思い出の指輪/Wear My Ring Around Your Neck:1958

思い出の指輪 エルヴィスがいた。

<思い出の指輪>は、1958年4月7日、ゴールドデイスクを集めた初のベスト盤である「エルヴィスのゴールデンレコード第一集」リリースの1週間前1958年4月1日にリリースされた春の大ヒットナンバー。エルヴィス得意の軽快なミディアムテンポのロックンロール・ナンバーもリリース前に予約だけでミリオン・セラーとなった。

エルヴイスが入隊 (3 月 24日)した後 だったが、エルヴィス熱はこの大ヒットでもわかるようにどんどん大きくなっていった。 R&Bチャートで 1位、カントリー・チャート で 3伎になっている。ブルース・スプリングスティーンがコンサー トのレパートリーに加えたことはあまりにも有名で、映画 『Honey MoonInVegasJ ではリッキー・ヴァン・シェルトンか歌っている。

58年 2 月 1 日のレコーデイング・パーソネルは、ギター/エルヴイス、スコッティ・ムーア、リスム・ギター/タイニー・デイムブレル、ベース/ビル・ブラ ック、 ピアノ/タトリー・ブルックス、 ドラムス/D.J. フォンタナ、コーラス/ザ・ジョーダネアーズ。

エルヴィス・プレスリーとは、何者だったのか。

劇場のことを箱といいますが、エルヴィス・プレスリーはレコードや映画という箱に自分を投げ込み、劇場やステージという箱に立って表現しました。ウェブサイトはもちろん、地球だって町だって部屋だって、身体だって箱です。自分が暮らす町は自分を表現する箱です。
諸行無常という言葉が語るように、人は誰でも「箱」を持っていると思います。エルヴィス・プレスリーは生涯において、「エルヴィス」、「エルヴィス的なもの」、さらに「降臨したエルヴィス的なもの」3つの箱があり、それらは「エルヴィス・アーロン・プレスリー」という箱の中にありました。さらに付け加えるなら日本人向けに「プレスリー」という箱があり、4つの箱のいずれかの箱に触れたヒトはいつしか「通称、エルヴィス・プレスリー(エルヴィス・アーロン・プレスリー)」という箱の愛着を持ちました。

エルヴィス・プレスリーの『ガール!ガール!ガール!』

エルヴィス的なものがかっこいい映画『ガール!ガール!ガール!』のパンフレットにあった『うれしいとき、かなしいとき、さびしいとき、いつでも、エルヴィス・プレスリーが貴方のそばにいる。』という言葉通り、いつもいた。そしていないと感じた時には、こちら側からグレイスランドにおしかけた。そしていることを確かめたものだ。「よく来たね、兄弟」と言ってくれたし、クルマに轢かれそうになったときは助けてくれた。

エルヴィス・プレスリー、ボクには何かをしたくなる衝動そのものです。
身体が動き心が揺すられ、身体の芯から衝動が突き上げてくる。ボクの無意識から「動け!」と声がする。その声を出させるのが、エルヴィスです。エルヴィスはエネルギーだった。

思い出の指輪/Wear My Ring Around Your Neck

Won’t you wear mv ring around your neck
To tell the world l’m yours bv heck
Let them see your love for me
And let them see bv my ring around your neck

*Won’t you wear my ring around vour neck
To tell the world l’m vours bv heck
Let them know I Iove you so
And let them know bv mv ring around vour neck

** Well they say that going steadv is not the proper thing
Thev say that we’re too voung to know the meaning of a ring
l onlv know that I Iove you and that you love me too
Oh darling this is what I ask of you

Won’t you wear my ring around your neck
To tell the world I’m yours bv heck
Let them see your love for me
And let them see by mv ring around vour neck

Repeat with adlib *

Repeat **

And let them know by my ring around your neck
And let them know by my ring around your neck

エルヴィス・プレスリー エルヴィス・プレスリー
エルヴィス・プレスリー エルヴィス・プレスリー
キング・オブ・ロックンロール/エルヴィス・プレスリー 入隊したエルヴィス・プレスリー

 

伸びのあるいききした色気のある唯一無二の声がローラーコスターのように脳を駆け巡るとき、アメリカ人になりたいと思い、アメリカ人の恋人をゲットした。次にアメリカにいながら遊んで暮らす方法を考えた。マジメな話です。

思ひ出の指環

ワンナイト/エルヴィス・プレスリー

8年ぶりに会った彼女の自宅の部屋には数枚の自分、ハリウッド女優になった姉と祖母の写真そして卒業証書などが飾られている。彼女の歴史を語るもの以外、部屋には余計な飾りも道具もない。色あせた緑のクリスマスのリースを除いて。

彼はその部屋に寝起きしながら、思わず記憶の淵に立つまで、色あせたリースが彼女のナニを語るものか、気にも留めなかったし分からなかった。
それは彼が8年前の12月、遥か異境の地。彼女のアパートのドアに飾ったものだった。
<Stuck On You>彼は何年も彼女の歴史そのものだったのだ。

不要なモノを捨てれば捨てるほど、人生は一度でなく、人は弱くても、幸福になれる。彼の頭のなかでは<思い出の指輪>が激しくガンガン響いていた。

ビートのハーモニー、ツボにはまったように腑に落ちて、既成の価値観を木っ端微塵に粉砕、花火のように激しく動き回って輝く歌。
<思い出の指輪>ではなく、<思ひ出の指輪>にはさすがに手に負えないけれど、Wear My Ring Around Your Neckが正式名だから気にせずにいこう。Wear My Ring Around Your Neckそれはどう聴いても人間の声がする人間のための人間のロックンロール。最後のOH!Year!が昭和を飛び超えて、おいら分かったぜと言ってるように聴こえる。

僕の指輪をネックレスにしてつけてくれ
侯が君のものだと世界中の人がわかるように
君の愛を見せてやれ
ネックレスにしたその指輪で見せてやれ

*僕の指輪をネックレスにしてつけてくれ
僕が君のものだと世界中の人がわかるように
僕の愛を見せてやれ
ネックレスにしたその指輪で見せてやれ

**みんなは言う、恋人同士になるのはよくないと
若すぎて指輪の意味などわからないと
わかっているのは僕は君を、君は僕を愛してるって事
ダーリン、願いはただ一つだ

僕の指輪をネックレスにしてつけてくれ
僕が君のものだと世界中の人がわかるように
僕の愛を見せてやれ
ネックレスにしたその指輪で見せてやれ

アドリブでくり返し**

くり返し*

ネックレスにしたその指輪で見せてやれ
ネックレスにしたその指輪で見せてやれ

ロックンロールとパンク

エルヴィス・ゴールデンレコード

パンクとは愛ピの定義ですと「ネオ・ロカビリー」「ロックンロールの奪還」であり、「ロックンロール」そのものでした。サンレコードの創造したもの。それはロカビリー、ロックンロールと呼ばれましたが「パンク」の元祖、オリジナルでした。

サンレコードのオーナー、サム・フィリップスは営利を目的にはしていたけれど、それだけではない想いがあったように思います。彼のサウンドとその向こうにあるはずの人間への強い関心が「白人によるR&Bなレコード作り」つまり誰もやったことのないことをやってみたいと動かしたのだと思います。その想いがエルヴィスやジェリー・リー・ルイスなどを呼び寄せた磁場の源でしょう。

エルヴィスが誰からどのような批判を浴びてもまい進したように、ピストルズが血まみれになっても突進したように、なにからもひも付きでなく、衝動のままに進まないと意味がない。もちろんいまでも、ひもも鈴もついていないので、たまにひもの二、三本くらいが恋しくなったりしますが、自由な身の特典で新しい何かを始めたい。

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ロックンロール・ミシン

ボクの初心ってなんやったんやろ?
『クローズ・アップ』を聴き、次いで<ミルクカウ・ブルース・ブギ><ミステリー・トレイン><今夜は快調><座って泣きたい><マネー・ハニー><ベビー・レッツ・プレイ・ハウス>など怒濤のエルヴィス・プレスリーが残したロックンロールを聴き、大好きな『ゴールデンレコード第2集』を聴きました。やっぱりエルヴィスはロックンロールやん、昭和の大昔からパンクしとるがな。このヴォーカルのすごさを誰が越えたんや。いまだに誰も越えとらんがな。いまどきロックは核とダムを使ったギターやけれど、エルヴィスは生身の肉声で勝負しとるがな。原爆と戦えるヴォーカルやで。
これやがな初心は。

ロックンロール・ミシン

数年前に買ったまま本棚に眠っていた小説『ロックンロール・ミシン』(鈴木清剛:著 河出書房新社:刊)を最近読みました。素敵なタイトルでしょう。タイトルで買った本です。何も持たない若者たちが着ている人間の心からビーム光線を放射するような服を作りたい衝動で表現に向かっていくお話。

来月までに五十着縫わなければならないと言っていたが、ラックにはまだ一枚の服もかかっていない。部屋にはCDラジカセのしぼった音と、ミシンの機械音だけが途切れることなく続いている。見たところ彼等は同じ機種のミシンを使っているのだが、ひとりひとり出す音は違う。椿はジャー、ジャー、ジャーで、カツオはカタカタカタ、カタカタカタというリズム。俊一はカタッカタッカタツカタッというのに、ときどき「ちっ」という舌打ちが入るのだ。

うれしくなるイケてる場面です。エルヴィスが出てくるわけではないけれど、ここにはエルヴィスの精霊がいて、サムがいて、スコッティがいます。あるいはジェームズ・バートンが。ビートルズがいます。ストーンズもいます。そればかりではない。ここには「家族」があります。「恋人」があり、ます。磁場は人間が作るんですよね。
ゴミに汚され、治安が悪く、優しさが少なくなった場所が増えるのは、こういう場所が少なくなっていることを意味していると思います。いいロックンロールが聴きたいものです。死ぬまでロックンロールしたいですね。

前後見境なしに突然ですが、エルヴィスのミスター・ベースマン、ビル・ブラックのことをよく思わないエルヴィス・フリークも結構多いようですが、ボクは彼が好きです。あのクマのプーさんのような体型と笑顔とプレーがエルヴィスの歌と動きに似合っていた。いつ見ても大いにうれしい気分にさせてくれます。彼の気持ちを察して、去っていったことを大いに許してしまいます。

それと、プリシラも大好きです、なんたってカワイイ。「エルヴィスを裏切って」というフレーズは、そらちょっと違うやろと言いたくなってしまいます。なんたってカワイイですから。エルヴィスは15歳、16歳のプリシラを合法的に誘拐とはいわないけれど、ラブラブの猛威でドイツからアメリカに飛ばしてしまうすごいことしたんだから、いつでも大切にしてあげてほしかった。なんたってカワイイですから。

この2つはちょっとした気がかりです。怒っている方、できれば許してあげてください。
それと最近やっと『エルヴィス・ミーツ・ビートルズ』を図書館で借りて読みましたが、これにはパーカー大佐を食わされました。要するに『トム・パーカー物語』やないですか。買わなくてよかったとはいえなかなかユニークです。
ロックンロールは素敵です。

エルヴィスファンは間違うことができない

思ひ出の指環

ヘビーなリズムをモロともせずに、シャンソンのような軽さで縦横無尽に歌うエルヴィスの魅力全開。やっぱりキングはこうでなくては。
突き進み突き進み、聴いてるこっちの身体を真っ二つに引き裂いて、身体の奥でかくれんぼしている人見知りな心が飛び出さないと仕方ないまでにテンションをピークに高め、飛び出せと追い込むヴォーカルだ。オーバーダブしたキングのギタースラップも聴かせどころになっている。1958年まばゆいばかりのキングがいる。

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作品の向こうには人間がいます。人間が見えない作品は機械でしかない。

TUPELO, MS - 1937: Rock and roll singer Elvis Presley poses for a family portrait with his parents Vernon Presley and Gladys Presley in 1937 in Tupelo, Mississippi. (Photo by Michael Ochs Archives/Getty Images)

エルヴィスを聴いたらやさしくなれますか?
そのやさしさを誰かにお裾分けしたくなりますか?ブルー・スエード・シューズはお互い様です。「ゴミはどこに捨てるのか」ロックンロール・マナーを教えてあげてください。

エルヴィスを聴いたら仕事は進みますか?やる気が起こってきますか?活入れてロックンロール・デスクしましょう。
リストラされたらサン・スタジオのドアを開けましょう。サンがない時は、隣のドアを借りてください。ロックンロール・ドアはいつでも、誰の前にも待機しています。

エルヴィスを聴いたら料理する気持ちに気合いが入って食べる人を喜ばせてやろうと頑張れますか?ロックンロール・キッチンしてください。
「私は何?」と思ったら、たいやき、アッ、違う。ロックンローラーだと答えてください。ご主人はタイマン?いえいえ、すてきな我が家の人生の編集長です。
ぜひともご家族ですてきなロックンロール・マガジンを編集してください。金ラメ紙スーツは東急ハンズで買えます。通販もしてるようですから、全国津々浦々まで、キングのコピーはOKです。

そういえばボクのキッチンは横歩きしかできませんでした。少ない生活用品がキッチンまで占領していたのです。ボクの知る限り、ショットガン・ハウスは2列縦隊で歩けました。つまりボクはエルヴィス少年に同情している場合ではないのですが、いまのところ妄想がボクを救済してくれています。みなさんは正しくロックンロールしてください。

「あーあ、オレも一瞬だけでもいいから光り輝いているような服、つくってみたいよ。それこそストロボの光みたいに、人が目を背けたくなるようなやつ。」
(『ロックンロール・ミシン』鈴木清剛:著 河出書房新社:刊)

頭のなかではボクが大好きで、キング、エルヴィス・プレスリーがもっとも幸福で楽しそうに聞こえるお馴染み黄金の第2集が鳴り響いています。
正直、いくらキングが光輝いても、猫に小判に近いのですが、<アイ・ニード・ユア・ラブ・トウナイト><ワン・ナイト><恋の大穴><アイ・ベグ・オブ・ユー><思い出の指輪>そして<ア・フール・サッチ・アズ・アイ>が衝動をじゅうたん爆撃しながら、脳内を弾け飛んでいます。

ありがとうございました。

エルビス・プレスリー

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