映画『エルヴィス』で<ザッツ・オールライト>をどこで知ったのだと質問されるシーンがあるが、子供の頃、かなりいかがわしい雰囲気で歌うのを盗み聞きするシーンが登場するが、エルヴィスは<ザッツ・オールライト>を発見していなければ<ブルームーン・オブ・オブ・ケンタッキー>をあんな風に売っていなかっただろう。ラジオから聞こえてくるエルヴィスの<ザッツ・オールライト>も<ブルームーン・オブ・オブ・ケンタッキー>もリスナーたちは黒人だと信じてうたがわなかったなかった。ハンク・スノウの息子ジミー・ロジャーズ・スノウはそれが白人だと知っていることが自慢だった。画像は映画『エルヴィス』のジミー・ロジャーズ・スノウと本物の彼(右)。

しかし、劇中でエルヴィスが発見したのは、黒人のように歌うエルヴィスではなく、一度境界をこえてしまうと、あることがまるでなかったように消えてしまう「境界線」を超えて自由に往来する勇気だ。エルヴィスはスターになってからも自由に往来している。黒人ブルースを歌うときには白人らしさを出し、白人のカントリーを歌うときには黒人ブルースのように歌う。映画「エルヴィス」では、ジミー・ロジャーズ・スノウがエルヴィスにどうしたら黒人のように歌えるようになるのか教えて欲しいと頼み込んでいる場面があるが、模擬しているわけではないので難しい。カントリーラジオ曲の中には、エルヴィスが白人らしさいっぱいにして歌ってもエルヴィスという理由でかけない局があったが。シンガー間でも起きた。実際にリトル・リチャードはパット・ブーンを見下したがエルヴィスの力量に圧倒された。
Your Cheatin’ Heart / written by Hank Williams

ハンク・ウィリアムズ1953年のヒット曲にして彼の代表曲のひとつ。カントリー音楽史上最大のスターと位置づけられがちのハンクですが、実態はブルースとゴスペルフィーリングに溢れたカントリー界の異端児のように思えます。そして短い文節で唯一無二の表現を紡ぎ出す巨匠のひとりです。
「偽りの心」 はハンク・ウィリアムズのヒット曲で、エルヴィスは1958年の入隊前に録音しましたが、発表されたのは1965年になりました。
アメリカはキリスト教徒国である。
2大宗派はカソリックとプロテスタント。
プロテスタントは19世紀半ばの南北戦争による南北分断の影響がまだある。
サザンプロテスタントの教会行事はかなりユニークでそこでは音楽がひとつの大きな要素だ。
南部の友人と彼の白人教会に行ったが、そこではバンドが演奏し自然に皆が唄う。
その音楽はカントリーアルバムで良く聞かれるような曲目で、とても感動的だった。
カントリーやジャズの歌い手は子供の時から多くが教会で音楽に親しんだ。
教会の結び付きで歌手へのパトロン活動をする人達もいると聞いた。
プリーチャー(牧師)、自分でギターを演奏し唄う人もいるそうだ。
日本で有名な曲、アメージンググレース(Amazing Grace),
What Friend We Have In Jesus,In The Garden, How Great Thou Art など多くの曲目がある。
Just Closer Walk With Thee は、イエスに共に歩み自分にもっと近寄ってくれと言う意味の唄で多くの歌手が演奏し唄った。アラバマ(Alabama)はフォートペイン出身の男性グループ。
誰かパトロンだろう、の礼拝場をイメージした会場で唄っている。
JesusはThou,Theeなどいろいろな愛称がある。
(歌詞対訳) Your Cheatin’ Heart – Elvis Presley
Your cheatin’ heart will make you WEEP
お前の偽りの心は いまにお前を泣かせることになる
You’ll cry and cry and try to SLEEP
泣いて泣いて 眠りにつこうとしても
But sleep won’t come the whole night THROUGH
一晩中経ったって 眠ることはできないだろう
Your cheatin’ heart will tell on YOU
お前の偽りの心に お前は自ら報いを受けるのだ
When tears come down like falling RAIN
まるで雨のように 涙を流しては
You’ll toss around and call my NAME
うろつき回りながら 俺の名を呼ぶだろう
You’ll walk the floor the way I DO
部屋中を徘徊するがいい 俺がそうしたようにな
Your cheatin’ heart will tell on YOU
お前の偽りの心に お前は自ら報いを受けるのだ
Your cheatin’ heart will pine SOMEDAY
お前の偽りの心は やがてお前を痩せ衰えさせることになる
And crave the love you threw AWAY
そしてお前が捨てた愛を 渇望することになる
The time will come when you’ll be BLUE
ブルーになるのも もはや時間の問題
Your cheatin’ heart will tell on YOU
お前の偽りの心に お前は自ら報いを受けるのだ
When tears come down like falling RAIN
まるで雨のように 涙を流しては
You’ll toss around and call my NAME
うろつき回りながら 俺の名を呼ぶだろう
You’ll walk the floor the way I DO
部屋中を徘徊するがいい 俺がそうしたようにな
Your cheatin’ heart will tell on YOU
お前の偽りの心に お前は自ら報いを受けるだろう

ヘイ・グッド・ルッキン! ハンク・ウィリアムス・トリビュート
カントリーの巨人、ハンク・ウィリアムズ の楽曲を別ジャンルのスーパースター がカヴァー! ルイ・アームストロング、 ファッツ・ドミノからコニー・スティーヴ ンス…。ジャズ、R&B、ポップス界のトッ プ・アーティストによるカヴァー30曲を 収録したトリビュートアルバム。<偽りの心>をルイ・アームストロングが歌っています。https://amzn.asia/d/cCKFiqJ
<偽りの心>は、カントリーより、さらに忌まわしく
さらに率直に享楽的だったブルースと同様に
共同社会全体の為の音楽であり年齢とは関係のないものだった。
つまり、ひとりひとりの大人にも子供にも届くように包み隠しのない作られたものだった。
ハンク・ウィリアムズのぎこちない笑顔の下にあるのがそれであり、
ハンク・ウィリアムズの世界だった。
ハンク・ウィリアムズの歌うロマンスは夜の電話のように遠くに隔たっている、
そういう音楽は楽しいものだったが、同時に我慢できないものだった。
エルヴィスはロカビリーから離れていたが才能は天才だと告げていた。
新品のシーツのように直線的で率直なので
エルヴィスは自分の時代であることをたやすく語ることができる。
共同社会が成長し、そこに所属する者すべてを生まれ変わらせるには離反しなければならない重いから生じる緊張がなくてはならない。社会が成長し他の世界を締め出そうとする傾向を憤る気持ちが必要だ。トム・ソーヤのふざけまわりにはその緊張を与えそうにもない。アメリカ人は移動するプロセスでアメリカ人に育っていくという。エルヴィスは13際でミシシッピ州テュペロからテネシー州メンフィスに引っ越してきた、メンフィスで人は自分が好きなことをやっているに自由ではない。好きなことをやれるようになった瞬間にやりたいことはなくなってしまう。
エルヴィスのカントリーは、エルヴィスのRCAで録音したゴスペル同様にロックンロールの爆発熱狂とは相反するする牽引力をエルヴイスをいかに強く感じていたかを示すものだ、束縛されること跳ね除けるように、エルヴィスの自由の叫びが聞こえる。エルヴィスの緊張から生まれる殺気と活気は信じられほどの官能的に南部の風景を描写している


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