
燃える平原児/Flaming Star:1960

「燃える平原児」はエルヴィス6本目の劇映画です。エルヴィスが軍隊に徴兵されて、ロックンロール最前線が壊滅的に破壊された、エルヴィスが無事に生き延びたことを祝福すべきだろう。
しかし、エルヴィスは時代とどう向き合ったのか。1958年にエルヴィスは徴兵されてドイツに追いやられる。1960年にカムバックするが、エルヴィスが生粋のロックンローラーとして活動したのは1959年までで<トラブル>、<キングクレオール>までだ。映画『エルヴィス』はこの辺を上手に処理している。実際に指一つ動かしたら逮捕するという警官が取り囲んだ厳重態勢でライブを行っている。
60年代に入ると白人音楽が息を吹き返して地方の時代に代わっていった。政府も一安心しただろう。その時代を映画「アメリカン・グラフティ」が描いた世界だ。エルヴィスは徴兵をこなしポップス市場に返り咲いたが、ロックンロールはすっかり下火になっていた。ポップスはビーチ・ボーイズやデル・シャノンがヒットチャートは白人のポップスが盛り返していた。
俳優業に将来を見つけようとするエルヴィスは1961年の『燃える平原児』は断トツに人気のあったエルヴィスの今後を占う試金石だった。監督はこの後『ダーティ・ハリー』で一躍脚光をあびたドン・シーゲルでシリアスな本格西部劇に仕上がっていて、映画俳優として挑戦した。エルヴィスは置かれた立場をスクリーンに投影した。白人の父とインディアンの母親の間で苦悩する青年役だった。ラストはどちらにも属することできなくなり、イエスのように一人死地に赴くことになる。
どうなるか先が見えないロックンロールは終焉を迎えつつあった。国は危険な黒人台頭を取り締まリに成功したが公民権運動で頓挫する。
おなじくエルヴィスは、<イッツ・ナウ・オア・ネバー><サレンダー><ブルーハワイ>で次々と記録破りの大ヒットを放ち我が道を征くことになる。つまりエルヴィスはロックンロールの開拓者であり、ポップスの開拓者だった。そのパワーによって今持ってエルヴィスは崇めれらる立場にある。エルヴィスはキング・オブ・ロックンロールを超えていたのだ。

60年代初期はケネデイ大統領誕生、1962年になるとボブ・ディラン、続いてビートルズがレコードデビューする。やがてベトナム戦争が若者を戦場に送り込み始めた、もはやトム・パーカー大佐の想像できる範囲を超えていた。1956年でもエルヴィスをマネジする力量はなかった。






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