ロカ・フラ・ベイビー/Rock-a-hula Baby:1961

ロカ・フラ・ベイビー エルヴィスがいた。

<ロカビリー剣法>という傑作がありました。昭和33年にリリースされた美空ひばりのシングル盤なので、1958年エルヴィスが入隊した年の作品です。ひばり主演の映画『花笠若衆』の挿入曲だった。一種のコミックソングのようだが、映画の進行上、そうでもない。これは歌謡曲というよりポップス、天下の美空ひばりが堂々とやっていた、おおらかな時代だった。

エルヴィスの<ロカ・フラ・ベイビー>は、<ロカビリー剣法>に匹敵する。日本だけがA面にしたけど、アメリカもイギリスも<好きにならずにいられない>をA面にして、<ロカ・フラ・ベイビー>はB面でした、それでも鯛は鯛、ナンバーワン・ヒットを記録しています。

ロカビリー剣法

ロカ・フラ・ベイビー/Rock-a-hula Baby

Rock-a-hula、Rock-a-hula、Rock・a-hula、
Rock-a-hula、Rock-a-hula、Rock・a-hula、
rock、
rock-a-hula rock、rock-a-hula rock、
rock-a-hula rock、rock-a-hula,rock、rock-a-hula rock!

ヒップからずっと指先まで
腰をふるあの娘を見ていると
まるで天国にいるような気分
ゆっくりと揺れるようなあの動き
はっきり言わせてもらうけど
何とも言えずたまらない

*Rock-a-hula baby、rock-a-hula baby
恋人はホノルルのフラダンス娘
僕のかわいいロ力・フラ・ベイビー
Rock-a-hula、Rock-a-hula、
rock、rock-a-hula rock!

愛しのロカフラ娘にどうしてもキスしたいのに
いつもチャンスを逃しちゃう
力いっぱい抱きしめたいんだ
夜通しずっとでも
彼女ときたらダンスに夢中

*2回くり返し

ロックしてやるさ
僕のかわいいロ力・フラ・ペイビー

エルヴィス・プレスリーの<ロカ・フラ・ベイビー>

(エルヴィス・プレスリー主演映画「ブルー・ハワイ』最初のポスター)

<ロ力・フラ・ペイビー>はエルヴィス・プレスリー主演映画「ブルー・ハワイ』サントラ盤に収録された。

20週連続チャートナンバーワンを記録したサントラ盤

ブルーハワイ

1961年11月22日全米ロードショーに先駆けて、10月にアルバム・リリース。映画もアルバムも大ヒットを記録。アルバムは20週連続1位を記録した。
その記録は1977年まで更新されることはなかった。更新したのはフリートウッド・マックの「噂」だった。

アルバムはボロボロになり、レコード盤は擦り切れた。そういう方が多かったと思います。
それほど心地良い『ブルー・ハワイ』でした。

歴史を正しく語らないのが「カッコいい」ことか?

ロカ・フラ・ベイビー

アメリカもでは、<ロ力・フラ・ペイビー>は<好きにならずにいられない>のB面としてシングル・リリースされた。B面ながら、イギリスでは、ヒットチャート ナンバーワンを記録した。

日本ではA面が <ロ力・フラ・ペイビー>だった。世界的に両A面というのが正しい。
<ロ力・フラ・ペイビー>は、エルヴィスらしい無邪気さが気持ちいい。

その上、ハワイアン・サウンドと見事なまでに融合して、おたまじゃくしを追いこすようにダッシュするエルヴィス。

またたく間に、おたまじゃくしがエルヴィスを追いかける。
上手に歌うというより、懸命に歌う。荒削りな部分もあるが、さすがに巧い。
おたまじゃくしの腰ふりでは、ハワイの波と風に乗り切ったエルヴィスのビブラートに追いつけない。

ベンチャーズとビートルズ、どちらが人気があったかと言えば断然、草の根でベンチャーズだった。
でも、そう言ってしまうと世界とズレているよね、<太陽の彼方>のアストロノウツもそうだった。歴史を修正したがる評論家やジャナリストがたくさんいるが、本当に音楽していた人はみんな知っています。

♪ はっきり言わせてもらうけど
    何とも言えずたまらない ♪

この歌詞はそっくりそのまま、キングに返したい。

でも、ところどこに切ない声がのぞく。そこにこの人の姿が見える。

どこまでもジャマするもののない青く大きな空は、それゆえに寂寞とした印象を受けるのと同じようだ。白い雲のようだ。

夏の音と共に、遠い日の自分史。その夏を思い起こさせる。

駅ビルの階上にあったレコードショップの廃盤コーナー。学生服にエルヴィスのジャケットはやけに自由で、大人で、活発に見えた。なにもかもが未知の雰囲気だった。

いまもかすかにあの頃の空気を運んでくるのは<ロ力・フラ・ペイビー>よりも、<月影のなぎさ>や<私の恋人>だったりする。

大人の声がしたからだ。

逆にその分<ロ力・フラ・ペイビー>は親友のような悪ガキの響きで、つきあってくれる。
人それぞれに心に響く歌がある。
一生聴き続けることが出来る歌に出会うことは、それだけでも素晴らしいことだと思う。

Rock-a-hula baby, rock-a-hula baby
Got a hulalu from
Honolulu that rock-a-hula baby of mine

クロージンではブルース調に変調して、地震のようなビブラートで決める。
エルヴィスの得意技だ。

飽きない。飽きないから、聴いていたら死にたくないと思う。
やっぱりエルヴィスも、<ロ力・フラ・ペイビー>も、励ましの歌なんだ。
一生聴き続けることが出来る歌とは、励ましの歌なんだ。

 ♪ But an she wants to do is dance ♪

なんて素晴らしいことなんだ、腰をふり続けよう!


豪華盤世界映画音楽大全集

Rock-a-hula, rock, rock-a-hula
Pock-a-hula, rock, rock-a-hula
Rock-a-hula, rock, rock-a-hula
Rock-a-hula, rock, rock-a-hula
Rock-a-hula, rock, rock-a-hula
Rock-a-hula, rock!

The way she moves her hips
Up to her finger tips l feel l’m heaven bound
And when she starts to sway rve got to say
She really moves the grass around
Rock-a-hula baby, rock-a-hula baby
Got a hulalu from

Honolulu that rock-a-hula baby of mine
Rock-a-hula, rock, rock-a-hula
Rock-ahula, rockl

Although I Iove to kiss
My little hula miss l never get the chance I want to hold her tight
A, through the night
But an she wants to do is dance

*Repeat 2 times

Oh. I gotta rock That hula baby of mine

26才のエルヴィスが躍動するハワイアンとロックの融合。
その圧倒的なパフォーマンスに唸るしかない。
どうしてこんなに歌えるのか?永遠の謎だ。

エルヴィスとは何者だったのか

エルヴィスとは何者だったのか

エルヴィス・プレスリーは、神にされたり王様にされたりしたが、どちらでもなかった。
エルヴィス・プレスリーとは、アメリカ文化の開拓者であり、世界を魅きつけた貢献者だった。中国が長い歴史を携えた国なのに、文化的に魅きつけないのは、その文化の違いにある。

1958年エルヴィスが入隊した年に、日本では美空ひばりの<ロカビリー剣法>という歌謡曲の枠組みを超えたポップスがリリースされました。ひばり主演映画『花笠若衆』の挿入歌でした。<真っ赤な太陽>と共にひばりならではの偉業です。このような日本独自の進み方の先にあるのが、橋幸夫の<チェッ!チェッ!チェッ!><スイム・スイム・スイム>などの青春歌謡です。彼らがこういう日本歌謡曲裏の王道戦略に打って出られのも、実力に裏付けされたホームグラウンドがあるからです。

一方エルヴィスも自分をパロディ化してしまうという離れ業をやってのけます。
3年後映画『ブルーハワイ』の挿入歌、ロックとフラダンスを融合させた<ロカ・フラ・ベイビー>をB面でリリース、ナンバーワンヒットさせます。

A面は生涯歌い続けたバラード<好きにならずにいられない>でした。日本だけがAB面逆になっていました。あとになって<好きにならずにいられない>の価値が理解できたのか、あるいはロックがなんなのか理解したのか、世界標準の扱いになりました。

どうでも良さそうですが、重要なことだと思います。因みにエルヴィスの代表曲は<ハウンドドッグ>で、<ハートブレイク・ホテル>ではありません。
エルヴィスを理解する上で、とても重要なことです。結果的に命を縮める原因になりましたが、自由な国の文化の礎になり、イメージ作りに貢献したのですから。

<縁起>つまり<縁>と<起>は、イコールではありません。同じ<縁>であっても結果は同じになりません。<縁>からはじまる<起>が違うからです。

映画『エルヴィス』で解るように、黒人ブルースの系譜にある<ハウンドドッグ>のヒットは、人種差別の壁を破壊したことで、当時の米国政府や保守派との深刻な対立をもたらし、エルヴィス・パッシングが起こり、エルヴィスを窮地に追い込みますが、エルヴィスは屈せず自らの信念を押し通します。そして軍隊か、監獄かという選択を迫られます。選択の余地を与えられたのは、すでにキング・オブ・ロックンロールの称号を背負ったエルヴィスが飛び抜けて巨大であり、容易に手出しできない存在だったからです。

エルヴィスは復帰後、時流に合わせて、軽快なアメリカンポップスに手を出します。さらに見せる装置として長期契約した映画出演がエルヴィスの評価を落とすことになります。どちらも大成功していました。映画『エルヴィス・オン・ステージ』は大ヒットして。これが本当のエルヴィスだ!と賞賛の声が高まりました。

つまり、ひとことでいうなら、アメリカの保守派の勢力と密入国であったために保身に走るしか選択肢がなかったトム・パーカー大佐に、エルヴィスは命を絶たれたのです。いまも人種差別の問題は解決していませんが、特に50年代〜60年代、エルヴィスのホームグラウンドは修羅場でした。そこにひとり立ち続けることが、どれほどのことなのか。

しかし、アメリカはエルヴィス・プレスリーの貢献に目を向けるべきでした。
陽気でタフで自由な国アメリカのイメージは、いまもビジネスのみならず政治的にもプラスに働いていて、かっての宣教師の役割を果たしているのです。映画『ブルー・ハワイ』も『ロカ・フラ・ベイビー』も間違いなく、ハワイに誘い、アメリカに憧れた人々を大量に生み出し、生み出し続けているのです。

エルヴィス・プレスリーの<ブルー・ハワイ>

■ ブルー・ハワイ

1.ブルー・ハワイ
2.オールモスト・オールウェイズ・トルー
3.アロハ・オエ
4.ノー・モア
5.好きにならずにいられない
6.ロカ・フラ・ベイビー
7.月影のなぎさ
8.私の恋人
9.イトー・イーツ
10.スライシン・サンド
11.ハワイアン・サンセット
12.ビーチ・ボーイ・ブルーズ
13.愛の島
14.ハワイアン・ウェディング・ソング
15.ステッピン・アウト・オブ・ライン
16.好きにならずにいられない(ムーヴィー・ヴァージョン)
17.スライシン・サンド(オルタネイト・テイク4)
18.ノー・モア(同7)
19.ロカ・フラ・ベイビー(同1)
20.ビーチ・ボーイ・ブルース(ムーヴィー・ヴァージョン)
21.ステッピン・アウト・オブ・ライン(同)
22.ブルー・ハワイ(オルタネイト・テイク3)

エルヴィスは生き方,2歳から学ぶ200年ライフのあそび方

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