ヘイ!リトルガール/Hey Little Girl :1965 

特選ソングス

ヘイ!リトルガール/Hey Little Girl :1965 

エルヴィス・プレスリー19本目の映画は『ハレム万才』という万才でない映画。原題は『向こう見ずな人』でずいぶん誤解している人も多いのではないでしょうか。

暗殺団に誘拐されたエルヴィスが活躍する「ハレム万才」ビートルズの『ヘルプ(四人はアイドル)』と正月映画として公開された。映画の出来は「ヘルプ」の方がアート性でリード!

エルヴィスは映画俳優タイロン、映画のプレミアに中東の国を訪問する。映画に感動したある国王はエルヴィスを招待するが宮殿に向う途中誘拐される。国王兄弟の確執があり、陰謀が隠されていたのだ。暗殺のターゲットである要人とはもう一人の国王だったが、そんなことを知らない旅の途中でタイロンは王の娘に惹かれるエルヴィスの歌う告白ソング<キスメット>が美しい。

広場で踊る三名の奴隷女が泥棒稼業で稼ぐ目的で踊る。エルヴィスは<叩けタンブリン>で助っ人する!さらに警官に追われるエルヴィスを孤児の少女が助ける。三名の奴隷女はスターであるエルヴィス扮するタイロンに「私たち」を買い取ってと懇願する。孤児の少女は人気の奴隷女になりたいと告げる。エルヴィスは心の底まで奴隷になるなと忠告する。しかし誘拐した暗殺団の王女は要人暗殺を引け受けないとこの子らは全員殺されると脅しをかけてくる。

人身売買が罷り通っている中東の国を舞台に単身、向こう見ずな行動をするしかないエルヴィスの運命は!

この脳天気が『ハレム万才』の強みです!

ところがこの映画には問題があると指摘されています。

小児性愛障害(ペドフィリア)です。<ヘイ!リトルガール>の歌詞が問題になっています。平然と家に連れて帰りたいと歌っているが、そんなこと許されるのかという声があがっているのです。

エルヴィスの名誉のために言っておくと、エルヴィス扮するタイロンが愛しているのは、メアリー・アン・モーブリー扮するシャリマ姫で<遥かなるパラダイス><恋の面影><まぼろしの君>に想いは歌われています。その気持ちを奴隷たち知っていて励まします。もしタイロンが救わなければ奴隷にされた彼女たちはどうなってしまうのでしょう。孤児たちが人気のある奴隷になりたいと言った時、人間としての矜持を守って生きることを考えるんだとアドバイスしています。そのためにタイロンはスリの手伝いをしたのです。愛する姫と孤児たちを単身、救おうを向こう見ずな男は命がけの戦いをするしかないのです!

Harum Scarum

本作は『ハレム万才(邦題)』のタイトルで公開されたが、アルバム名やタイトルでアメリカとヨーロッパで違いがあったり、複数のタイトルが存在する。国内で販売されたDVDは 『ハレム万才(邦題)』で原題は『Harum Scarum』である。サントラアルバムには11曲収録されているが、映画に使用されたのは太字の9曲のみで,2曲はボーナスソングとしてアルバムに収録された。

1.Harem Holiday /ハレム万才
2. My Desert Serenade /砂漠のセレナーデ
3. Go East – Young Man/若者よ、東へ行こう
4. Mirage /まぼろしの君
5. Kismet /キスメット
6. Shake That Tambourine /叩けタンブリン
7. Hey Little Girl /ヘイ・リトル・ガール
8. Golden Coins /恋の面影
9. So Close, Yet So Far (From Paradise) /遥かなるパラダイス
10. Animal Instinct /恋の野獣
11. Wisdom Of The Ages /チャンスを逃がすな

エルヴィスとは何者だったのか。

この世界には「意味のある偶然」しかないのです。シンクロニシティの本質は誰かが誰かの魂に触れようとしていることです。エルヴィスがプリシラと出会ったのは24歳、プリシラ14歳。プリシラによると二人の間に性的な接触はなく、プラトニックなものでした。考察するとエルヴィスには母を亡くした傷心から逃げ場が必要だったのです。夢中になる相手が必要でした。向こう見ずな命がけの生き方を選択したのです。グラディスの代役は限界があり二人の関係には無理がありました。やがてプリシラが成人するのを待って結婚しましたが、プリシラはエルヴィスの一方的に奉仕する愛だけを求めていませんでした。

プリシラ

プリシラには独立心があり、積極的に生きたい願望がありました。グラディスは、エルヴィスにとってリトルガールでした。エルヴィスにはずっと気がかりな存在で生涯を母グラディスに捧げました。のちにマネジャーのトム・パーカーとトラブルになってときも契約を切らずに我慢したのはグラディスのために購入した邸宅グレイスランドを手放すことをしたくなかったからです。グレイスランドは愛の証しであり、代替不可能な思い出の空間だったのです。エルヴィスの人生は母親の死と共に終わっていたのです。

エルヴィスのお母さんのグラディスは1958年8月14日に46歳で亡くなってます。
エルヴィスは失意のまま、1958年9月22日ドイツに船出をします。関係を正確に伝えるなら子供が母親を亡くしたのではなく、親が娘を亡くしたのです。伝説のピンクのキャデラックは娘にプレゼントしたようなものです。

ドイツに駐屯したエルヴィスはプリシラと出会います。結局、プリシラとの出会いは「業」そのものでした。アーネスト・ヘミングウェイの息子はヘミングウェイの業によって自己破壊の末、自死しました。

「業」は実際には存在しませんが、影響を受けてしまう仕組みから逃げることができない人が多いのです。プリシラは葛藤し、離婚することでエルヴィスの世界から逃げ出します。しかし、未だにエルヴィスの側に生きています。つまり距離を保ちながら愛し続けているのです。愛するには、その道しかなかったのです。

ジョン・レノンは「エルヴィスは軍隊に殺された」と言い残していますが、「グラディスは軍隊に殺された」という方が正しいような気がします。それにしてもエルヴィスもリサ・マリーもグラディスと似たような年令で同じような病気で同じような季節に亡くなっています。

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