ラスベガス万才/ Viva LasVegas

ラスベガス万才 エルヴィスがいた。

「ラスベガス万才」はフランク・シナトラ、キム・ノヴァック主演「夜の豹」、アン=マーグレットのエルヴィス入隊騒ぎを映画化した「バイバイ・バーディ」を撮ったジョージ・シドニー監督の作品。エルヴィス・プレスリー主演映画の15作品目にあたる。
エルヴィスが主演した全31作品中、ベスト3に入れたい傑作であっという間に終わってしまう面白さだ。公開当時はシングルとEP盤だけで、なぜこの曲が音源化されないのかとストレスまみれになった方も多かったはずだ。

ここでは、オープニングナンバー「ラスベガス万才/ Viva LasVegas」に絞って行こう!
空撮したラスベガスの街に軽快なロックナンバーが流れて心は天使、ワクワクがビートに乗っていく!ああ、快感!作詞作曲は「マリーは恋人」「リトル・シスター」「ナイト・ライダー」などミディアムアップのロックナンバーを提供したドク・ホーマス、モート・シューマン。

ラスベガス万才/ Viva LasVegas

ラスベガス万才

1964年5月1日に日本でロードショウ公開された映画『ラスベガス万才』もいまでは完全にクラシックである。なによりラスベガスの光景が日進月歩で様変わりしている。撮影当時のラスベガスは「賭博の街」の印象が強く、いまのようなカジュアルウェアで闊歩するような街でもなく、子供連れで遊ぶ街でもなかった。現在の中心地は当時は存在していなくて、映画のロケに使用された「ダウンタウン」も衰退を余儀無くされている。

しかし黙って衰退するわけにもいかない。
かっての栄誉をいま一度と「ダウンタウン」に客を呼び戻すために、フリーモント・ストリートに鳴りもの入りで作ったのが全長50mの世界最大のアーケードだ。
1250万個のLEDライトと200のスピーカーで構成されるアーケードの天井では毎夜、光と音のスペクタルショーが展開される。

光と音で描かれるばく進する牛の大軍やカウボーイなど様々なドギマギ、シナトラやサミー・デイビス.Jrの歌声で発散される官能、そして勿論「Viva LasVegas」絢爛豪華な200万個の光と音の洪水にふさわしいエルヴィスの声によるアメリカの大はしゃぎーーーー大音響と数えきれない虹のパレードを見上げて歌い踊る人々ーーーー若い女性の目の輝きーーーーこの歌がしっかり人々のココロに腰を降ろしたスタンダード・ナンバーになっていることを感じるこの世の光景だ。

明るい光を放つ町が俺の魂に火をつける
金ならたっぷり燃やすほどあるさ
だからもっと賭け金を上げてくれ
数えきれない美女たちが俺の事を待っている
どう暮らしていようが構わない

俺は愛ある悪魔

俺は愛を持った悪魔だぜ
ラスベガス万才、ラスベガス万才

心から思っているぜ
一日が24時間以上だったらと
たとえあと40時間あっても
1分だって眠るものか
ブラックジャックにポーカー
それにルーレット
ー度賭けるごとに勝負が決まる、
必要なのは強い心と
鉄の度胸だけ
ラスベガス万才、ラスベガス万才

点滅するネオンの町ラスベガスに万才
ギャンブラーたちの夢が
ドブをつたって流れていく
ラスベガス万才、昼を夜に変え夜を昼に変える町よ
一度ここを見たら違う人間になっちまう

このまま楽しくほがらかに
ギャンブルを続けるさ
たとえ最後の硬貨まで使っても
もしも一文無しになったって
いつだって覚えてる
最高に楽しい一時をすごしたと
そうさ、賭けてみるんだ’
俺の全財産をすべて
勝利の女神よ、見方をしておくれ
サイコロのセブンの目を出して くれ
ラスベガス万才、ラスベガス万才
ラスベガス万才、万才、万才、ラスベガス

Bright light city gonna’ set my soul
Gonna’ set my soul on fire
Got a whole lot of money
That’s Teady to burn
So get those stakes up higher
There’s a thousand pretty women
Waitin’ ovt there
And they’re all livin’, devil may care

And l’m ‘ust a devil with love to spare, so
Viva Las Vegas, Viva Las Vegas,
How I wish that there were more
Than twenty-four hours in a day

Even if there were forty more
I wouldn’t sleep a minute away
Oh, there’s blackjack and poker
And the roulette wheel
A fortune won and on every deal,
All you need is a strong heart
And a nerve of steel Viva Las Vegas,

Viva Las Vegas Viva Las Vegas with your neon flashin
And your one-arm bandits crashin’
All those hopes down the drain
Viva Las Vegas, turnin’ day into night
And turnin’ night into daytime
If you see it once
You’ll never be tne same agaln

I’m gonna’ keep on the run
and l’m gonna’ have me some fun
If it cost me my very last dime
If I wind up broke
Well. l’ll always remembe
T That I had a swingin’ time
Ohhh, l’m gonna’ give it
Everything l’ve got
Lady Luck, please let the dice stay hot
Let me shoot a seven with every shot, oh
Viva Las Vegas, Viva Las Vegas Vlva Las
Vegas, Viva Vlva Las Vegas

ロックンロールの名曲「ラスベガス万才」

Viva! Las vegas

「ラスベガス万才」がロックナンバーの名曲であるかどうか?は自分にとって一大関心ごとだ。
名曲としてとりあげられたことを見聞した機会はない。
しかし『ハネムーン・イン・ラスベガス』『ビバ・ロックベガス』などの映画が証明するように、アメリカ人が愛してやまないグレートなグレートな愛唱歌であることだけは間違いない。

なによりもーーーー口ずさみながらリズムを取る人々の目の輝きーーーこそが「名曲である」ことを証明している。そしてVIVAという単語が日本人にとって親しい単語になったのもこの映画と歌の威力だと信して疑わない。(異論があれば聞きたいものだ。)
名曲とは一部の音楽評論家が論じて証明するものではなく、人々のこころから生み出されるものであるべきだ。

『ELVIS ON STAGE』の下地となった傑作『ラスベガス万才』

ラスベガス万才

そして映画『ラスベガス万才』と主題歌「Viva LasVegas」こそがラスベガスをエルヴィス・プレスリーのコンサートの拠点にしたといっても過言ではないのか。

映画『ELVIS ON STAGE』に記録されている70年代コンサートを行っていたヒルトン・ホテルにはエルヴィスのブロンズ像が展示され、ヒルトン・ホテル社長の感謝の言葉が添えられている。
エルヴィスにはその貢献へのお礼として世界に点在するヒルトン・ホテルに無料で宿泊できる特別な資格を与えられていた。

またC&Wの歌と踊りのショーを行っている人気の高いレストランにはエルヴィスの写真やゆかりの物が数多く展示されている。
ラスベガスにはいまもエルヴィスの想い出がネオンに負けずに星のように輝いてる。

それにしてもエルヴィスとラスベガスは似合うかといえば少し釣り合わない。
もともと酒もギャンブルもしない素朴なはずのエルヴィスにはテキサスやコロラドなどの方が似合いそうだ。
そんなことを考えながらこの快調な「Viva LasVegas」を聴いていて浮かんで来た言葉がある。

サン・レコードでのはじまり、お馴染みの名セリフ、「ボクは誰にも似ていません」だ。
「ボクは誰にも似ていません」と言いながら、エルヴィスは自分で作曲しなかった類い稀なロックシンガーだ。(モト歌が分からないぐらいの超自分流のアレンジは別として)

そこである謎の解明?!

エルヴィスとは何者だったのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つまりエルヴィスはヒーラー、すなわちシャーマンだったのだ?!
シャーマンとは、精霊が宿る霊的な別世界つまり超自然界と、我々の住む世界、どちらかというと物質的な世界の仲介を変性意識状態のもとに行う人だ。
シャーマンという職能者は主に依頼者からネガティブなエネルギーを「吸い出し」て、「吐き出す」役割を担う。シャーマンの魂が、依頼者のネガティブなエネルギーと一体となって直接、超自然界と交流するのだ。つまりシャーマンは無の状態でなければ超自然界と交流できない。

れい‐ばい【霊媒】
神霊や死者の霊と意思を通じうる媒介者。巫女みこ・口寄くちよせの類。じゅつ【霊媒術】

さい‐し【祭司】(priest)
1)ユダヤ教で、エルサレムの神殿に奉仕して、宗教上の儀式・典礼を司つかさどる者。
2)未開諸民族において、祭儀・呪文じゆもんに通じ、霊験をもたらす者。また、神霊の代表者。
3)信仰の対象と俗人との間に立って宗教上の儀式・典礼を司る者。司祭 [広辞苑第五版]

シャーマンとはいささかオカルトめいているが、シャーマンと一口にいっても呪医、霊媒、祭司、妖術師なども含まれる。なによりエルヴィスがそのような職能者として過ごしたわけでもないので、ここでシャーマンの実際の能力を云々するつもりはない。

いいたいのは人間も大きく分けると霊的な人(内的な人といえば現実的なのだろう)と物的な人(外的な人)がいて、超自然的な能力に長けた人というのは存在するということ。
なぜ霊的なものが発展するのかは、その個人の脳神経と生活環境と体験が影響するのだろう。

アン・マーグレットとエルヴィス

エルヴィスは「ボクは誰にも似ていません」と、サム・フィリップスに言い切った。
サンレコードで録音した17曲が実証している。エルヴィスの解釈とパフォーマンスによってオリジナルではない楽曲が個性的な「オリジナリティ」に大転換している。
すでにある楽曲を呼吸のようにそのまま受け入れ、エルヴィスの身体と精神を通して吐き出したときには全く別のものになっているのだ。
しかもその吐き出された曲は人々を癒すパワーが格段だ。

もし自分の我というものを強く持っていたなら、エネルギーを「吸い出し」て、「吐き出す」ことは出来ない。自分の我はないが研ぎ澄まされた魂と肉体で別のものになるのだ。

ひょう‐い【憑依】
(「憑」は、よる・つくの意)
1)よりすがること。よりどころとすること。
2)霊などがのりうつること。憑つくこと。
[広辞苑第五版]

もう少し現実社会のレベルで語ろう。
エルヴィスはあまり自分の意見や考えを公にしていない。
しかしそれは「自分がない」のではなく、俗にいう「我が強い」の「我」が強くないだけであって、自分というものがないわけではない。仏教でいう「無我」である。

自分の我が強くないということは何でも受け入れることはできる。と言っても魂がきっちり目を光らせているからゴミ箱のように何でもOKということではない。人間が意識できる範囲は氷山の一角で、大半は無意識状態にある。だから酔っぱらっても家に帰れるわけだが、魂とはこの無意識の範囲だ。

例えばジェームズ・ディーンに憧れたとしたら、無意識にディーンの感情、精神になりきれるというような、エルヴィスには憑霊(憑依)体験のようなことができるのではないか。
[広辞苑第五版]によれば霊などがのりうつること。憑つくこと。とあるので、そのまま理解すればまたもやオカルト的になるが、そうではなくて、いわゆるディーンの模擬をするのではなく、ディーンそのものを感じる能力つまり憑依できる能力が非常に高いのではないかということだ。
ようするにもっと魂の奥深いところで感じているということだ。三蔵法師がインド地方から持ち帰った経典「唯識」でいう深層心にある「阿頼耶識(あらやしき)」が感じたままに歌っているようだ。

いとも簡単に、自分の中にすんなりと他者性が入ってきたり、取り込んだりする。
それらが、何の考えもなく、魂の奥で混ざりあってエルヴィス模様になってポーンと突然吐き出される。特に幼少から関心が高かったと思える音楽面では映画以上に憑依した他者性、エネルギーが膨大な量と質なので、吐き出されたものは熟成度が高いのではないだろうか。

多岐にわたる様々な楽曲への取り組みこそエルヴィスが伝えたかった精神性の表現に向かう創造作業である、その作業の成果を高めようとすればより憑依は拡大する。その結果70年代エルヴィスのように何でも歌うということ、そしてそれがヒーリング効果を高めることにもなったのではないか。

その拡大へのかじ取りをしたのが、はからずもエルヴィス観光映画における土着性とそこにある幅の広いサウンドだったといえる。映画はまさしくエルヴィスが「司祭」を務めたイベントであり、それはライブでの「アメリカの祈り」に代表される究極に向かっていたと言えないか。

ラスベガス万才

「ラスベガス万才」と「アメリカの祈り」の間には時の隔たりもあり、曲調もまったく異質、何ら関連性がないように見えるが、実は同じコンセプトで縁取られている。フリーモント・ストリートで”Viva! Viva! Las vegas” と口々に口ずさむ人の姿には生きることの楽しさが発散されている。そのエネルギーのヴァイブレーションを受けてピエロの目にも涙。

普段の暮らしは大半の人にとって変わり映えのしない、ストレスの多いものかも知れない。しかし世界有数の観光地で自分の内なる蓋をはずし、自身をからっぽにして歌うとき、羽根を伸ばす瞬間に、精霊が宿る霊的な別世界へ飛翔しているのではないか。エルヴィスは自らをからっぽにすることで精霊を宿し、その力で、人々をからっぽにし別世界に誘い、そこで人々はヒーリングされる。

ギャンブルで財布を軽くして泣くのも人間なら、深夜のチャペルに飛び込んでウェディング・ベルを鳴らして幸せの絶頂に立つのも人間なのだ。
「VIVA LAS VEGAS 」が宙を飛び交うヒップなラスベガスでは、生命感が路上から沸き上がり、気分は高揚し、誰彼なく優しく抱きしめたくなる。
ダイスを転がせ、ディスクを回そう!Viva! Las vegasは天使な歌である。

シングル盤解説より

ラスベガス万才

映画にレコードに、飛ぶ鳥を落とす勢いのエルビス・プレスリーと、「ステートフェア」「バイ・バイ・バーディー」と、一作毎にロケットのように急上昇するアン・マーグレット、まさにハリウッドの人気を二分する勢いの二人が、広漠たるネバダの砂漠に咲き香る歓楽都市ラス・ベガスを背景に、持てる魅力を総動員して火花を散らす歌と踊りとスピードにあふれる小気味のいい作品である。脚本は、「疑惑の影」「アンナとシャム王」「星は輝く」などのベテラン・ライターのサリー・ベンソンが書き下したもので、「バイ・バイ・バーディー」「ぺぺ」などのジョージ・シドニーが監督したが、若い両スターの初顔合わせにふさわしいきびきびした演出・編集ぶりである。撮影はラス・ベガス及びその周辺のロケで、「バイ・バイ・バーディー」「アイヒマン追跡作戦」などのジョセフ・バイロックが担当、「ジャンボ」、「けっさくなエディ」などのジョージ・ストールが音楽をつけた。はつらつたる数々の踊りは、デビッド・ウィンターズの振りつけで、若々しいアン・マーグレットの衣装は、ドン・フェルドのデザインになったもの。プレスリーは、ここでは自動車レーサーとして登場し、ソロで、あるいはアン・マーグレットとデュエットで、あるいはコーラスと共に、別項のように数々の歌曲を歌いまくれば、アン・マーグレットも、踊りに歌にはじめてその真価を発揮する。この二人をめぐって、「クレオパトラ」のチェザーレ・ダノーバ、「山」「ブラボー砦の脱出」などのウィリアム・デマレスト、新人ニッキー・ブレアらが助演する。製作は、「ぺぺ」「カンカン」など、ミュージカルの得意なジャック・カミングスが、監督のジョージ・シドニーと協力。一九六三年度のメトロカラー色彩、パナビジョン作品。(十一巻-一時間二十四分)

死ぬまでに聴きたいエルヴィス・プレスリー

ロックンロール100

エルヴィスがいた。

エルヴィスがいた。1954~1977

 

 

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