好きにならずにいられない
Can't Help Falling in Love
賢者は云う、愚か者だけが慌てると
でも君を好きにならずにいられない、
とどまろうか、でもこれは罪なのか
君を好きにならずにいられないとしたら
海へと確実にそそぐ川のように
流れに身をゆだねるべき時もある
さあ、手をとって。この命を捧げよう
君を好きにならずにいられないから
海へと確実にそそぐ川のように
流れに身をゆだねるべき時もある
さあ、手をとって、この命を捧げよう
君を好きにならずにいられないから
君を好きにならずにいられないから
(川越由佳 氏:翻訳)
■ELV1S:30ナンバー・ワン・ヒッツ
( BMG )より
● 分かち合うことを怖れずに、好きになればいい
▼想像してみてください
「エルヴィス以前には何もなかった」と語ったジョン・レノンの<イマジン>からひとことを拝借してみましょう。
・・・・想像してみてください。・・・・
まだ幼く無力なあなたが、悲しんでいるときに、
そばでお母さんが「悲しいね」といってくれたら、どんな思いがするでしょうか?
・・・・想像してみてください。・・・・
あなたがまだ幼く、悲しんでいるときに、
誰もが無視したとしたら、どんな思いがするでしょうか?喜び、悲しみ、痛みを分かち合うことを、幼い頃から体験してきた人と、そうでない人が、この世界に同じようにして暮らしています。
喜びも悲しみも、分かち合うことは、ある人にとっては、カンタンです。
しかし、分かち合う経験をしてこなかった者には、未知の世界。
どうしていいのか分からないのです。
とても難しい作業です。
分かちあうにも、過去の痛みを先に想像してしまい、動けないのです。
悲しいときに、誰かの声を聞きたくなることはありませんか?
「エルヴィス・オン・ステージ」とは、
そういう時に声をかける男の生き様を見せる映画と思います。
他の方は知りませんが、愛ピはそう思います。
だからエルヴィスが好きです。
▼分かち合う歌声
「さあ、怖がらずに分かち合おう。」
エルヴィスの歌が聴こえてきます。
<ミステリー・トレイン><想い出の指輪><恋の大穴>
<監獄ロック><サッチ・ア・ナイト>
<本命はお前だ><ロカ・フラ・ベイビー>
<広い世界のチャンピオン><アイ・ニード・ユア・ラブ・トゥナイト>
<バーニング・ラブ><ア・フール・サッチ・アズ・アイ><恋のトラブル>
<ハウンド・ドッグ><約束の地>・・・
エルヴィスのロックンロールには、涙も怒りも、ほほえみに変えてしまうバカバカしさが、強烈な輝きを放ちます。
怒りに反旗をひるがえし、石を投げるようなロックンロールではありません。
ほら、ちょうど、子供が泣いているときに、おかしな顔や動作で、笑わせたりするでしょう。
あれと同じように、大人に向かって、それをやる。
「君は自由だ、君はやれるんだよ」と・・・。
あの唯一無二の動きに、「なんだいコレはと」泣いている人も、泣き止んでしまいます。
悲しいとき・・・・
<ユール・ネヴァー・ウォーク・アローン><アイル・リメンバー・ユー>
<ウォーク・ア・マイル・イン・マイ・シューズ><リリース・ミー>
<レット・ビー・ミー><ワンダー・オブ・ユー><君のいない淋しさ>
<ママ><ホワッツ・ナウ・ホワット・ネクスト・ホエア・トウ>・・・
どんなに尖がった怒りも、黙って抱きしめて、
ま〜るくしてしまう温かさと誠実さに満ちています。
エルヴィスの流れる汗は、みんなの涙を吸いとったかのようです。
疲れたときには・・・・
<ブルー・ムーン><愛が住み家><毎日がクリスマスなら><サレンダー>
<あの娘が君なら><メモリーズ><サポーズ> <ブルー・クリスマス>
<愛しているのに><クライング・イン・ザ・チャペル><さらばふるさと>
<今夜はひとりかい?><サスピション><メス・オブ・ブルース>
<イッツ・ナウ・オア・ネヴァー><グッドラック・チャーム><私は誰?>
<ミルキー・ホワイト・ウェイ><愛していると言ったっけ>
<胸に来ちゃった>・・・・・
豊かな色彩がほどこされたようなエルヴィスの声が、変幻自在に心に響きます。
楽しい時には・・・・・
<恋にしびれて><冷たくしないで><スイムでいこう><その気でいこう>
<アイ・ガット・ラッキー><フロリダ万才><ワンダフル・ワールド>
<好きだよ、ベイビー><ボサ・ノヴァ・ベビー><いとこにキッス>
<ベビー・ホワット・ユー・ウオント・ミー・ツー・ドー><恋がいい>・・・
はねたり飛んだりしているおたまじゃくしに、屈託のないほほえみが、
いっぱいつまった声で「いっしょに遊ぼうよと」呼びかけてくれます。
エルヴィス・プレスリーはあまりにも多くの人と、分かち合いをしたために、飽きてしまったのか、勝手に早死にしてしまいましたが、遺された映画「エルヴィス・オン・ステージ」には、一生懸命、分かち合おうとする男の姿が映っています。
すでに見た人も、まだ見ていない人も
それぞれのエルヴィス・プレスリーに出会ってください。
そして、自分自身のために、エルヴィスの汗や動きの意味を考えてください。
決して入場料が高くないことを感じるはずです。
▼エネルギーが爆発するライブ・ヴァージョン
個人個人の思い、好き嫌いはともかく、
<好きにならずにいられない>は<ラブ・ミー・テンダー>と並んでエルヴィスのラブ・ソング最高峰に位置する作品。
<好きにならずにいられない>は、シングル・リリースされたものと、幾多のライブ・ヴァージョン、それに「ブルー・ハワイ」の(ムーヴィー・ヴァージョン)もあります。
それぞれ、趣がかなり違います。
シングル・リリースされたものが、とても落ち着いていて、愛の極みに向かう確かさに満ちているのに、
比較して、ライブ・ヴァージョンは、恋の混乱を感じます。
コンサートのクロージングに歌われているので、感情をこめて歌うというより、観客に向けて別れの挨拶といった意味が強くなっています。
おかげでライブ・バーションは粗っぽくなっています。
その粗さがかえって、恋のとりこになった者の、 ウキウキと不安が交錯して、
「ええい、もう、どうにでもなれ。」というような、恋のリアルな感情を噴出させています。
「エルヴィス・オン・ステージ〜スペシャル・エディション〜」に於いては、エルヴィスは蝶々のような動きをして「浮ついた気持ち」を表現しています。
誰にでもある興奮、ウキウキと不安が入り混じったなかに、将来よりも、目の前にある「いま」に向かって突進するしかない、
分別を押し流す勢いばかりの感情の奔流が、ざわつくライブ・ヴァージョンの方が似合っているように思います。
人を好きになる。モノを好きになる。コトを好きになる。
好きになるのには、エネルギーがいります。
愛ピはエネルギーが爆発しているライブ・ヴァージョンの<好きにならずにいられない>が好きにならずにいられない。
いられなくなるエネルギーをくれるエルヴィスに感謝。
そして、恋のはじまりを歌った<好きにならずにいられない>をエンディングに持ってくることで、「エルヴィスはまだ終わらない」と示唆しているようでもあるのです。
もちろん、歴史はそうなりました。
▼川に飛び込む勇気があれば、いつでもリセットもできる
心の扉を開いて聴けば、エルヴィスの声は、奥の奥まで響いてきて、
心に言葉を残して、やがて歌声は消えます。
この世界には、否定的なことを言う人がいます。
ネガティブな意見や、考えは、生命のエネルギーを破壊するほどの暗黒のパワーを持っています。
「殺人事件」を題材にした映画やニュースに関心が高まるのは、それだけ暗黒のパワーに魅せられているということです。
だからこそ、自分の中の暗黒に気をつけたいと思います。
「そんなことしてもムダだ」
「うまくいくわけがない」
自分を嘲笑する暗黒の声。
どっこい・・・・
映画「ブルー・ハワイ」でのエルヴィス扮する主人公(チャド)のキャラクターからも分かるように<好きにならずにいられない>は、自分を信じる歌です。
自分を愛する歌。
いまを生きる歌です。
自分の暗黒に負けない歌です。
確かさが得られるまで行動も挑戦もしない人生を拒否して、
当って砕けろ、すべてはうまく行くと信じて、人生に立ち向かう歌です。
この曲をエンディングにしてくれた意味には、
「負けるなよ」と言ってくれているような気がするのです。
見て下さい。
最後のエルヴィスの後姿は、観衆全員をハグしているかのようです。
分かち合うすてきが画面いっぱいに、溢れています。
たとえば・・・
好きにならずにいられない恋の行方が、
分かち合った結果、悲しみで終わったとしても
それで、人生は終わらない。
オールクリアすれば、また始められます。
川に飛び込む勇気があるのなら、
いつでもリセットもできるのです。
♪ さあ、手をとって、この命を捧げよう ♪
だから、怖がらずに手をとりあって、分かち合うことを、命の限り楽しみましょう。
エルヴィスがまだ終わらないように、失敗したって、まだまだ終わらない。人を好きになる。
モノを好きになる。
コトを好きになる。
どんどん好きになってやりましょう。
それでは、映画館で・・・
■エルヴィス・オン・ステージ〜30th
Anniversary Edition
■エルヴィス・ライヴ・イン・ラスベガス
[LIMITED EDITION]
■バラード2
/ 好きにならずにいられない(ムーヴィー・ヴァージョン)収録
■Live
in L.A. [Live] [from UK] [Import]
1. Also
Spach Zarathustra
2. See See Rider
3. I Got a Woman/Amen
4. Love Me
5. Trying to Get to You
6. All Shook Up
7. Teddy Bear/Don't Be Cruel
8. Love Me Tender
9. Steamroller Blues
10. Hound Dog
11. Fever
12. Polk Salad Annie |
13. Why Me Lord
14. Suspicious Minds
15. Introductions
16. I Can't Stop Loving You
17. Help Me
18. American Trilogy
19. Let Me Be There
20. Funny How Time Slips Away
21. Big Boss Man
22. Can't Help Falling in Love
23. Closing Vamp
24. You Can Have Her [*]
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