M-G-M映画『ヤング・ヤング・パレード(ワールドフェアの出来事)』は、大阪万博の前に1962年にシアトルで開催された万博会場を舞台に医務室勤務の素敵な看護師さん(ジョーン・オブライエン)と繰り広げられるロマンチックなラブ・コメディで、空の便利屋をビジネスにしているエルヴィスと相棒が、家族とはぐれた中国の子どもを助けて家族探しをする一方で麻薬取引犯と戦う物語。全10曲が挿入され、全体にレベルの高い佳作揃い。ゴールデングローブ最優秀主演男優賞に輝き、アカデミー賞8部門にノミネートされた『エルヴィス』にも使用された<綿菓子の国>は本作の曲。また大瀧詠一さんはクライマックスに歌われる<ハッピーエンディング/HappyEnding>がお気に入りでした。自分の価値観を大切にしている方だと感じました。
エルヴィスはパイロットとして働いているとき以外は、珍しくネクタイ姿で都会的な楽曲が多く最新作『エルヴィス』で印象的に使われた<綿菓子の国>をはじめ佳作揃いの作品。
そんな中でもシングルリリースされたのが『破れたハートを売り物に/あなたにそっくり』
破れたハートを売り物に/One Broken Heart For Sale
「ヤング・ヤング・パレード(原題:ワールドフェアの出来事」・・・映画も映画館も温かった。
それ以上に、エルヴィスの歌声は温かった。
破れたハートを売り物に
*ハートが欲しい人いませんか
恋に破れたハートです
破れたハート、売ります
もしも赤ん坊のように
泣いていたらゴメンよ
あの娘と別れてからは
もう言うこともないよ
* くり返し
ちっとも聞いてくれないんだ
僕のこの気持ちを
あの娘は背を向け去っていった
からかわないでって言い残して
世の中には運のいいやつがいるけれど
どうやら僕にはなさそうだ
看板でも書こうかな
1セントで売りますってね
*4回 くり返してフェード・アウト
(川越 由佳氏:翻訳)
<破れたハートは売り物に>はジェリー・リーバーとマイク・ストーラーのコンビに続くヒットメーカー、オーティス・ブラックウェルとウインフィールド・スコットの作品、<心の届かぬラブレター>に続いてのコミカルな快作で、全米ヒットチャート13位にランキングされた。
『ヤング・ヤング・パレード』挿入曲
1. ビヨンド・ザ・ベンド
2. リラックス
3. 博覧会に連れていって
4. あなたにそっくり
5. 破れたハートを売り物に
6. 今宵恋して
7. 綿菓子の国
8. おいらの世界
9. ハウ・ウッド・ユー・ライク・トゥ・ビー
10. ハッピー・エンディング
どの曲をとっても、ハートワオーミングな傑作揃いでエルヴィスの人柄がにじみ出ている。
個人的な好みであげると
博覧会に連れていって /あなたにそっくり /破れたハートを売り物に/ 今宵恋して /綿菓子の国 /おいらの世界
/ハウ・ウッド・ユー・ライク・トゥ・ビー /ハッピー・エンディング がいい。
なんだ、ほとんど全部ではないか!
なるほど、さらに厳選すると、/あなたにそっくり /破れたハートを売り物に/ 今宵恋して /綿菓子の国 /おいらの世界 /ハウ・ウッド・ユー・ライク・トゥ・ビー /ハッピー・エンディング
<あなたにそっくり>は突出した名作だと思うが、気がつくと、どの曲も自然にいまも自然に口づさんでいるものばかり。
<今宵恋して/!’m Falling In Love Tonight>
<おいらの世界/A World Of Our Own> は、エルヴィスならではのバラードで大傑作ですよね。
<綿菓子の国/Cotton Candy Land>に至ってはスーリン(こども)を寝かせるための曲だけど、この切なさないったいなんだ!と泣けてくるほどだ。綿菓子もソフトクリームも降参してスーリンのために、エルヴィスの後からうれしそうについてくる。
<ハウ・ウッド・ユー・ライク・トゥ・ビー>は後からシングルリリースされましたが、「アカプルコの海」での<アカプルコの恋唄> などと併せて、どの曲もシングルロリースしても当然のような傑作です。
バラードを特選したアルバムも数多く出ていますが、エルヴィスの本当の良さはそれだけでは絶対に分らない。NEVER~ッ!!!
小さな曲にこそエルヴィスの魂が宿っているような気がしますね。つまり仕事の隅々にまで及んでいる。
サントラアルバムが入手困難な場合には、是非DVDで楽しんでください。
こちらは随分お安くなってお得です。
現在「ヤング・ヤング・パレード」は予約受付中なのでこの機会に必見です。
さて、今回はメガヒットとなったコミカルなラブソング。
<破れたハートを売り物に>をピックアップ。
タイトルをすっかりパクった日本のバンドも同じタイトルで歌っていましたね、全然違う曲ですが。
<破れたハートを売り物に>
なにしろコカコーラが、とっても不思議で、ぜいたくに感じた時代のポップなポップなヒット曲です。
* Who wants io buy a heart
One broken lover’s heart
One broken heart for saie
Well, excuse me it you see me
Crying like a baby
Since she rejected me
There’s nothing left to say
* Repeat
Well, she would not listen to the things
My heart was saying
She turned and walked away
And told me I was playing
Some guys have all the luck
My heart hasn’t any
I think l’ll paint a sign
For sale for a penny
* Repeat 4 tirnes and fade out
あなたにそっくり
僕はすっかり使い切って弾力性の乏しくなったゴムボールで草もない草野球以下の路地野球で遊んでいた。
僕の投げたボールは、かみなりおやじの家のガラスをたたき割り、ちょうど食事してた、かみなりおやしの手にあった茶碗に盛っためしの上をミットにして止まっていた。
僕はかみなりおやじに怒鳴られたおかげで、僕のハートは破れていた。
なんども僕はガラスをたたき割り、その都度、恐ろしいことに、いつも茶碗をミットにしていた。
そして毎回、おやじの顔によって、僕のハートは破られた。
いま思うと、あの茶碗はぼくのボールに、きっと恋していたのだ。
おやじの店は「ほていや」という屋号で、おやじの体型のそのままだった。
おかげで僕はいまだに布袋さんの像を見ると脚が止まってしまうようになった。
そんなことよりなにより、人も町もあたたかだった。
ハートは破れても破れても、すぐに繕うことができて、いつもゲンキだった。
たとえば女の子がいます。その横には男が立っています。
これだけではなにも起こらない。でもその男が女の子を守ってあげようと手を差し出します。
女の子は男の気配りに安心して手を差し出します。
ふたりは手をつなぎます。
そこに天使が舞い降ります。
エルヴィスの歌ってそういうことなのですよね。
それがロックンロールでもカントリーでもバラードでも民謡でも全部そう。
どんな歌にも貫かれている。
コメント