1962年に全米公開されたエルヴィス・プレスリー、9本目の映画となる『夢の渚(Follow That Dream)』は、エルヴィスがウォルター・ミリッシュ(Walter Mortimer Mirisch)のプロデュースで制作したコメディのひとつ。原作は「Pioneer, Go Home!」で、タイトルもその予定だったが、テーマ曲のタイトル『Follow That Dream』に変更された。
もうひとつは往年のギャング映画の大スター、ジェームス・ギャグニーの『Kid Galahad』のリメイク『恋のKOパンチ(Kid Galahad)』2作品ともエルヴィスの良さを適確に掴んでいたとても好感度の高い作品に仕上がっています。
ウォルター・ミリッシュ作品はユナイト映画配給で世界公開されていて、1940年代から西部劇を中心に映画史上に残る作品を連発。『騎兵隊』『荒野の七人』『ウエスト・サイド物語』『大脱走』『夜の大捜査線』などの名作を世に送り出した。その功績から、第50回アカデミー賞アービング・G・タルバーグ賞(1978年)、第55回アカデミー賞ジーン・ハーショルト友愛賞(1982年)、第34回ゴールデングローブ賞 セシル・B・デミル賞(1977年)を受賞。1973年から1977年まで映画芸術科学アカデミーの会長も務めた。
監督はゴードン・ダグラス。『続・夜の大捜査線』、『ネバダ・スミス』、『腰抜けアフリカ博士』 、『七人の愚連隊』 、『リオ・コンチョス』などA級、B級問わず娯楽映画を撮り続けたベテランで、映画俳優としてのエルヴィスの良さを引き出しています。
エルヴィス・プレスリーを主演に、共演は名優アーサー・オコンネル、アン・ヘルム、ジョアンナ・ムーア、ジャック・クルーシェン、サイモン・オークランド、ミッキー・ルーニー
当時エルヴィス映画はパラマウント映画の大プロデューサー、ハル・B・ウォリス制作の作品がもっとも活気があり、観光地とエルヴィスの組み合わせで、挿入曲数も多く、エルヴィス映画のメインだった。
パラマウント映画に対抗する形でパラマウントとは、一味違うコメディ調の連発したのが、MーGーMであり、それぞれ年に一本のペースで制作していた。そこに割って入るように不定期に実験的でシリアスな20世紀フォックスとストーリー性のあるウォルター・ミリッシュ作品が制作された。
20世紀フォックスもウォルター・ミリッシュ作品もストーリー重視なので必然で歌の曲数は少なくサントラ・アルバムにはなっていない。
作品の性格上『フランキー・アンド・ジョニー』はアルバムあり、みんながエルヴィス+観光に走った時期の『ブルーマイアミ』もサントラアルバムがあります。
そんなエルヴィス映画の中で忘れがちなのが原作本のある『夢の渚」は、エルヴィスの自然体の演技が素晴らしく、暖かくて、何度見ても飽きない作品になっています。私のいちばんのエルヴィス映画です。
Angel/エンジェル
Angel, with those angel eyes
Come and take this earth boy
Up to paradise
Angel, may I hold you tight
Never kissed an angel
Let me kiss one tonight
* If I said I Iove you
Would I be speaking out of term
l’m only human
But l’m willing to learn
Angel, make my wish come true
Let me be in heaven
Here on earth with you
Angel
Never kissed an angel
Let me kiss one tonight
* Repeat
Angel, angel
『夢の渚』では、<夢の渚><僕の天使よ(Angel)><いかす生活><僕はひとりもの>他2曲の合計6曲が歌われたが、レコードになったのは4曲だけだった。
Flaming Star / Follow That Dream / Wild in the Country
天使の目をした僕の天使よ
地球に住んでるこの僕を
パラダイスに連れてって
天使よ、強く抱きしめてもいいかい
天使と口づけたことはないから
キスさせておくれ、今夜
*もしも愛してると伝えたら
自分勝手だと思うかい
僕は普通の人間だけど
君からいろいろ学びたい
天使よ、夢を叶えて
天国にいる気分にさせておくれ
この地球で君と
僕の天使よ
天使と口づけたことはないから
キスさせておくれ、今夜
*くり返し
天使よ、僕の天使よ
『エンジェル』はイギリスのクリフ・リチャード(Cliff Richard)がアップテンポでカヴァーしてアルバムタイトルになるほど日本でもヒットしています。
それにしても[COMPACT33DOUBLE]の文字が嬉しいファンも多いはずだ。
日本では、原題そのままに<エンジェル>のタイトルで国内リリースされたクリフ・リチャードのカバー盤のヒットが馴染み深い。シャドウズをバックにしたクリフのものはピアノをスパイスに、アップテンポでリズミカルに気分を高揚させるものに仕上がっている。変わりどころでは山下達郎のバージョンが、ドリーミーな仕上がりでエキサイトさせる出来栄。めくるめくる絢爛の「山下ワールド」への誘いがマジックのように心地よい。もしエルヴィスが聴いたなら、嬉しそうににっこり笑って、握手を求めるような出来上がりだ。
いずれもアメリカが「アメリカン」と呼ぶに一番似合う時代の空気を内包した良質なアメリカン・ポップスの香りを含んでいて、いずれのパフォーマーのものも、聴く人がおもわずホッとするものに仕上がっているのは原曲の素晴らしさによる影響は大きい。
作者は『今週ノおススめ02-第10週』でもとりあげた<ハワイアン・ドラム・ソング>のコンビ。シド・テッパー、ロイ・C・べネット。『フロリダ万才』では<フォート・ロダデールに来たら>、『アカプルコの海』では<すてきなメキシコ>と控えめながら、ツボをアプローチしている。
さてわれらが、エルヴィスは切なさを柔らかな心に封印したように語りかけて、胸を揺り動かす。
エルヴィスの天使、クリフの天使、達郎の天使、みんなそれぞれの天使への思いがあって、自分の天使がいる。
中でもエルヴィス・バージョンは、感受性が敏感なティーンエージャーの方がより胸に来るのではないかと思う。リスナーが年を重ねるとともに、揺れ方が小さくなるような仕上がりであるように思えるのだ。大人になるにつれ、得るものも増えるが、失うものも多い。「エルヴィスの天使」は大人になるにつれ知らない間に遠去っていく天使だ。だが、それは生涯に一度きりの季節でしか出会えない、一番失ってはいけない天使のように思う。
エルヴィスの柔らかなココロと語り合えるひとときを作ってくれる曲だ。
因に人間の声とココロで歌われたこの曲は、シンプルですごくきれいなメロディー。日本語歌詞も作りやすい。是非自分の大事な人に自分の詩をつけて贈ってあげてほしいと願う。
時代ともに音楽は変わる。いまの時代にこの曲をどう聴くかは個人の問題だ。押し付けはしないが、こんな曲をリアルタイムで聴けた女性は幸せだったのではないかと思う。
その柔らかな空気をいまに伝えてあげるのは、春のプレゼントとして最適ではないだろうか。
是非、春の夜、窓をあけて聴いてほしい。天使はいまどこにいるか考えるのもいい、未だ横にいるなら手放さなかった自分を褒めてあげてもいい。
ELVIS 30#1 HITS
2002年9月25日全世界同時発売
1. Heartbreak Hotel/ハートブレイク・ホテル
2. Don’t Be Cruel/冷たくしないで
3. Hound Dog/ハウンド・ドッグ
4. Love Me Tender/ラヴ・ミー・テンダー
5. Too Much/トゥー・マッチ
6. All Shook Up/恋にしびれて
7. Teddy Bear/テディ・ベア
8. Jailhouse Rock/監獄ロック
9. Don’t/ドント
10. Hard Headed Woman/冷たい女
11. One Night/ワン・ナイト
12. A Fool Such As I/ア・フール・サッチ・アズ・アイ
13. A Big Hunk O’ Love/恋の大穴
14. Stuck On You/本命はお前だ
15. It’s Now Or Never/イッツ・ナウ・オア・ネヴァー
16. Are You Lonesome Tonight/今夜はひとりかい?
17. Wooden Heart/さらばふるさと
18. Surrender/サレンダー
19. His Latest Flam! e/マリーは恋人
20. Can’t Help Falling In Love/好きにならずにいられない
21. Good Luck Charm/グッド・ラック・チャーム
22. She’s Not You/あの娘が君なら
23. Return To Sender/心のとどかぬラヴ・レター
24. Devil In Disguise/悲しき悪魔
25. Crying In The Chapel/クライング・イン・ザ・チャペル
26. In The Ghetto/イン・ザ・ゲットー
27. Suspicious Minds/サスピシャス・マインド
28. The Wonder Of You/ワンダー・オヴ・ユー
29. Burning Love/バーニング・ラヴ
30. Way Down/ウェイ・ダウン
Bonus Song: A Little Less Conversation (Radio edit)/
ア・リトル・レス・カンヴァセーション(ラジオ・エディット)
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