無数にある仮面のなかのいくつか

ジェティスよ。宝石よ。ジュディ、ジュダス、ジュデックスと呼ぶ者もいるけど
わたしは結局愛情をこめてわたし独得の方法で呼ぶ。
すなわちジュジュ･ビーズと。わたしのかわいいキャンディと。

十中八九、ひとはわたしが彼女にやさしいと
思うことだろう。おもしろい話だ。そうではないのだ。あらゆる点から見て彼女のために
わたしはそう主張する。彼女はわたしのお飾りなのさ。天使の食べ物。

わたしは彼女を愛する、ユダヤ人が自分の土地を愛するように。
わたしは彼女を愛する、ユダがキリストを愛したように。
おお、驚かないで。わたしたちの主に対する彼の狂った愛を。
めまいそれはひとに眩量を起こさせる、くらくら、くらくら、くらくらと。
銀貨は彼の目には単にきらきら光るものだった。すなわち死の接吻こそ彼にとっては黄金、純粋な黄金だったのだ。
ユダは本物のダイバーだった。神々の運命の息子の腕に飛び込んだ。同性愛の弱点を
実証した。

それでもわたしは一人の少女を見つめつづける。ああ、スパンシュール。
中がからっぼのピル。そのなかにわたしに役立つものはあるのか、たぶんジュデイヘの
愛だ。ジュディ、ジュディ、ジュディ。ぱちん、ぱちん、ぱちん。

わたしは彼女を愛している、(フリーランスの魔術師の)ジューデックスが
自分のメイドを愛していたように。少女というその完壁なイメージよ。コダックよ。アヴォガドをたべる前の
イヴの娘よ。

それでも緑色の目と金色の髪の持主ではない、彼女は。
彼女は天使の赤児ではない。ガラスの靴をはいた
候補者ではない。彼女はあんたたちが
眉墨鉛筆の広告で見るような女の子ではない。
だれとでも寝るようなあばずれ女ではない。

だけどさわりたくなる女の子だ。わたしたちはひとっのベッドに
寝ていたが彼女にさわることはできなかった。彼女は
背中を向けた。わたしは彼女にさわれなかった。新しいシーツの
かさかさいう音。とても湿っぽい記憶。だけど
わたしは彼女にさわれなかった。彼女もわたしにさわろうとしなかった。
いいわけ、いいわけする、いいわけすれば。

女は男のためにつくられたのだという慢心の
犠牲者たち。ラジウム。わたしは明りを消す。わたしは彼女に
さわろうとしなかった。やがて欲望は克服される。
遅かれ早かれ欲望は皮膚の下に身を隠すものだ。
引っ込むものだ。ひっ込むものだ。それからねむってねむって
ねむりつづけるのだ。

ジュジュ：アフリカ西部の原住民の呪物。
スパンシュール：薬の効果が長く続くように溶ける時間をずらせた薬剤の小さいつぶがたくさんはいっているカプセル。


●ポール・ウィリアムの意見
●パンク・ロックの女ランボーと呼ばれたおんな
●スペースモンキー

●新作『ガンホー』
1.ONE VOICE
2.L.O ANDBEHOLDEN
3.BOY CRIED WOLF
4.PERSUASION
5.GONE PIE
6.CHINABIRD
7.GLITTER IN THEIR-EYES
8.STRAGE MESSENGERS
9.GRATEFUL
10.UPRIGHT COME
11.NEW PARTY
12.LIBBIE'S SONG
13.GUNG HO