追悼 リサ・マリー・プレスリー|マイ・ボーイ/My Boy:1974

エルヴィス 特選ソングス

2023年1月8日、エルヴィス・プレスリーの88回目の誕生日を祝うために<グレイスランド>集まったファンの前に姿を表した一人娘リサ・マリー・プレスリーは、その日からわずか5日後の1月12日(現地時間)自宅で心肺停止の状態を発見されて病院に運ばれたが、死去した。

その2日前の10日には母プリシラさんと第80回ゴールデングローブ賞授賞式に昨年公開された映画『エルヴィス』の応援に元気に駆けつけ、主演したオースティン・バトラーの主演男優賞受賞の祝ったばかりだった。

エルヴィス

キング・オブ・ロックンロール、エルヴィス・プレスリーを熱演したオースティン・バトラーは自身のInstagramに、「リサ・マリーさんのあまりにも悲しく、突然すぎる死に、僕の心は粉々に砕け散ってしまいました。美しい輝きに満ちた彼女と過ごした時間は、僕にとって一生の宝物です。本当に温かくて愛情深い、誠実な女性でした」というコメントを添えて、親密かつ楽しげに語り合うリサ・マリーさんとのツーショットを投稿。

 

監督したバズ・ラーマン監督も同じく自身のInstagramを通じて、「この1年間、私をはじめとする映画『エルヴィス』に携わった全員が、リサ・マリーさんの優しさに触れることが出来たのは、真に光栄なことでした。彼女の突然でショッキングな死に、世界中の人々が深い悲しみに包まれているに違いありません。残された母親のプリシラさんと愛娘のライリー、フィンリー、ハーパーのために心を込めて祈りを捧げます。愛するリサ・マリー、あなたの優しさととびきりの笑顔を、私たちは生涯恋しく思うことでしょう」と悲痛な哀悼のメッセージを送った。

バズ・ラーマン監督は「エルヴィスはとても日本人に愛されていて、彼の夢は日本に来てパフォーマンスをすることでしたが、それは叶いませんでした。どうして叶わなかったのか、その謎を知りたければ皆さん映画を見てください」とコメントすれば、バトラーも「(来日するという)エルヴィスの夢を叶えることができました。日本がプロモーションの最後の場所になったことを誇らしく思っています」と挨拶したのは2022年の夏。
その作品がアカデミー賞の前哨戦ともいえるゴールデングローブ賞で喜びを得た矢先だったのが悲しくもあり、痛みのアーティストとも呼ばれたエルヴィス・プレスリーらしくもある。

エルヴィスとの別れ

1968年2月1日に誕生したリサ・マリー、4歳の1972年にエルヴィスと母プリシラは別居、1973年に離婚後も頻繁にエルヴィスに会っていたリサ・マリー。9歳のときにエルヴィスと死別。プライベートジェット機に「リサ・マリー」と名付けるほど子煩悩すぎた父親との別れは痛すぎるほど痛かっでしょう。

父親譲りの繊細な神経の持ち主だったと容易に想像できるリサ・マリー・プレスリー。自身は静かな暮らしを望んでいたという。両親の愛の葛藤に戸惑い、厳しい母への反抗、その一方で、正真正銘、華やかで異次元の偉大すぎる父親を持ったリサ・マリーは、マイケル・ジャクソン、ニコラス・ケイジ、などと結婚、メディアに注目されながら、4度の離婚を繰り返した。なんと4度目の挙式は父が生前ライブをやりたいと口にしていた日本、京都でした。愛を信じることができず、誰も一人では立てないところに立ち続けて、誰よりも自身がもっとも恐れた「トロフィーワイフ」と囁かれる屈辱を味わってきた。父の伝記映画が手にしたゴールデングローブ賞の栄誉と共に天国に旅立った。蘇生措置拒否をした早すぎる死であったが、いまごろは天国で父エルヴィスと本物のデュオを楽しみ、屈託なく甘えて一緒に『エルヴィス』を鑑賞していることでしょう。

永遠のマイ・ガール/My Boy:1974

1973年12月13日にメンフィスのスタックススタジオで録音。<マイ・ボーイ>は1974年3月にリリースされたアルバム『グッドタイム』に収録されたが、73年の離婚直後ということもあり、その悲痛なパフォーマンスが世界的に話題になり1975年1月にシングルカットされた。
<マイ・ボーイ>はもともとはシャンソンで、ヒット曲も出していた英国の俳優リチャード・ハリスが歌って自身のアルバムの収録していた曲。エルヴィスはレコーディングする以前の夏からコンサートで取り上げていた。

リチャード・ハリスのバージョンとまったく違う、この悲しみはエルヴィスにしか出せないだろう。

記念すべきデュオ〜誰も一人では立てないところ

エルヴィス・プレスリー のゴスペル曲でも特に感動的な『Where No One Stands Alone』 に娘リサとのデュオが追加され、過去にエルヴィスが録音したゴスペル曲に、新たなオケやコーラスを添えた〈ニュー・アルバム〉としてリリースされました。

溌剌とした演奏をバックに活き活きと躍るエルヴィスの歌声に触れていると、優れた未発表曲を聴いているような気分になります。ダーレン・ラヴやシシー・ヒューストンら縁のある面々の手厚いサポートも素敵なアルバムですが、なかでも時空を超えたリサ・マリー・プレスリーとのデュエットがドラマティックで強烈な感動に胸の震えが止まらなくなったのも、ついこの前のように蘇ります。

母プリシラの手元から離れて、今度は父エルヴィスと仲良く暮らしてください。

エルヴィスの孫娘

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