても。コツコツと励ましを重ねていけば、物語。
♪ 一言一句、記憶して
君のサインに口づける♪
そしてダーリン、また始めから読み返すのさ♪
ラヴ・レター・・・・・・
それは魔法の封筒に包まれたキャンパス。
人はそれぞれに言いようのない不安を胸にかかえて暮らしています。
励まし勇気を与えて、君はひとりじゃないと語るとき、心は生命力に出会い、触れ、自らの命に力を感じます。
心となったエルヴィスの歌声と、ペンになったピアノとストリングスが、紆余曲折を超えていくかのように、丁寧に一文字、一文字綴っていきます。
♪ l 'm not alone in the night
夜がきても寂しくはない
When I can have all the love you write
君が綴る愛さえあれば ♪
手紙を出す相手がいて、送ってくれる人がいて、待ち望む日常がある。
それが人生に向う自分への応援であることに気がつく瞬間に、よろこびがまごころに美しく染まっていきます。
ペーパーナイフを選び、封筒が傷つかないように、慎重に息を殺して封をあける。
封筒の一片たりとても失うことを自分に許さない思いに、特別であるサインを施す。
ラヴ・レター・・・・・・それはいつだってふたりの恊働作業。読んでは汚れがつかないように箱に入れては、取り出して読み直す。
ふりかえれば、感情に太刀打ちできない四季の色彩と匂いががんばっている。
あの時の君、その時の君が、私の見た四季を背景に浮かんでくるときに、時空を超えてひとつになった想いがあることを知る。
一緒にいても一緒にいない人たちもいれば、離れていても離れていない人たちがいる。
言葉を交わしても会話していない人たちもいれば、言葉を交わさなくても会話している人たちがいる。
顔を合わせていても、見つめていない人たちもいれば、顔を合わせていなくても、見つめている人たちもいる。
それは、神の仕業でも、他人の仕業でもなく、それぞれに自分の選択。
♪ 一言一句、記憶して
君のサインに口づける ♪
エルヴィスは自らの選択した者の重みを受けとめて、その歌詞の通り、一言一句に緊張感を漂わせながら、声を走らせ続ける。
そっと女性コーラスが入る66年バージョンのエルヴィスの歌声からは、悲しくなるほど切ない喜びの感情が、ふたりだけの世界にしんみりといきわたるかのよう。
打って変わって、70年バージョンのエルヴィスは自ら社会に向うかのようなダイナミックさからは、感謝の気持ちがこぼれてくるようだ。
ラヴ・レタ−、
それはいつも私を励ましてくれた記録。
♪ そしてダーリン、
また始めから読み返すのさ♪
励ましを忘れたら恋は終わります。