テディ・ベア / (Let Me Be Your)Teddy Bear:1957

特選ソングス

夏の暑い日に、自衛隊の食堂で食事していたら、ラジオからエルヴィス・プレスリー ゴールドレコード第一集が聴こえてきました。ラジオだったか別の装置だったのか、判明しませんが、アルバムの順番に曲が聴こえてきたので、ラジオでなかったのか知れません。限られた時間内に食べないといけないので、無心で食べていました。自衛隊での合宿という厳しいルールの中で、ただすごく気持ちがよかったことを記憶しています。そしてエルヴィス・プレスリーの虜になりました。

時代はエルヴィスの時代ではなかったけれど、虜になることに、関係ないですね。

テディ・ベア /(Let Me Be Your)Teddy Bear

ベイビー、君のテディ・ベアになりたいな
僕の首を鎖でつないで、どこへでも連れてって
君のテディ・ベアにしておくれ
トラのぬいぐるみにはなりたくない、
だって乱暴者だからライオンもいやだな
だって司愛がってもらえないだろ
テデイ・ベアでいいんだ
僕の首を鎖でつないで、どこへでも連れてって
君のテディ・ベアにしておくれ

ベイビー、毎晩君の側にいたんだ
僕の髭をなで、ギュッと抱きしめてよ
君のテディ・ベアになりたいな
トラのぬいぐるみにはなりたくない
だって乱暴者だから
ライオンもいやだな
だって可憂がってもらえないだろ
テディ・ベアでもいいんだ
僕の首を鎖でつないで、どこへでも連れてって
君のテディ・ベアにしておくれ
君のテディ・ベアにしておくれ
君のテディ・ベアになりたいのさ

翻訳:川越由佳氏

アホですね。この男は。ほんとに。
これがもし、あなたの友達だったら、どうしますか?
エーッ!そんなこと言ったのオ!って蒼ざめながら、聞いてるこちらが震えませんか?
自分なら恥ずかしくなって、怖くなりますね。と、言いながら同じようなこと言うかも?!

まあ。それはさておき、ところがですね。この男。
イントロが始まるや、すぐ後を追って歌声が、飛び出すかのように
♪ Baby, Let me be your Lovin’ Teddy Bear ♪
ベイビー、君のテディ・ベアになりたいなと、いきなりですね。

その甘ったれた言葉とは裏腹に、声が哭いているではありませんか!
これがなんとも驚きではありませんか!
痛々しい程の孤独感爆裂!ですよ。大ヒットしますよね。

エルヴィスって分らないですよね。「マイ・ボーイ」なんかすごく分りやすいけど、ほとんどが分らないですよね。明るい曲では悲しくて、悲しい曲では明るくて、R&Bでは白人みたいで、カントリーでは黒人みたいに、裏返っているんですよね。

「テディ・ベア」は、甘えた内容を、切ない声で、明るいテンポで歌います。女の子が胸キュンになってしまうのは当然かも。母性本能がターンテーブルの上で、ぐるぐる回される感じかも。
対訳ってすごくいいですよね。これ歌詞が分らないと聴こえ方が全然違ってしまうでしょう。
と、いうかよく分らない中途半端な曲に聴こえてしまうリスクがあります。
歌詞が分ってると、ますます分らないってことにもなるけど、エルヴィスの本質が聴こえてきます。

「テディ・ベア」からは、正直な自分を表現する幸福が聴こえてきます。
まだ 人生の初期、でも人はほとんど誰もが傷ついています。当たり前のように傷ついています。
それでも、自分の無邪気をさらけだして、人生という怪物を引き寄せようとする態度に、本来の自分が人知れず格闘する様子が伺い知れます。自分で知り、大事な人に知ってもらえます。知ることで共感が起ります。
「テディ・ベア」は、アホな歌だけど、エルヴィスの声を通すことで、戦いの歌に変わります。

これがロックンロールだ!
ヒリヒリするような痛みをこらえて格闘する声が聴こえてきます。

エルヴィスにテディ・ベアを贈ってあげた女の子の気持ちが切ないですよね。
切なさが飽きさせない。ハッキリ言って、良い曲で素敵であることは間違いないけど、大瀧詠一も言ってるように、なぜかビートルズは飽きてしまう。ブルース・スプリングスティーンは、『ハングリーハート』は絶品だと思うけど、リアルに英語が解らないと響かない。ハートとソウルの違いかな?エルヴィスにはソウルがある。切ないんだよ。どれを聴いてもね。

鎖を首に巻きつけて離さないでくれと、懇願するアホな男の決して自慢にもならないソウルかもしれないけれどね。

Baby, Let me be your Lovin’ Teddy Bear
Put a ohain around my neok and lead me anywhere
Oh let me be your Teddy Bear
I don’t want to be your tiger ‘cause tigers piay too rough
l don’t want to be your lion

*cause Lions ain’t the kind you love enough
l just wanna be your Teddy Bear
Put a chain around my neok and IBad me anywhere
Oh, Iet me be your Teddy Bear

Baby, Iet me be around you ev’ry night
Run your fingers through my hair and ouddle me real tight
Oh let me be your Teddy Bear
I don’t want to be your tiger ‘cause tighers play too rough
l don’t want to be your lion ‘cause
Lions ain’t th8 kind you love enough
Just wanna be your Teddy Bear
Put a ohain around my neok and lead me anywhere
Oh, Iet me be yaur Teddy Bear
Oh, Iet me be (your Teddy Bear)
l Just wanna be your Teddy Bear

* Repeat

 

君のテディ・ベアになって、一緒にクリームソーダを飲みたいな。
エルヴィスの歌うテディ・ベアを聴きながら、クリームソーダの春を満喫したいですね。

 

エルヴィス・プレスリー

エルヴィス・プレスリー

桜が咲いたら、松川あたりの川縁で、首の鎖を巻きつけて桜の枝にぶら下がってやろうかな。
大丈夫、枝が折れて、川を走る船に乗って、神通川に流れていくのさ。Loving You.

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