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モチベーションを引き出す7つのルール  満足・不満足要因


モチベーションを引き出す
には、7つの原則、言ってみれば7つのルールがあります。
そのひとつが満足・不満足要因です。

満足・不満足要因(ハーズバーグ)
マズローの欲求5段階説

(マズローの欲求5段階説)

満足・不満足要因とは

働く、学ぶなど行動をアクティブに支えるのが「満足・不満足要因」です。不満足を与える要因(衛生要因)をいくら改善してもマイナスがゼロになる程度の改善しか見られないけれど、満足を感じる要因(動機づけ要因)を満たすとやる気が高まるというものです。
満足・不満足要因はアメリカの心理学者フレデリック・ハーズバーグが提唱した職務満足および職務不満足を引き起こす要因に関する理論です。

従来、満足要因を改善すれば満足が増すと考えられていただけに、ハーズバーグの提唱は大きな衝撃を与えました。
ハーズバーグは、人間の仕事における満足度は、ある特定の要因が満たされると満足度が上がり、不足すると満足度が下がるということではなくて、「満足」に関わる動機付け要因(モチベーターズ)と「不満足」に関わる衛生要因(ハイジーン・ファクターズ)は別のものであると提唱したのです。

ハーズバーグが調査で発見したのは、仕事に不満を感じる時は、自分たちの作業環境に注目しているのに対して、満足を感じる時は、仕事そのものに注目していることでした。ハーズバーグは前者を衛生要因、後者を動機づけ要因と名づけました。

衛生要因が人間の環境に関するものであり、主な要因は、作業条件、給与、経営と政策など仕事の不満を予防する働きを持つ要因であるのに対して、動機づけ要因は達成、他者の承認、仕事そのもの、責任を通じて成長することなどが、より高い業績へと人々を動機づける要因として作用していることを発見、提唱しました。

動機づけ要因は、マズローの欲求5段階説でいう「自己実現欲求」「自尊欲求」「社会的欲求」の一部、衛生要因は「生理的欲求」「安全・安定欲求」「社会的欲求」の一部のレベルに該当します。
満足・不満足要因は、無意識レベルでモチベーションに強く影響しています。
一般に満足・不満足要因でとかく問題になりやすいのは、給与です。
しかしそれ以上に問題になるのは、人間関係ですが、これはあまり表面化しません。
退職理由を訊いても、給与同様、人間関係でのトラブルもなかなか表面化しません。辞める理由が本当は人間関係にあってもそれを指摘するひとは少ないからです。
給与は一時的にはモチベーションアップの効果になっても、結局は慣れてしまうので、ロングランでは効果はなくなります。一方、社会的欲求である人間関係は働きやすい職場という点で「衛生要因」「動機づけ要因」の両方に微妙かつ密接に影響しています。

満足・不満足要因を考える上で、もうひとつ気になる考え方があります。
1950年代後半にアメリカの心理・経営学者ダグラス・マクレガーが提唱したX理論Y理論です。
X理論Y理論とは、マクレガーがマズローの欲求段階説をもとに、人間観・動機づけに関して、2つの対立的な理論を構築したものです。

X理論Y理論

X理論Y理論 X理論
X
理論は、「人間は本来なまけたがる生き物で、責任をとりたがらず、放っておくと仕事をしなくなる」という考え方です。
この場合、命令や強制で管理し、目標が達成できなければ懲罰的でメリットを与え、達成できたらインセンティブによるメリットを与える、いわゆる「アメとムチ」による手法として認知されています。不満足要因に注目した手法と言えます。

X理論Y理論 Y理論
Y理論は、 「本来、人間は自ら働きたがる生き物で、条件次第で責任を受け入れ、自ら進んで責任を取ろうとする」という考え方。
本人の自主性、自律性を尊重する手法で本人が、自己実現の欲求を持っている場合に有効とみなされています。
マズローの欲求段階説における高い次元の欲求(社会的欲求や自我・自己実現欲求)を持つ人間の行動モデルで、魅力ある目標と責任、つまり欲求を満たす機会を与え続けることによって、意欲的を引き出して動かすマネジメント手法で、満足要因に注目した手法です。

現代が抱える問題と満足・不満足要因

あらゆるしわ寄せの受け皿となった流通サービス業界や中小企業の多くは、労務管理においてもっとも大きな衝撃を受けて来たのではないでしょうか。
人件費削減は、一過性の利益貢献はあったものの、それも限界に達していて、質と量の両面で縮小均衡のスパイラルに入り込んだところは、営業自体が成立しない危険領域にあります。

特に、外食業界などの都心での人手不足は深刻化しており、外国人労働者の力を借りなくては営業が成立しない店が増えていて、人種のるつぼ化の様相を呈しています。
アメリカでは以前からなじみの光景でも、国の理念も政策も外交手腕も違うので、その現状は苦し紛れで、サービス力低下と先行き不安を招いています。
地方でもパート・アルバイトが集まらずに、稼ぎどきである年末年始の営業中止を余儀なくされる飲食チェーンも出る有り様です。

時給、通勤時間、シフトの間題など、人が集まらない原因は考えらますが、情報が迅速に飛び交う世の中にあって、原因究明をあざ笑うかのように定着率も悪く、一人前になりかけてもすぐに辞めてしまう悩みも深刻さを増しています。
なかには時給1200円の店もあらわれる始末ですが、それでも人が集まらないのが実情です。

募集をかければ、ひとは集まる、時給さえ上げればきっと採用できるという安直な思い込みは、現実と大きくズレをみせはじめ、タカをくくっていた常識は現実の前に打つ手なしの状況です。
それでも集まらない状態を、まだ「異常」としか思わない楽観的かつ悲観的な感覚のズレは、目の前の状況に手が打てないを言い訳に、いまとこれから先のことに手を打たないことを選択させています。
異常ではなく、普通と考えると、現状のままでは対処できないと思えるはずです。
そうすると、はじめて抜本的な対策を検討しようという気になるかも知れません。

人手が足りなくなると、しわ寄せは店長をはじめとした社員にきます。
メディアで報じられたように、大手外食の中には、コンプライアンス(遵法精神)を唱える企業の表向きの顔とは裏腹に、店の人件費圧縮の指示は厳しく、店長がサービス残業、隠密出勤を繰り返し強いています。なぜ、こうした事態になったのでしょう。

時代の問題や時給などの表面化した満足・不満足要因に関連した現象を批判するのは簡単ですが、本当の問題は、もっと深いところにあり、しかも何層にもなった構造的な問題だと思います。

異常ではなく、社会の変化に対応していないのです。
できていないのではなく、していないのです。

言い換えると、従業員対策を間違えているだけでなく、売上・収益アップの打つ手を間違えているのと同じ原因に辿り着きます。
つまり、ビジネスを間違えているのです。

ビジネスを間違えた結果、ますますそのインパクトは強くなっていて、このような店では従業員の笑顔もなく、仕事の質を高めることなどできません。
現状を何とかやり繰りしている状態が続いていますが、それはいつから続いているのでしょうか?
実はビジネスの間違いの起源は、その「いつ」にあると言えます。
四苦八苦のやりくりが実は抜本的な解決策を打っていない意味なのです。

不満足要因への注目以上に満足要因の注目が必要なのです。

自律的

自主的・自律的であることへの注目こそが重要なのです。
しかし、マンパワーへの懐疑的な態度、ベンチャー型トップダウンの効率性が障害となっています。
自主的・自律的なシステムを実現するより、値下げをして競争する方が簡単で費用的にも安く上がります。
うまくいくかのかどうか分からないことへの投資より確実性を選びのは理解出来ますが、結局は差別化出来ない原因にもなっています。

経営者層に多い教育軽視の特徴的な態度

●自分の担当分野や関心のあることが気になり、本音と建て前の使い分けている。
●能力開発が大切といっても、所詮は単なる教育。効果への疑問が拭いきれない。
●総論賛成、各論反対をしている。
●厳しい環境を乗り切るには、業績最優先

このような態度が、自律性を引き出したいという意識とは裏腹に、押しつけ。やらせ感を強化してしまっています。

たとえば次のことについて、具体的なことがどれほど挙げられるか、チェックしてみてください。

・「理念→仕組み→作業」の流れは現場に落とし込んでいるか
・達成するべき数値目標と状態の目標は共有しているか
・ 働きやすい魅力的な職場環境といえるか、その工夫をしているか
・ 評価や処遇は公平でオープンを保っていて、周知されているか
・ やりがいを持たせる工夫をしているのか、
・ スキルやモチベーションを高める教育と仕掛けは実施しているのか
・ 社会的地位の向上を図っているか

ここにあげた問題は、満足・不満足要因でないものばかりです。
知識・技術要因、評価・期待要因、セルフマネジメント要因(自律)、共同体・他者期待・価値要因、エモーショナル要因、適性要因が問題であることが明白です。
ここから見えることは思惑と現実のズレの激しいすがたです。

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