働く、学ぶなど行動をアクティブに支えるのが「満足・不満足要因」です。不満足を与える要因(衛生要因)をいくら改善してもマイナスがゼロになる程度の改善しか見られないけれど、満足を感じる要因(動機づけ要因)を満たすとやる気が高まるというものです。
満足・不満足要因はアメリカの心理学者フレデリック・ハーズバーグが提唱した職務満足および職務不満足を引き起こす要因に関する理論です。
従来、満足要因を改善すれば満足が増すと考えられていただけに、ハーズバーグの提唱は大きな衝撃を与えました。
ハーズバーグは、人間の仕事における満足度は、ある特定の要因が満たされると満足度が上がり、不足すると満足度が下がるということではなくて、「満足」に関わる動機付け要因(モチベーターズ)と「不満足」に関わる衛生要因(ハイジーン・ファクターズ)は別のものであると提唱したのです。
ハーズバーグが調査で発見したのは、仕事に不満を感じる時は、自分たちの作業環境に注目しているのに対して、満足を感じる時は、仕事そのものに注目していることでした。ハーズバーグは前者を衛生要因、後者を動機づけ要因と名づけました。
衛生要因が人間の環境に関するものであり、主な要因は、作業条件、給与、経営と政策など仕事の不満を予防する働きを持つ要因であるのに対して、動機づけ要因は達成、他者の承認、仕事そのもの、責任を通じて成長することなどが、より高い業績へと人々を動機づける要因として作用していることを発見、提唱しました。
動機づけ要因は、マズローの欲求5段階説でいう「自己実現欲求」「自尊欲求」「社会的欲求」の一部、衛生要因は「生理的欲求」「安全・安定欲求」「社会的欲求」の一部のレベルに該当します。
満足・不満足要因は、無意識レベルでモチベーションに強く影響しています。