ANGEL
ぼくの天使よ
天使の目をした僕の天使よ
地球に住んでるこの僕を
パラダイスに連れてって
天使よ、強く抱きしめてもいいかい
天使と口づけたことはないから
キスさせておくれ、今夜
*もしも愛してると伝えたら
自分勝手だと思うかい
僕は普通の人間だけど
君からいろいろ学びたい
天使よ、夢を叶えて
天国にいる気分にさせておくれ
この地球で君と
僕の天使よ
天使と口づけたことはないから
キスさせておくれ、今夜
*くり返し
天使よ、僕の天使よ
『夢の渚』というきれいな日本タイトルがつけられたエルヴィス映画からのバラード。当時のエルヴィスはパラマウント、M-G-M、ユナイテッド映画を交互に出演。『恋のK・Oパンチ』もそうだったが、ユナイテッドのものは曲数が少ないためアルバムにもならず、4〜6曲入り17センチEP盤でリリースされた関係上ングル・カットさもなくあインパクトに欠ける面があった。そのため楽曲の認知度が弱くなってしまい、映画も一般にはまり印象が強くない。現象が起こったように思う。しかし、中味は共に快調だ・
それにしても[COMPACT33DOUBLE]の文字が嬉しいファンも多いはずだ。
日本では、原題そのままに<エンジェル>のタイトルで国内リリースされたクリフ・リチャードのカバー盤のヒットが馴染み深い。シャドウズをバックにしたクリフのものはピアノをスパイスに、アップテンポでリズミカルに気分を高揚させるものに仕上がっている。変わりどころでは山下達郎のバージョンが、ドリーミーな仕上がりでエキサイトさせる出来栄。めくるめくる絢爛の「山下ワールド」への誘いがマジックのように心地よい。もしエルヴィスが聴いたなら、嬉しそうににっこり笑って、握手を求めるような出来上がりだ。
いずれもアメリカが「アメリカン」と呼ぶに一番似合う時代の空気を内包した良質なアメリカン・ポップスの香りを含んでいて、いずれのパフォーマーのものも、聴く人がおもわずホッとするものに仕上がっているのは原曲の素晴らしさによる影響は大きい。
作者は『今週ノおススめ02-第10週』でもとりあげた<ハワイアン・ドラム・ソング>のコンビ。シド・テッパー、ロイ・C・べネット。『フロリダ万才』では<フォート・ロダデールに来たら>、『アカプルコの海』では<すてきなメキシコ>と控えめながら、ツボをアプローチしている。
さてわれらが、エルヴィスは切なさを柔らかな心に封印したように語りかけて、胸を揺り動かす。
エルヴィスの天使、クリフの天使、達郎の天使、みんなそれぞれの天使への思いがあって、自分の天使がいる。
中でもエルヴィス・バージョンは、感受性が敏感なティーンエージャーの方がより胸に来るのではないかと思う。リスナーが年を重ねるとともに、揺れ方が小さくなるような仕上がりであるように思えるのだ。大人になるにつれ、得るものも増えるが、失うものも多い。「エルヴィスの天使」は大人になるにつれ知らない間に遠去っていく天使だ。だが、それは生涯に一度きりの季節でしか出会えない、一番失ってはいけない天使のように思う。
エルヴィスの柔らかなココロと語り合えるひとときを作ってくれる曲だ。
因に人間の声とココロで歌われたこの曲は、シンプルですごくきれいなメロディー。日本語歌詞も作りやすい。是非自分の大事な人に自分の詩をつけて贈ってあげてほしいと願う。
時代ともに音楽は変わる。いまの時代にこの曲をどう聴くかは個人の問題だ。押し付けはしないが、こんな曲をリアルタイムで聴けた女性は幸せだったのではないかと思う。
その柔らかな空気をいまに伝えてあげるのは、春のプレゼントとして最適ではないだろうか。
是非、春の夜、窓をあけて聴いてほしい。天使はいまどこにいるか考えるのもいい、未だ横にいるなら手放さなかった自分を褒めてあげてもいい。
『バラード2』に”当然のように”収録された。
Angel, with those angel eyes
Come and take this earth boy
Up to paradise
Angel, may I hold you tight
Never kissed an angel
Let me kiss one tonight
* If I said I Iove you
Would I be speaking out of term
l'm only human
But l'm willing to learn
Angel, make my wish come true
Let me be in heaven
Here on earth with you
Angel
Never kissed an angel
Let me kiss one tonight
* Repeat
Angel, angel