青春カーニバル/Roustabout :1964

エルヴィスがいた。
エルヴィスが教えてくれたことを、自分の最高で自分のやりたいことをエルヴィスからやり直そう。
サーカスのように若く、ピンク・レモネードのように美しいすてきな世界.。人生はカーニバル。君はこの最大のショーの立役者。

この世は赤鼻の道化師、虹色の風船、皆の真珠貝。さあ君の真珠をとればいい!
すてきなこの世界はエンドレスにワンダフル!

音楽的に記録ずくめだった『ブルー・ハワイ』以来、主演映画のサントラ・アルバムを久々にアルバムチャートNO.1に送り込んだ。もちろんミリオンセラーだ。
青春カーニバル』からは、シングルカットがなかったために華やかな話題はなかったが、エルヴィスのもつ力量がはっきりと伺えるアルバム。エルヴィスの情感豊かな表現力によって、枯れそうになっていた花々が息を吹き返したような鮮やかさだ。

人生はカーニバル

エルヴィス映画とその音楽を悪く言う評論家は多い、エルヴィスならこんな仕事は朝飯前だというのが、怠惰なあり方への批判だ。

しかし、映画『エルヴィス』が、当時のエルヴィスの置かれた状況を整理しているように、最大の被害者はエルヴィスだったのだ、
にもかかわらず、エルヴィスの解釈によって様々なジャンルの音楽をイキイキとした音楽にしてしまう才能は単に歌が上手いでは片づけられない。

根本的にエルヴィスには、すべての音楽をロックンロールにも甘いラブソングにも、お手軽なポップ・ロックにも、サントラにも、してしまう才能があった。それを見抜いていたのが、ロネッツの<ビー・マイ・ベイビー>ビートルズ<レット・イット・ビー>ジョン・レノンの<イマジン>などをプロデュースしたフィル・スペクターだった。次の言葉に集約されている。

エルヴィスは素晴らしいシンガーだ。ほんとに。エルヴィスはとても素晴らしい。どれだけ素晴らしいか、みんなわかっていないのさ。本当には、わかっていないんだ。
みんな全然理解していないんだ。絶対に無理だね。どうして彼がそんなに素晴らしいのかなんてわからないよ。でも、エルヴィスは素晴らしいんだ。

フィル・スペクターは、さらに話している。

 

エルヴィスと仕事したかった。
エルヴィスならなんでもできた。

でも、もっと大事なことをお釈迦様は言い遺している。

ただ誰かから聞いたからといって、それを信じるな。
何代も受け継がれたからといって、その伝統を信じるな。
たくさんの人の間で語られ、噂になったからといって、それを信じるな。
あなたが所属する宗教の聖典に書かれているからといって、それを信じるな。
ただ貴方の先生や先輩の権威だからといって、それを信じるな。
しかし、観察と分析を行なった上で道理に合っていて、すべての者の利益になると貴方がわかったならば、それを信じなさい。(『自灯明・法灯明』)

人生はカーニバル、カーニバルにするのは、自分しかいない。

青春カーニバル/Roustabout

ドリーミーな歌詞の<すてきな世界/ It’s A Wonderful World>に漂う刹那さは絶品。
1分47秒のこの1曲だけでこのアルバムをゲットする価値があると思う。
同じく1分57秒の美しく切ないバラード<激しい恋には深い傷手 /Big Love Big Heartache>のジョーダネアーズとのかけあいに聴ける見事なまでのエルヴィス・スピリット。
あまりにも短いけれど、この2曲でシングルカットしてもよかったね。

アメリカの祈り>の種子のような<There’s A Brand New Day On The Horizon /地平線に新しい日が>やホンダのバイクで快走する様子が懐かしい<Wheels On My Heels/イカス車でぷつ飛ばせ>。

さらに<TooMuch>などを思い起こさせる<It’s Carnival Time /カーニバル・タイム>、
’68 Comeback Specialでも歌われたジェリー・リーバ、マイク・ストーラーがコースターズに提供、HOT100で23位になった<Little Egypt /リトル・エジプト>では、エジプトの踊りに合わせて軽く歌っているなどなど、さあさあ、みなさん!ゲンキが出る『エルヴィス・カーニバル』へ急ごう!

『’68 Comeback Special』リハーサルシーンから<Little Egypt>

エルヴィス・プレスリー16本目の映画『青春カーニバル』

  1. Roustabout /青春カーニバル
  2. Little Egypt /リトル・エジプト
  3. Poison Ivy League /いたずら仲間
  4. Hard Knocks /つらいパンチ
  5.  It’s A Wonderful Worldすてきな世界
  6.  Big Love Big Heartache/激しい恋には深い傷手
  7.  One Track Heart /ワン・トラック・ハート
  8. It’s Carnival Time /カーニバル・タイム
  9.  Carny Town/見世物小屋
  10. There’s A Brand New Day On The Horizon /地平線に新しい日が
  11. Wheels On My Heels/イカス車でぷつ飛ばせ

●今回は1964年にリリースされた『青春カーニバル』オリジナル日本盤アルバムのライナーノーツ(三浦英和氏記述)を全文掲載、当時の雰囲気をお楽しみください。

かぞえて16本目のE・プレスリー主演作品、パラマウント映画「青春カーニバル」の登場です。この映画でも例によって全部で11の曲を歌い、プレスリー・ファン、スクリーン・ファンを堪能させて居りますからその歌を早速お手許にお届け致しましょう。

この64年の春先に”E・プレスリー「ロウスタバウド」に出演”とのハリウッド・ニュースに接し、詳しい内容もわからぬままに今度は波止場の人足の役だとはさては汚れ役?……演技派に転向?………といろいろ私達ファンの間では推測されました。

でもこのたぴの映画の公開ではっきりしましたね。いつもの明かるく楽しいプレスリー映画、そして雑役夫は雑役夫でもふんだんに歌をきかせる歌の運び屋だったようです。この映画はエルヴィス・プレスリーを映画スターとして育ててきたハル・ウォリスの製作によるもの。ハワイ、アカプルコ、ラスヴェガスとこのところ観光地を背景にした映画が多く続いたので、「キッスン・カズン」同様に今日は野に戻り、土と人間臭い旅廻りの見世物一座を舞台にとり上げて居ります。

そしてプレスリーはその一座に飛び込んだ雑役夫の役。相手役にはジョーン・フり一マンの他に大女優バーバラ・スタンウィクが女座長の役で出ているのがこの作品に重みを与えて居り、一つの話題と云えましょう。では、都びた移動遊園地をバックに歌いまくるE・プレスリーの歌を、ストーリーを追いながら聴くことに致しましょう。

映画の始まりです。夜の遊園地を思わせる電光装飾の文字でタイトル・クレジットが次々にスクリーンに現われ、プレスり一の歌う主題歌「青春カーニバル」(A-1)がこれから始まるストーリーを表徴して明かるく弾みます。

ここはある大学町のティー・ハウス。学生達を相手に秘かにアルコールも飲ませる人気のある店ですが、ここのステージで歌うのがチャーリー・ロジャースと云う主人公。いずれはヴェガスかマイアミでと望みを持つ歌とオートバイが好きな渡り者です。イカレた学生達の客を前に歌い出したのが「いたすら仲間」(A-3)。古ぼけた名門校でイージーに過すグウタラ学生め!と歌でやっつけたから学生達は納まらない、早速店の表でケンカが始まり、チャーリーは得意の唐手で勝ちはしたもののとうとう警察沙汰になってしまいました。

さて、一晩を警察で明かしたチャーリーはケチのついた町を後に次の目的地フェニックス目指して、イキな日本製のオートバイを走らせます。のどかな田舎の道を快適に飛ばすチャーリーは「イカス車でぷつ飛ばせ」(B-5)とごきげんで歌います。そのうちに3人乗りのジープに追いつきました。3人とは近くにやって来た見世物一座の女座長マギーと一座で働くジョー、その娘キャシー。ところがジョーはチャーリーが近ずいて騒々しく娘に声をかけたことがカチンと来て、わざとジープでオートバイを跳ねとばしてこわしてしまいます。

これが縁で、チャーリーは旅を途中にこのカーニバルの一座で雑役夫として暫く滞在することになりました。相変らず不気嫌なジョーをよそにその娘キャシーをチャーリーは追いかけます。遊園地の設備も完了して、チャーリーは観覧車の試運転にキャシーを誘って乗り込みます。速く大きく廻る観覧車の上で彼が歌うのは「すてきな世界」(A-5)。

こうして2人でいるのを又々ジョーに見つかって心証を悪くする始末でした。さあ準備が整っていよいよカーニバルの幕開き。座員がそれぞれ売店やテント小屋の前で客を呼ぶ中で、チャーり一も手伝い。キャシーのダルマ落しの店がパッとしないのを見てチャーリーは歌で客の呼び込みを始めます。「カーニバル・タイム」-(B-2)。

彼の歌が意外に客にうけているのに気付いて座長は彼をショーの歌い手にします。ショーの始まるテント小屋の木戸では客呼びに大童。小屋の前に4人のダンサーと共にチャーリーが現われ、歌と踊りをチョッピリ見せて客を呼び込みます。「見世物小屋」(B-3)。

そしてショーのステージでチャーリーは「ワン・トラック・ハート」(B-1)を歌い盛んな拍手を受けるのです。この好評に座長は彼と正式に歌手の契約をし、一座の不振を一気に挽回しようと考えますが、ジョーは相変らず大反対。

一方「つらいパンチ」(A-4)を歌うチャーリーのステージは平日でも大変な入りでした。ところがたまたま客の財布の紛失騒ぎが起り、キャシーやマギーに誤解されたことから、やむなく彼は一座をとび出し、この社会では一流のカーバー一座に移ります。

テント小屋とは違った立派なステージでの歌「リトル・エジプト」(A-2)は又も大喝采。座長のカーバーは大喜びでした。一方チャーリーに去られたマギー一座は客足が落ちはじめて銀行の負債が払えず四苦八苦の毎日。

堪りかねてキャシーが遥々とチャーり一をカーバー一座の舞台に訪ねて行きます。「激しい恋には深い傷出」(A-6)を歌い終って袖に戻ってきたチャーリーにキャシーははっきり帰ってくれとは云えず、空しく帰ります。しかし彼女の話で一座の窮状を知ったチャーリーはその夜のうちにオートバイで元の一座へ駆けつけました。

あわや一座は銀行により差押えと云う時現われたチャーり一はマギー一座の立直しを図り、大好きなキャシーへの愛をはっきり打明けるのでした。撲り合いまでして彼を追い返そうとした父親のジョーも折れて明かるい空気が皆の間に甦えったのです。「地平線に新しい日が」(B-4)を歌うチャーリーに寄り添うキャシー、2人の姿を写してエンド・マークとなります。

バックはいつものジョーダネアーズ、そして歌はこれまでもプレスリーの一連のヒット・ソングを作り出して来た作詞・作曲家達。映画の音楽担当はハル・ウォリスと名コンビのショセフ・J・リリーです。スローバラードがないのが淋しいですが、プレスリーの真価を見せるロックに徹した歌ばかり、往年の彼のスタイルも現れて楽しいアルバムです。

青春カーニバル〔A面〕

1.青春カーニバル

「おいらは雑役夫、町から町への渡り者、どんな仕事もヘッチャラさ。この青空の下みんながおいらの世界、落着く先のあるまでは旅から旅への雑役夫。可愛いい娘もそっちのけ、風に舞う砂のように幸わせ訪ねて渡り歩く雑役夫…。」バイヨン調のウッドブロックが入り、エレキ・ギターが高く弾む明かるいバックですね。やや「キッスン・カズンJのタイトルと似た曲ですが、それも道理で同じコンビ、ビル・ジャイアント、バーニ一・バウム、F・ケイの作です。

2.リトル・エジプト

「ボサノバ・ベビー」「ガールス・ガールス・ガールス」でおなじみのコンビ、ジェリー・ライパー作詞、マイク・ストーラー作曲。エジプト・ダンスを背景にその踊り子をストーリー仕立てにして歌っています。ややコミカルなツイスト’ソング。「切符を買い、一番に坐っているとカーテンが開きスポットが当る。そしてポクンとリポンだけのエジプトのダンサーが踊る。旅から旅へ視客にウインクを送りながら踊り続ける。その彼女がイレズミしたカウボーイの写真を持ち、そして踊らなくなる。1日中キりキり舞いの世話女房になったのさ…。」

3.いたずら仲間

呼ぴかけから歌に移ります。「やあ、ようこそグウタラ学生諸君!イカレた学生達が今夜もテーブルでパンティ騒ぎやレモネード作りに考えをめぐらしている。金持の腕白,息子共にはもうウンザリ。勉強にしくじりゃお金で済まし、いずれは親父の光で会社のおえら方。…」

4.つらいパンチ

「ハートプレイク・ホテル」を思い出させるラーメント・ソング。「富も身分もなく生まれたおいら、生えているのはつらいゲンコツの味ばかり。餓えと寒さと疲れのオレに恵んでくれたのはパンチだけ。覚えているのはパンチだけ…。」最近めだってプレスリーの歌を手がけているジョイ・パイアーの曲です。

5.すてきな世界

はっきりポサノパ・ソング。「G・1・ブルース」や「ブルー・ハワイ」等でおなじ’のコンビ、シド・テッパー調、ロイ・ベネット曲.「サーカスのように若い、ピンク・レモネードのように美しいすてきな世界.。人生はカーニバル、そのつもりで生きよう。君はこの最大のショーの立役者.この世は赤鼻の道化師、虹色の風船、皆の真珠貝。さあ君の真珠をとりなさい。すてきなすてきなこの世界!」

6.激しい恋には深い傷手

「激しい恋には深い傷手が。本当にそうだよ。恋に破れたれたこの胸ははり裂ける思い……。」かけ合いで歌われる失恋の歌です。「裸足のバラード」のコンビ、ドロレス・ビューラー、リー・モりス、そしてヘンドリックスの作。

青春カーニバル〔B面〕

1.ワン・トラック・ハート

「おじいさんの古時計のように、競馬馬のようにひとすじに思いつめて止まらぬ心。ロバのように頑固なこの気持。あきらめ得ぬこの恋を判ってくれるのなら止めないで、ただ一筋の心しかないのだから・・・…」

べ一スとウッドプロックだけの単調なイントロから重々しく始まります.

2.カーニバル・タイム

ハモンドが合の手に入ったロック・マーチとも云うべき曲。内容は客呼びの歌です。「老いも若きも、且那も婦人も、さあさあショーの始まりだ。ポップコーン、綿飴、ピーナッツ。1ドル出すなら射的もあるよ。さあさあ迷わず買っちゃいな。バンドも奏でるカーニバル・タイム……。「アカプルコの海」を作ったベン・ワイズマン、シド・ウェインの曲。

3.見世物小屋

「急いだ急いだ、こちらへどうぞ、上等のショーの始まりだ…。」同じく客の呼び込みの歌。やはりプレスリーの歌を多く手がけているワイズとスターのコンビの作です。

4.地平線に新しい日が

古くから黒人の間で歌われ、北軍の軍歌にもなったおなじみの曲「グローリー・ハレルヤ」をもじったメロディのようです。(劇中カーニバルの開幕の時にもオールド・ファッションの楽隊がこの「グローリー・ハレルヤ」を演奏しています。)「新しい日が地平線に現われ、全ては好調!幸わせはここにめぐり来って、過去の黒雲は消え去った。陽は輝やき、おいらにツキがまわってきた。・・…u

5.イカス車でぶつ飛ばせ

「気分の良いハイウェイをとばす埃のように身軽なおいら。かかとに車がついていて気楽にすっとばす。まだ見つからね夢を求めておいらは走る……」

鼻歌気分で軽く歌います。.(三浦英和)

ラスベガス万才

  1. Viva Las Vegas
  2. If You Think I Don’t Need You
  3. I Need Somebody To Lean On
  4. You’re The Boss – (with Ann Margaret, not in film)
  5.  What’d I Say
  6. Do The Vega – (not in film)
  7. C’mon Everybody
  8. Lady Loves Me, The – (with Ann Margaret)
  9. Night Life – (not in film)
  10. Today, Tomorrow And Forever
  11. Yellow Rose Of Texas, The / Eyes Of Texas, The
  12. Santa Lucia

エルヴィスが教えてくれたことを、エルヴィスからやり直そう、
自分のやりたいを自分の最高で!

サーカスのように若い、ピンク・レモネードのように美しいすてきな世界.。
人生はカーニバル、そのつもりで生きよう。君はこの最大のショーの立役者。
この世は赤鼻の道化師、虹色の風船、皆の真珠貝。さあ君の真珠をとればいい!
すてきなこの世界はエンドレスにワンダフル!

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