人からなにかを期待されて、それを察することができても、それに応えなくなくてもいい権利です。期待するのは相手の勝手であって自分のことは自分で決めればいいのです。
この背景には、相手の期待に応えたとして、相手が自分の期待に応えてくれるかどうか定かではありません。
もし応えてくれなかったときには、あなたには怒りの感情が起こってくるでしょう。
そのような可能性も考慮して、人からなにかを期待されて、それを察することができても、それに応えなくなくてもいいとしています。
人の期待を察して応えたいと思うときは、GIVE&GIVENのポリシーがきちんと自分に備わっていることが条件になります。
そうでないと自分はこれだけのことをしたのにとGIVE&TAKEを求めて、相手を責めたり、失望から自信喪失、自己嫌悪になったりすることも少なくありません。
それでは、人からなにかを期待された段階で自分が相手に期待しているGIVE&TAKEがスタートになります。周囲の期待に応えるもの、応えないのも、共同体における自分の選択であって、GIVE&TAKEという交換ではないのです。
自分の考え、自分の気持ちで動く自由な精神を汚したくないものです。自由を尊ぶ気持ちを大切にしてこそ相手にも束縛を感じさせないコミュニケーションが可能になります。
周囲の期待を考えるときに、ヒントになる話があります。
ジャン・コクトーの映画、ディズニーのアニメにもなったボーモン夫人の有名なおとぎ話「美女と野獣」です。この物語は解釈が人によって違うと思いますが、長い時を経ても輝きをなくさないのは、普遍的な重大な原則を秘めているからです。
野獣である王子は最後に美しい王子になって終わります。その結果に焦点をあてると誤解してしまいます。
美しい王子になったのはベルという娘が野獣の王子をそのまま受け入れたからです。ベルは野獣に変貌することを求めませんでした。だから最後に変化が起こったのです。
私たちは、とかく他者に「あなたさえ変わってくれたら、私は幸福になれるのだから」と変化を要求します。
こども、パートナーにはじまって同僚、上司、部下など、要求の強さは立場によって違っても、幸福は相手次第と言わんばかりに自分以外に変化を要求します。
でも実際は、自分の行動で自分は幸福になれるものです。自分の判断と行動は自分が選択できます。選択次第に自分を幸福にできます。「美女と野獣」はそれを伝えて物語です。
アサーティブで言う「周囲の期待に応えなくて良い権利」とは、ひとは自分の行動で幸福になれるということの裏返しにすぎないのです。
1.自分の行動を自分で選択して実行する権利
2.他者と違う自分の価値観を大切にする権利
3.(知らない、できない、分からないなど)不完全であってもいい権利
8.他者の困難に対して援助の選択を自分で判断する権利
9.周囲の期待に応えなくて良い権利
これらのアサーション権は全部関連しています。
【ビジネスの現場からこんな意見が聴こえてきます。】
ビジネスシーンでは、周囲の期待に応えなくて良い権利との遭遇の連続です。「利益」を追うもの同士が向き合うわけですから、相手が自分の期待に応えてくれるかどうか定かではないことへ向き合う日々です。
そこでストレスを感じる目標を達成するには、GIVE&GIVENをポリシーにWIN-WIN
を追求することが欠かせません、
アサーション権について
アサーション権は100以上あると言われています。まとめ方で数も変わりますが、現在、ゲンキポリタンでは、アサーション権を分かりやすくするためにシンプルに次の9つと全体に共通する基礎(じぶん外の力とじぶん内の力)にまとめています。
1.自分の行動を自分で選択して実行する権利
2.他者と違う自分の価値観を大切にする権利
3.(知らない、できない、分からないなど)不完全であってもいい権利
4.論理的な説明できなくてもいい権利
5.自分の意見を主張しない権利
6.間違いや失敗をする権利とその責任を果たす権利
7.自分の考えや意見、行動を変更する権利
8.他者の困難に対して援助の選択を自分で判断する権利
9.周囲の期待に応えなくて良い権利