その気でいこう/Let Your Self Go:1968

エルヴィスがいた。

エルヴィス・プレスリー主演&ノーマン・タウログ監督による8本目の映画『スピードウェイ』のサントラ主題歌<その気でいこう/Let Your Self Go>

ベトナム戦争が過激化し、エルヴィス人気に翳りが生じた時期に発表された「快作」です。

ドラゴンのようにヒットチャートを上昇しなかったものの、<その気でいこう/Let Your Self Go>が好きだという人は多いですね。社会情勢とミスマッチしていたのだと推察します。しかし現代にはぴったりなロックンロールなポップスに仕上がっています。
<その気でいこう>は、サウンドトラックとして最高のひとつです。

自分を出せばいいだけさ(自分を出して)
とにかく君がやることは
自分を出せばいいだけさ

Let yourself go (Let it go)
All you gotta’ do is just, ah
Let yourself go

その気でいこう/Let Your Self Go

<その気でいこう>は、<アメリカ魂>/<ステイ・アウェイ>、<ユール・ネヴァー・ウォーク・アローン>/<ウィ・コール・ヒム>の後を承けて<恋のボサ・ノヴァ>/<おしゃべりはやめて>、<明日への願い>と繋がっていく『TVスペシャル』直前のサントラである。

つまりエルヴィス・プレスリーのキャリアの中でも、もっとも微妙なアイデンティティが渾沌としている時期の作品だ。

1965.6月に<クライング・イン・ザ・チャペル>がチャート3位になった後、<イン・ザ・ゲットー>が69年6月に3位になるまで、ベスト10まで迫った曲は<イージー・クエスチョン><僕は君のもの><僕はあやつり人形><ラヴ・レター>などバラードばかりだ。

ナンシー・シナトラと共演の話題の映画『スピードウェイ』のサントラ主題歌となった<その気でいこう>も1968年7月に最高位71位、B面に収録された<お前にはまだ早い>が72位と不発だった。

が、しかしチャートはチャート。この<その気でいこう>は<スイムで行こう>に匹敵、あるいは超えるするノリノリの快作なのだ。(その間にイケてるロックナンバー<カリフォルニア万才(Spinout)>もあったが)それもそのはずで、この曲はサントラであると同時に、『TVスペシャル』にも使用する目的で作られた作品。つまり近づく映画契約の解放、そして待望の復活に向けて始動していたのだ。

68年6月に『TVスペシャル』バージョンが録音された。
しかし実際には『TVスペシャル』としてはテレビにも、アルバムにも収録されなかった。

エルヴィスが他界後のアルバム『エルヴィス・プレスリーの歴史・第三集』にそのバージョンが収録された。不調な映画の中に埋没した感のある楽曲だが、手拍子から始まるあたりはワクワクする。

ブルージーな迫力で歌うエルヴィスに絡んだハーモニカとバックのコーラスをさらにドラムが盛り上げ楽しめる飽きのこないパワーのある作品に仕上がっている。『TVスペシャル』で歌うシーンが放映されていたら、この曲の評価は変わっていただろう。

<フルーツカラーのお月さま><にくい貴方><サマーワイン><007は二度死ぬ>などのヒットを連発していたナンシー・シナトラを迎えての作品だったが、残念なことに映画『スピードウェイ』の内容は強力コンビを生かせない内容でほとんど記憶にない。

尚、ナンシーは後年『プレイボーイ』誌でヌードになってシナトラ・パパと世間を驚かせた。現在日本でも60年代の斬新なファッションとあわせて、そのコケティシュな魅力が再認識されているどんな飲み物も、料理も、水が悪ければおいしくない。しかし出来上がった飲み物や料理には味があるために、水の良し悪しは分からない。

ゴスペルのエルヴィスが素晴らしいのは、ナマのエルヴィスを聴いているようなものだ。つまり曲の出来栄に左右されずにエルヴィスそのものをストレートに感じることができるからに他ならない。

ゴスペルは水をストレートに飲んでる状態であって、ジュースにすると果物の味によって水が台なしにされるのと同じ状況。この<その気でいこう>にはそんなジュースの味がするのだ。つまりエルヴィスが水ね、果物は100%天然の果汁ではないが、水がいいから結構おいしいのだ。しかし人工の味が邪魔をして、水の良さがなかなか分かりづらく微妙な味加減がすぐにグラッと来ないのだ。

天然のロックンローラー、エルヴィス・プレスリーのイメージにはほど遠いロックナンバーだが、鯛は鯛であることが、キングはキングであることが、認識できる。南部の天然の味がする果汁100%のサン時代の曲、あるいは名盤『フロム・エルヴィス・イン・メンフィス』を果汁90%とするなら、果汁30%のナンバーとして楽しんでいただくと幸いだ。

自分らしく、その気でいこう!

その気でいこう!ベイビー、
今夜、教えてあげる愛とはどんなものなのか
信じて、ハニーなにもかもがうまくいく
僕のまねをして、難しくなんかない
いいかい、誰にでもできるんだ

自分を出せばいいだけさ
ほら、怖がっちゃだめ
楽にして、あせらずに
おちつきなよ、ベイビー
いくあてもないんだから僕をきつく抱きしめて
楽しめばいいんだ、素直になって
自分を出せばいいだけさ

ちょっと練習するだけで自分でふと気がつけば
もう用意はできているだからベイビー、
さあいくよ、Let,s go, Iet,s go, Iet,s go
大きく息を吸い込んで
その赤く暖かな唇を重ねておくれ
言ったとおりにしてごらん
すべてがうまくいくから

そっと優しく口づけて、ゆっくりと
相手は僕だけ、あわてないで
自分を出せばいいだけさ(目分を出して)
自分を出してごらんよ(自分を出して)
自分を出せばいいだけさ(自分を出して)
自分を出してごらんよ(自分を出して)
自分を出せばいいだけさ(自分を出して)
自分を出せばいいだけさ(自分を出して)
とにかく君がやることは
自分を出せばいいだけさ

One&Only,Let Your Self Go

Oh, baby I’m gonna teach you
What love’s ali about tonight
Trust me, honey
Everything’s gonna be all rights
Just do like I do, there ain’t nothin’ to it
Listen to me baby, anybody can do it
All you gotta’ do is just let yourself go

Now don’t be afraid
Just re ax and take it real slow
Cool it, baby You ain’t got no place to go
Just put your arms around me real tight
Enjoy yourself, baby, don’t fight
All you gotta* do is jvst let yourself go

All you need is Just a little rehearsal
And the first thing that you know
You’ll be ready for the grand finale
So come on baby, Iet,s go
Let,s go, Iet,s go, Iet,s go

Take a real deep breath
And put your warm red lips on mine
Just do like I tell you
Everything’s gonna’ be just fine
Kiss me nice and easy, take your time
Cause baby I’m the only one here in line
All you gotta’ do is just let yourself go (Let it go)
Let yourself go right now (Let it go)
Yeah, Iet vourself go (Let it go)
Let vourself go right now (Let it go)
Yeah, Iet yourself go (Let it go)
Let yourself go (Let it go)
All you gotta’ do is just, ah
Let yourself go

もうひとりのエルヴィスが主演するエルビス映画

エルヴィス・プレスリー主演&ノーマン・タウログ監督による8本目の映画『スピードウェイ』のサントラ主題歌<その気でいこう>

エルヴィス人気に翳りが生じた時期に発表された「傑作」<その気でいこう>は、<アメリカ魂>/<ステイ・アウェイ>、<ユール・ネヴァー・ウォーク・アローン>/<ウィ・コール・ヒム>の後を承けて<恋のボサ・ノヴァ>/<おしゃべりはやめて>、<明日への願い>と繋がっていく『TVスペシャル』直前のサントラである。
つまりエルヴィス・プレスリーのキャリアの中でも、もっとも微妙なアイデンティティが渾沌としている時期の作品だ。

1965.6月に<クライング・イン・ザ・チャペル>がチャート3位になった後、<イン・ザ・ゲットー>が69年6月に3位になるまで、ベスト10まで迫った曲は<イージー・クエスチョン><僕は君のもの><僕はあやつり人形><ラヴ・レター>などバラードばかりだ。ナンシー・シナトラと共演の話題の映画『スピードウェイ』のサントラ主題歌となった<その気でいこう>も1968年7月に最高位71位、B面に収録された<お前にはまだ早い>が72位と不発だった。
が、しかしチャートはチャート。この<その気でいこう>は<スイムで行こう>に匹敵するノリノリの快作なのだ。(その間にイケてるロックナンバー<カリフォルニア万才(Spinout)>もあったが)

それもそのはずで、この曲はサントラであると同時に、『TVスペシャル』にも使用する目的で作られた作品。68年6月に『TVスペシャル』バージョンが録音された。
しかし実際には『TVスペシャル』としてはテレビにも、アルバムにも収録されなかった。
他界後のアルバム『エルヴィス・プレスリーの歴史・第三集』にそのバージョンが収録された。

不調な映画の中に埋没した感のある楽曲だが、手拍子から始まるあたりはワクワクする。
ブルージーな迫力で歌うエルヴィスに絡んだハーモニカとバックのコーラスをさらにドラムが盛り上げ楽しめる飽きのこないパワーのある作品に仕上がっている。
『TVスペシャル』で歌うシーンが放映されていたら、この曲の評価は変わっていただろう。

<フルーツカラーのお月さま><にくい貴方><サマーワイン><007は二度死ぬ>などのヒットを連発していたナンシー・シナトラを迎えての作品だったが、残念なことに映画『スピードウェイ』の内容は強力コンビを生かせない内容でほとんど記憶にない。

尚、ナンシーは後年『プレイボーイ』誌でヌードになってシナトラ・パパと世間を驚かせた。
現在日本でも60年代の斬新なファッションとあわせて、そのコケティシュな魅力が再認識されている

どんな飲み物も、料理も、水が悪ければおいしくない。
しかし出来上がった飲み物や料理には味があるために、水の良し悪しは分からない。
ゴスペルのエルヴィスが素晴らしいのは、ナマのエルヴィスを聴いているようなものだ。
つまり曲の出来栄に左右されずにエルヴィスそのものをストレートに感じることができるからに他ならない。ゴスペルは水をストレートに飲んでる状態であって、ジュースにすると果物の味によって水が台なしにされるのと同じ状況。

この<その気でいこう>にはそんなジュースの味がするのだ。
つまりエルヴィスが水ね、果物は100%天然の果汁ではないが、水がいいから結構おいしいのだ。
しかし人工の味が邪魔をして、水の良さがなかなか分かりづらく微妙な味加減がすぐにグラッと来ないのだ。
天然のロックンローラー、エルヴィス・プレスリーのイメージにはほど遠いロックナンバーだが、鯛は鯛であることが、キングはキングであることが、認識できる。

南部の天然の味がする果汁100%のサン時代の曲、あるいは名盤『フローム・エルヴィス・イン・メンフィス』を果汁90%とするなら、果汁30%のナンバーとして楽しんでいただくと幸いだ。
その気でいこう!

「これは結局のところ、もうひとりのエルヴィス・プレスリーの映画であり、私たちの時代で最も才能があり、重要で、優れたパフォーマーの 1 人をまったく活用していません。音楽、若者、習慣は、12 年前のエルヴィス プレスリーによって大きく変化しました。<ハートブレイク・ホテル>を歌って以来、彼が出演した 26 本の映画からは想像もつかないでしょう。」— アラン・ハンソン | 

エルヴィスの偉業は映画『スピードウェイ』の12年前に、アメリカ合衆国内50の州を横断する形でティーンエージャーの国を想像し開拓したことだ。狂喜する若者を目にして合衆国は怖れた。
突然やってきた<侵略者>を徴兵という制度を利用して、軍隊に追放した。以来、マネジャー、トム・パーカーを支配し、エルヴィスをコントロールさせた。

その気でいこう/Let Your Self Go>は、<アメリカ魂><ステイ・アウェイ>、<ユール・ネヴァー・ウォーク・アローン>の後を承けて<おしゃべりはやめて>、<明日への願い>と繋がる『TVスペシャル』直前のサントラだ。歌詞にあるタイトルである”自分を出せばいいだけさ(自分を出して)”は自身への、そしてすべての若者への呼びかけのようだ。ハリウッドに浪費され続けたエルヴィスが戻って来た!

エルヴィス、ありがとうございます。

映画『スピードウェイ』にナンシー・シナトラが出演した意味は大きい。当時のナンシー・シナトラは<憎いあなた>が大ヒットした後の登板だが、12年前にエルヴィスがクリーンアップしたアメリカン・ポップスの再来だった。コニー・フランシス、ニール・セダカ、ポール・アンカ、ビーチ・ボーイズらがロカビリー→ロックンロールの流れを止めたアメリカン・ポップスの戦士の有能なひとりだ。つまりエルヴィスにとってはライバルだった。

シナトラの娘でありヒット曲を連発するナンシー・シナトラを迎えて、興行成績は悪くなかったものの、エルヴィスの相手役には荷が重く、M-G-Mの思惑だった『ラスベガス万才』の再来とはいかなかったようです。歌でこそナンシーはアン・マーグレットを凌駕しますが、ダンスやセクシーさでは見劣りするし、ストーリーもストックカーレースの迫力には及ばず、全てエルヴィスにおんぶに抱っこのありさまです。

つまりエルヴィス・プレスリーの影武者が主演するB級映画の面白さを発揮できなかった脚本をノーマン・タウログの手腕でも補いきれず、最終的には、いま、そこにはいない、映画の看板であるキング・オブ・ロックンロール、エルヴィス・プレスリーひとりで支えるという傑作です。
本当にエルヴィスは小さい頃から孤独でした。ひとりで歩き続けた偉業に、ありがとうを。

自分を出せばいいだけさ(自分を出して)
とにかく君がやることは
自分を出せばいいだけさ

Let yourself go (Let it go)
All you gotta’ do is just, ah
Let yourself go

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