ELVIS PRESLEY
エルヴィス・プレスリー登場
エルヴィスファン必見!ロック愛好家必見!
数あるエルヴィスのビデオの中でも、これはイチ押し!ニ押し!
涙ものです。その名も『ELVIS
PRESLEY/エルヴィス・プレスリー登場』
毎週、1曲を取り上げての『今週ノおススめ』ですが、今週と多分来週に限ってアルバムで参ります。
「エルヴィスは貧しくてレコード買う金がなかった。だから聴いて覚えた。」というサム・フィリップスの言葉にはもう泣くしかないだろう。多分、世の親は子どもに伝えたほうがいい。なにより自分に投げかけたほうがいい言葉だ。
このビデオを大推薦で押しまくるのは、そんなことより、エルヴィスの音楽をストレートに伝えているからだ。熱い!
本作品は"クラシック・アルバムズ・シリーズ"の根本的なボリシーである"歴史的な音楽制作の現場"にターゲットを絞り、その音楽としての価値に焦点をあてた点に特徴があり、その意味で、音楽ファン、ロックンロールのファンにとって小気味よい、見事な'音楽の解析"が試みられている。
と、このライナー・ノーツに記述されている通り、内容が素晴らしい。しかもこのライナー・ノーツ自体が愛に満ちているのもうれしい。
でも読んで終わりにしないで、このビデオ買って下さいね。
損はしません!太鼓判3つ押します。
御中元、御歳暮はこれに決定。
以下そのライナーノーツ。
フロリダ州タンパでのステージをとらえたそのモノクロ写真は、これまでのポップ・ミュージック、ポピュラー音楽のあらゆるルーティーンを覆す異形の青年をとらえていた。
ギターを打ち鳴らし、目を閉じて絶叫するエルヴィス・プレスリー。ギターのヘッド部分がブレているのは、彼の歌と演奏が激しい動きを伴っていることを端的に物語っていた。
アメリカ南部で熱狂を巻き起こしたロカビリー/ロックンロールが、いよいよアメリカ全土、そして全世界に向けて発信されるその記念すべき衝撃の瞬間は、エルヴィス・プレスリーのファースト・アルバムとして、1956年3月、RCAビクター(現在のBMG、RCAレーベル)から、ロックンロールの興奮を見事にヴィジュアライズしたカヴァー写真をまとって発売された。
エルヴィス・プレスリーについては、いまここであまり多くを語る必要もないだろう。エルヴィスこそ、ビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツに始まり、チャック・ベリー、リトル・リチャード、カール・パーキンス、ジーン・ヴィンセント、エディ・コクラン、そしてバディ・ホリーと連なる50年代ロックンロールの、そのまた核心に位置する歴史的な歌手であり、その後も解けることのない魔法のように、音楽ファンの心をとらえ続けてきたスパースターだ。
しかも、ロックンロールが''魔法"だとしたら、エルヴィス・プレスリーのそれは、ロックンロールのエッセンスすべてに等しかった。
先に挙げたアーティストたちによるロックンロール・クラシックスが束になっても、ビートルズのような存在が何組も生まれていたとしても、あるいはパンクスたちが世の音楽をことごとく破壊しつくしたとしても、このミシシッピ州テユペロ生まれの青年が編み出した音楽の呪縛から解き放たれる瞬間は、永遠にやって来ない気がする。
音楽的な分析を試みれば、ヒルビリー、カントリー、ブルース、ゴスペル、R&Bなど、ルーツや影響の痕跡を探ることはいくらでも可能だ。
しかし、エルヴィス以外に''それ"ができただろうかという話になれば、ロックンロールには、神の手が働いていたのだという結論に誰しも達することだろう。
彼は54年7月から55年にかけてのサン・レコード時代、そしてRCAから「ハートブレイク・ホテル」で全国区に打って出た時、その後のロック・ミュージックの隆盛へ向けての天地創造をやってのけていた。56年、エルヴィスはすでに"キング"だったのだ。
このビデオ作品は歴史的なロック・アルバムの誕生を、価値ある貴重な映像と、制作スタッフ、関係者らの証言で綴った定評あるドキュメンタリー・シリーズ"クラシック・アルバムズ"の新作としてリリースされるものであり、ロックンロール初期の決定的な一歩を刻んだ『エルヴィス・プレスリー』(アルバムの邦題は『エルヴィス・プレスリー登場!』)のシリーズ登場はまさに待望のものだろう。
もっとも、当時のレコード・リリースの通例として、シングルとアルバムが別個のプロダクトとして考えられていたことを、まずお断りしておかねばならない。つまり、エルヴィス・プレスリーのRCAでの最初のシングル・ヒット「ハートブレイク・ホテル」とそのB面の「ただひとりの男」は、アルバムには収められていない。56年1月、RCAはまず「ハートブレイク・ホテル」のシングル、続いて3月に12曲入りのアルバム『エルヴィス・プレスリー』、同時にアルバムの収録曲で構成された8曲入りの10インチ・アルバムと4曲入りのEPを発売している。
よってこの映像作品で語られるエルヴィスの"ファースト・アルバム"とは、これらの音源となったRCAでの第1回目(ナッシュヴィルRCAスタジオ、56年1月10日、11日)と第2回目のレコーディング・セッション(56年1月30日、31日、2月3日)を指している。
また、エルヴィスはRCAと契約後に急に才能を開花させたわけではもちろんなく、本作品では、54年7月から55年秋にRCAに移籍するまで在籍したメンフィスのサン・レコードおける代表曲「ザッツ・オールライト・ママ」や「ミステリー・トレイン」「ベイビー、レッツ・プレイハウス」など、エルヴィスの独創的なロカビリー/ロックンロール・スタイルの誕生についても、多くを割いて紹介している。55年秋にRCAはエルヴィスと契約し、同時にサン・レコードのエルヴィス音源の発売権も手に入れたが、RCAは「ハートブレイク・ホテル」発売の直前(55年12月)にも、サンのシングル4枚分を再リリースした。
またファースト・アルバムにも、5曲のサン録音が含まれている。このあたり少しややこしいので、本作に登場するシングル、アルバムの楽曲を以下に整理しておこう。
●single (1 956.1 . release)
Heartbreak Hotel(RCA1)
l Was the One(RCA1)
●Album "Elvis Presley"(1956,3, release)
Blue Suede Shoes (RCA2)
l'm Counting on You (RCA1)
l Got a Woman(RCA1)
One-Sided Love Affair(RCA2)
I Love You Because(SUN)
Just Because(SUN)
Tutti Frutti (RCA2)
Tryin' to Get You(SUN)
l'm Gonna Sit Right Down and Cry(Over You)(RCA2)
l'll Never Let You Go(SUN)
Blue Moon(SUN)
Money Honey(RCA1)
※(RCA1)と(RCA2)は、それぞれRCAでの第1回目、第2回目のレコーディングを指す。(SUN)は、サン・レコード時代に録音されていたもの。スコッティ・ムーア(リード・ギター)、ビル・ブラック(ベース)に加え、RCA録音からはドラムスのD.J.フォンタナが加わる。RCA1回目のナッシュヴィル・セッションにはチェット・アトキンス(ギター)とフロイド・クレイマー(ピアノ)にゴードン・ストーカー(ジョーダネアーズ)以下のコーラス、2回目のニューヨーク・セッションにはショーティ・ロング(ピアノ)が参加している。
※なお、本ドキュメンタリーの終盤に紹介される「シェイク・ラトル・アンド・ロール」は、RCAの2回目のセッション時にレコーディングされたものだが、56年8月にシングルとしてリリースされている。
本作で証言するコメンテイターの顔ぶれにも、周到な配慮がなされている。まず、デビュー当初よりエルヴィスのギタリストとしてギャロッピング・スタイルの素晴らしいサウンドを提供したスコッティ・ムーア、そしてドラマーだったD.J.フォンタナ。自らメンフィスに設立したサン・スタジオ、サン・レコードで、エルヴィスはじめ多くのロカビリー/ロックンロール・アクトを育成したサム・フィリップス。56年当時のRCA制作部長、スティーヴ・ショールズの試行錯誤を語る当時の宣伝部長だったチック・クランパッカー。
これも56年当時、テキサス州ヘンダーソンのKGRI局のDJだったトム・ペリーマン。メンフィス時代のエルヴィスのガールフレンド、ディキシー・ロック。
現在、エルヴィスの音源のリイシューをRCAで行なっているプロデューサー、エルンスト・ヨーゲンセン。ブルース、ロックンロールはじめ、アメリカ南部のルーツ音楽に造詣の深い研究家で、エルヴィスの大作伝記本"CarelessLove:The
Unmaking of ElvisPresley"を著したピーター・ギュラルニック。そしてミュージシャンではロックとブルース・サイド双方からの証言者として、それぞれキース・リチャーズ、B.B.キングが登場する、もちろん、サン・レコード時代からRCA初期に至る、数々の歴史的なフィルムもふんだんに収められている。
有名なドーシー・ブラザーズ・ショウでのTVライヴの数々、ハリウッドでのスクリーン・テストでシューティングされた「ブルー・スウェード・シューズ」、エルヴィスのファンにとっては悪名高いハイ・ガードナーによる電話インタビュー、さらに数々のニュース・フィルムやプライヴェート・フィルムを織り込みながら、デビュー期から56年のエルヴィスを克明に追っている。
また、数多いエルヴィス・プレスリー関連の映像ドキュメンタリーの中でも、本作品は"クラシック・アルバムズ・シリーズ"の根本的なボリシーである"歴史的な音楽制作の現場"にターゲットを絞り、その音楽としての価値に焦点をあてた点に特徴があり、その意味で、音楽ファン、ロックンロールのファンにとって小気味よい、見事な'音楽の解析"が試みられている。特に55年から56年にかけてのわずかな間にも、ロックンロールの開拓者であったエルヴィス・プレスリーという稀有なパーソナリティが、その音楽に対して矢継ぎ早に新たな領域を付け加え、ロックンロールの概念をあらかた形成してしまっ彼の業には、誰しも驚きを禁じえないだろう。これこそエルヴィスが"The King"と称され、その後、ロック・ミュージックがポップ音楽のメインストリームとして生き続けることになったゆえんなのだ。
エルヴィス・プレスリーはこのアルバムで、ロックンロール以前の過去を集約し、現代の音楽としてのロックンロールを語り、そしてその未来をいみじくも予見したのだ。
ELVIS PRESLEY。
RCAの記念すべきアルバムに絞ったビデオは「たまらん」です。
ありがとう、このライナーノーツにウルウルの愛ピです。無断転載したことをお許しください。
なにしろ素敵だったので---。
キース・リチャーズのコメントする、うれしそうな顔に、ああー泣いてしまいましたよ。
エルヴィス、スコティ、ビル、D.Jフォンタナの4人が交互に運転してのツアー珍道中など思わずニンマリしてしまう当時ならではのエピソードもあって楽しめます。
さて、ここにもあるように記念すべきファスト・アルバム『エルヴィス・プレスリー登場』は<ハートブレイク・ホテル><ただひとりの男>が収録されていないものを聴いてください。<ブルー・スウェード・シューズ>
から始まるのが正しい。
イントロなしで始まる世界を変えたアルバム『エルヴィス・プレスリー登場』のカッコよさを大事にしてください。
ご承知のようにエルヴィスのシングルはアルバムに収録されていないのが正しい姿です。(サウンドトラック盤は別にして)これは政策として意図的に行われました。
それゆえRCAデビュー・シングルとなった<ハートブレイク・ホテル>は特に意味のあるものでした。またこのアルバムが前人未踏のビッグ・ヒットのために、すべてシングル・カットされたことの意味を正しく理解するためにも。
シングルはシングルだけでアルバム制作可能な枚数に達した後にゴールデンレコードに収録されました。つまり全部ゴールデンレコードに認定されたということです。
『今週ノおススめ』はアルバム&ビデオ『ELVIS PRESLEY/エルヴィス・プレスリー登場』です。