愛さずにはいられない / I Can’t Stop Loving You

エルヴィスがいた。

エルヴィス・プレスリーには「好きにならずにいられない」というオリジナルの名曲があります。
それとは別の「愛さずにはいられない」は、レイ・チャールズのヒット曲と知られているが、実はもともとカントリーソングでオリジナルはドン・ギブソン。

エルヴィスがカヴァーするとこうなります。
エルヴィスはカントリーの味を 生かしながら、レイのパフォーマンスと違った激しいR&Bで訴えます。昨日の夢に生き続ける男の心情を歌った失恋の歌ですから、エルヴィスの解釈は正しいです。
さらにエルヴィスはお遊びで、実にしっとりと優しく、全く違う解釈の「愛さずにいられない」もボーカルしています。こちらはエルヴィスらしくて、すごいとしか言いようがありません。

エルヴィス60年代マスターボックス

愛さずにはいられない / I Can’t Stop Loving You

エルヴィス

オリジナルはドン・ギブソンの作詞作曲で58年カントリーチャートでナンバーワンヒット「Oh Lonsome Me」のB面に収録したものである。B面ながらナショナルチャートで8位まで上り詰め注目曲となった。
録音は1957年12月にチェット・アトキンスのプロデュースのもと、RCAナッシュヴィルスタジオで行われた。バッキング・ボーカルはエルヴィス・プレスリーとのセッションで知られるザ・ジョーダネアーズがつとめている。もともとエルヴィスと因縁のある作品。

レイ・チャールズは62年HOT100の1位ヒットさせ、63年にはカウント・ベーシーオーケストラがジャズでヒットさせた。その後も多くのアーティストが取り上げ78年にはミリージャクソンがソウルミュージックとしてヒットさせている。

エルヴィスは69年7月31日から8月28日までのラスベガスインターナショナルホテルのステージで「愛さずにいられない」を披露、これが2枚組のアルバム「エルヴィス・イン・パーソン」としてリリースされた。(一枚はスタジオ録音)2枚組でありながら発売後すぐにミリオンセラーになり、69年12月12日に、RIAAゴールドディスクに認定された。
このライブがドキュメント映画「エルヴィス・オン・ステージ」に結実した。

昨日の夢に生き続けるというあり方

君を愛することはやめられない
そう、僕は決心をしたんだ
長い、独りぼっちの時を、想い出の中に生きるんだって
君を求めつづけずには居られないんだ
そう、云ったところで無駄だけれど
だから僕はただ自分の人生を
昨日の夢を見ることで生きるのさ

ああ、あの楽しかった日々、
ほんとに、かつて僕達、一度はそれを知ったね
それはずいぶん昔のことで、今でも僕を悲しくさせるけど
時は傷ついた心をいやすと人は云う
イヤー、だけど君と別れたあの時いらい
時はそのまま止ってしまったんだ

君を愛することはやめられない
そう、僕は決心をしたんだ
長い、独りぼっちの時を、想い出の中に生きるんだって
君を求めつづけずには居られないんだ
そう、云ったところで無駄だけれど
だから僕はただ自分の人生を
昨日の夢を見ることで生きるのさ

(歌詞翻訳:湯川れい子氏)

「エルヴィス・ザ・コンサート~1999ワールド・ツアー」ライナーノーツより

東京公演が懐かしいですね。

「エルヴィス・ザ・コンサート~1999ワールド・ツアー」

エルヴィスの汗が美しい

 エルヴィス・オン・ステージ [Blu-ray]

「愛さずにはいられない」を歌うエルヴィスの汗の美しさに感動しないでいられない。

ドン・ギブソンが、マッチョな男の恋心を切々と語るのに対して、レイ・チャールズは美しいラブソングに仕上げていること、一方、エルヴィスは、他のカヴァー曲同様、ほとんど別物になっていて、身を焦がし破滅していきそうな青年の歌になっています。このときエルヴィス・プレスリー34歳。成熟の域にさしかかった頃、いい味出していますよね。

もともと愛することは片想いからはじまります。運がよければ両想いに発展します。
愛し合っていても互いに片想いで揺れています。
相手が愛してくれても、愛してくれなくても関係ないのです。
愛するだけしかないのが愛することですよね。

そこでエルヴィスの「愛さずにはいられない」が とんでもなく素晴らしい歌だと分かるのです。

エルヴィスが正式に世に送り出したのは、 分かりやすい熱情型の「愛さずにはいられない」です。
エルヴィス・オン・ステージ・スペシャル・エディション」では、 腕を振り回しての熱唱が見られます。

砲丸投げや野球をやっているわけではないのですから、 なぜこんなに腕を振り回すのか分かりません。しかし、これがエルヴィスの解釈であり、エルヴィスには必然なのでしょう。
きっと火の玉のようなココロを投げ込もうとしているのでしょうね。

「エルヴィス・オン・ステージ」の 全身で歌う「愛さずにはいられない」からは、 愛してくれなくても、愛さずにはいられない男ならではの、 本物の心を感じます。
汗だくになって歌うバラードなんて・・・「アイ・ウオント・ユー、アイ・ニード・ユー、アイ・ラブ・ユー」に通じる燃えるラブソングは、ロックンロールですね。

「どうせ私なんか」と思っている者を、 問答無用に抱きしめ、仮面の下の本当を愛することのできる男の歌。傷ついた者に、癒しが届きます。

エルヴィス・プレスリーは、「愛さずにはいられない」を 映画をやめライブに復帰してから生涯歌い続けました。あたたかい気持ちにさせてくれます。

メンフィスの楽屋にて

愛さずにいられない、エルヴィスとプリシラ

20世紀の終わり、メンフィスのビールストリートにある楽屋にエルヴィスとプリシラの写真が挿入された「ウェディング・ミュージアム」というボードを発見した。そこには、有名カップルの写真が飾られていた。誰が考えたのか、ブルースマンの作った愛の讃歌のピンナップボードが愉しい。

『女が知っておくべき「分かち愛」のルール「ベスト・バートナーになるために」~男は火星から、女は金星からやってきた』を書いたジョン・グレン博士はベスト・バートナーになるために」で男と女は火星と金星の異星人だ」と説きました。
異星人同士の恋は、まるで魔法にでもかけられたような勢いで急速に進展、嬉々として一緒に行動し、楽しみを分かち合うことができて、やがて地球に移住することを決める。新しい天体での生活も、はじめは快適で素晴らしいものだったが、ついにある朝、彼らは目覚めると記憶喪失になったかのように愛は戦いに変化すると言いました。誰しも覚えのある事実です。エルヴィスとプリシラをはじめ「ウェディング・ミュージアム」に掲げられたカップルも同じです。

「愛さずにはいられない」エルヴィスが歌うとこうなる。

Live In Las Vegas (Bookset)

▼抜群の癒し効果・・・シャボン玉のようなエルヴィスの歌声

アカペラに近い「ラブ・ミー・テンダー」も、激しい「「アイ・ウオント・ユー、アイ・ニード・ユー、アイ・ラブ・ユー」も、エルヴィスが歌う「愛さずにはいられない」も根っこにあるのは、与える愛と求める愛の葛藤であり、与える愛が勝ってしまう悲しみだ。エルヴィスの生涯は、本当は愛するより愛されたかったのではないのか。ひとは愛し愛されるものだが、生育環境で培われたパーソナリティによって重心は傾く。リトル・リチャードを好んでカヴァーしたエルヴィスの声は優しい。

エルヴィス・プレスリーの「愛さずにはいられない」は、与える愛が勝ってしまうことに、悲しいのだ。

豪華版エルヴィス・イン・パーソン

 エルヴィス・オン・ステージvol.3 エルヴィス・プレスリー

「愛さずにはいられない/I Can’t Stop Loving You」が、 音源として登場したのは「豪華版エルヴィス・イン・パーソン」2枚組です。
1枚が初のライブ・アルバム。これはロックンロール一色のようなギンギン もう1枚がメンフィスで録音したブラッキーな力作でした。

このアルバムは現在「エルヴィス・オン・ステージ Vol.3」として 販売されています
「愛さずにはいられない」は8年ぶりのライブで歌ったものが、 エルヴィスのものとして初リリースされました。
声が張り裂けるような熱唱に驚かされました。 エルヴィスのマジに呼応するような観客の絶叫も聞きものです。このアルバムに収録された「ジョニー・B・グッド」も狂喜乱舞の絶品です!

サスピシャス・マインド~メンフィス・1969・アンソロジー

サスピシャス・マインド~メンフィス・1969・アンソロジー

 

 

 

 

 

 

このライブ盤より先にスタジオで歌っていた音源を収録したのが「サスピシャス・マインド~メンフィス・1969・アンソロジー」です。
柔らかな声が魅力の「This Time~愛さずにはいられない」のメロディー。
シャボン玉のようにエルヴィスの声が空間に飛んでいきます。

空間に飛び出した声はすぐに消えずにシャボン玉と同じで、 しばらくフワフワ浮いています。
エルヴィス体験の際立った心地よさだと思います。
「愛が住み家」なんてシャボンだらけで、 風呂で聴いたらココロピカピカ、石鹸無用です。

2つの「愛さずにはいられない」はスピードも力感も全く違いますが、 実はよく似ています。 (当たり前ですが)是非、聴き比べてください。

この2つの「愛さずにはいられない」を聴いていると、エルヴィスならどんなロックナンバーでもバラードにしてしまいそうだし、どんなバラードだってロックにしてしまうような気がします。
歌の心をエルヴィスがどう解釈するか、それだけだけですが、そこにエルヴィスらしさと偉大さがあります。

楽曲の歌詞は終わってしまった恋だが、 愛し続ける男の心情を歌っています。
2パターンの「愛さずにはいられない」を聴いていると 愛ピはエルヴィスの深さを感じました
みなさんも、聴きながらじっくり考えてみてくださいね。

エルヴィス・プレスリー

 

 

 

 

 

 

 

 

「愛さずにはいられない」
エルヴィス・オン・ステージ Vol.3

死ぬまでに聴きたいエルヴィス・プレスリー

ロックンロール100

エルヴィスがいた。

エルヴィスがいた。1954~1977

 

 

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