禅語「前後際断」(ぜんごさいだん)
過去にも未来にもとらわれない。瞬間、瞬間に集中して、いまこの瞬間を生ききる。
曹洞宗の道元禅師もこの言葉を説いておられます。
鎌倉時代、戦いに明け暮れていた時代、明日はどうなるかも分からない、命は明日で終わるかも知れない。
だから生きているいまを大事にしょうと覚悟したのです。
禅語「前後際断」
人生には理不尽なことがいっぱい起こります。
江戸時代の沢庵和尚(臨済宗)もこの言葉を説かれたと言います。
前際(過去)と後際(未来)は断ち切れている。
人生は一本の線のように思われていますが、点と点でつながっているだけです。
この考えは、スティーブ・ジョブズ氏の物の見方に通じるのは、彼も禅に学んだからでしょう。
「前後際断」の心は、ディズニープリンセスにもありました。
ラプンツェルです。
塔の上のラプンツェル
ラプンツェルの髪には特別な力が秘められていました。
長い髪をロープや鞭のように自由自在に操って冒険の旅に出ます。
そして最後に髪を切り落とされて魔法の力を失います。それは愛の代償。
長い間、大事にしてきた髪を切ることで告白に代える女性も、過去にも未来にもとらわれず、いまこの瞬間に生ききる。
愛が実らなくてもすでに実っているのです。それは禅の心そのもの。
ラプンツェルはいまこの瞬間に人生最大の魔法を使ったのです。
人生最大の魔法とは
ディズニープリンセス、ラプンツェルの物語はハッピーエンドのまま続きます。
では、私たちもハッピーエンドのまま続いていけるのでしょうか?
その秘訣が魔法の髪に語られていたのです。
髪を切り落とされて魔法の力を失います、それを愛の代償だと言いました。
どういうこと、なぜ代償なの?
もう魔法は使わない、使えないからです。
私たちは自分との距離を微妙に保ちながら、自分が傷つかないようにしています。
もしもっと近づくと、自分を知ることで、言い訳も通用しなくなり、傷つく可能性があります。
これが魔法の髪です。
さらに愛する人との距離はどうでしょう?
本当はもっと近づきたいのに、近づかない。
近づくと、自分がもっと見られてしまう。
自分との距離をとることで精一杯なのに、あの人ともっと近ずくと、壊れてしまいそうな気がする。
そんなときに魔法の髪は便利なのです。
ラプンツェルはディズニーが50周年記念に、これまでのプリンセスの心をまとめて投げ込んだプリンセスです。
自分に近づき、愛する人に、近ずく、傷つくかもしれないけれど、もう防衛なんかしない。
だからといって無防備にはならない。
等身大の自分で自分を守りながら、愛を貫くプリンセスを受け入れたのです。
それが髪を切る場面です。
フリンは、もう君には魔法の髪はいらない、僕が守るからと切ったのではないでしょうか?
まとめ
ラプンツェルの髪を切ったのはフリンでした。
ラプンツェルを守るためにしたことです。
そこには、ラプンツェルを愛したがゆえに、過去を振り返らない覚悟がありました。
いまを生ききる信念がありました。
「前後際断」は幽閉に近い塔から飛び出した瞬間から、始まっていました。
そして最後に、髪を切ることで、過去は死に、いまこの瞬間の愛に生ききるのでした。
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