エルヴィス・プレスリーのホワッド・アイ・セイ/ What’d I Say:1964

2020年、黒人男性が警察官に首を押さえつけられて死亡した事件に抗議するデモが各地で続く中、今度は南部ジョージア州では、警察の取締りから警官のスタンガン銃を奪って逃走した黒人男性が警察官に拳銃で撃たれて死亡。地元警察署長は辞任するという事件が起こった。

ジョージア州は、1979 年4月24日、ジョージア州議会はレイ・チャールズの大ヒット曲のひとつ「わが心のジョージア」を正式な州歌と定めている。
レイ・チャールズは悲しんでいるだろう。彼もエルヴィスと同じく「美しきアメリカ」を歌っていた。

エルヴィス・プレスリーのホワッド・アイ・セイ

大ヒット曲を放って人気を得ている一方で非難されていたアーティストがいた。

1956年のエルヴィス・プレスリーもそうだったが、エルヴィスはゴスペルを取り上げたことで、非難の声を自ら鎮めた。

しかし、この黒人アーティストの場合は、逆だった。
1959年、エルヴィスが軍隊で役に就いていたとき、レイ・チャールズは、「WHAT’D I SAY / ホワッド・アイ・セイ」でゴールド・デスクを獲得、レイ・チャールズ初のミリオンセラーになっていたとき、ゴスペルを大胆にアレンジしたパフォーマンスで、敬虔なクリスチャンから非難されていたのだ。

レイ・チャールズの最高傑作「ホワッド・アイ・セイ」

「WHAT’D I SAY / ホワッド・アイ・セイ」は、レイの最高傑作であり、最大のヒット曲だ。

　「WHAT’D I SAY /ホワッド・アイ・セイ」のヒットによってレイ・チャールズの存在はポップス・ファンの間でも広く知られる様になった。

その前年1958年に軍に入隊したエルヴィス・プレスリーの空白を埋めるきっかけにもなった。

この曲が、世界中にアメリカの黒人音楽の魅力と、その独特のグルーブ感を伝えるのに充分な役目を果たす役割を担った。

　1959年2月のある日。バンドはすでにリハーサルを終えていた。１１時になるとレイ・チャールズがやってきた。３テイクを終えるとレイは速やかにアトランティックのスタジオを去った。

　プロデューサーでありサウンドエンジニアであるトム・ダウドは残されたマスターテープの編集作業に取り掛かった。シングル盤の標準的な長さにするために切り落としていた。
つまりジュークボックスにふさわしい長さだ。

 

マスターには８分からなるものが収録されていた。
切り落とした後の音源には怪しい歌詞も含まれていたが、トムは気がつかなかった。
マスターディスクをアトランティックの本社に送った。
やがて、本社から「削除しろ」とクレームがついた。

ようやくリリースにこぎつけたとき「WHAT’D I SAY / ホワッド・アイ・セイ」は３つのヴァージョンが完成していた。

最初に日本でシングル・リリースされた時、「WHAT’D I SAY /ホワッド・アイ・セイ」は「何と言ったら」という邦題が付けられた。

　ヒットから6ヶ月後、レイ・チャールズは育ての親であるアトランテックを離れ、最高の移籍金と複数年契約を条件にＡＢＣレコードに移籍する。この時、彼はまだ29歳だった。

R&B風味の濃い50年代のアトランティック時代、60年代に入ってからのカントリー・ナンバー等も取り上げて、より広いポピュラリティを獲得したABC時代。

２つのレイ・チャールズを通して、「ホワッド・アイ・セイ」がレイの人生に投げかけた意味は大きい。

エルヴィス、レイ・チャールズを歌う

Elvis sings Ray Charles Live & Studio Recordings with Rare Film Footage

エルヴィス・プレスリーは、レイの作品から「WHAT’D I SAY /ホワッド・アイ・セイ」と共に「アイ・ガット・ア・ウーマン」「愛されずにいられない」、そして、そして、あの「愛しているのに」を生涯歌い続けていた。
https://genkipolitan.com/elvis/cant/

エルヴィス・プレスリーのホワッド・アイ・セイ

「WHAT’D I SAY /ホワッド・アイ・セイ」は主演映画『ラスベガス万才』のデートシーンで使われた。ビートに乗ってノリノリのエルヴィスとダンスがキュートなアン＝マーグレットが印象的なシーン。
シングル盤で「ホワッド・アイ・セイ」はラスベガス万才（Viva LasVegas）のB面に収録された。

『ラスベガス万才』のサウンドトラックアルバムは、リリースさせず、シングルと33回転EP盤だけで、映画公開当時全曲が商品化されたわけではなかった。

『ラスベガス万才』では、自分の中では同名曲、「好きだよベイビー」「レディス・ラブ・ミー」が突出していた。多分、みんな一緒だろう。

エルヴィスの「WHAT’D I SAY /ホワッド・アイ・セイ」は、イントロも忠実に再現して、オリジナルに近いパフォーマンスを披露。エルヴィスがカヴァーしたレイの３曲のなかではいちばん軽く歌った気がする。

イギリスのエルヴィスと呼ばれたクリフ・リチャードの「WHAT’D I SAY /ホワッド・アイ・セイ」はアレンジを効かせて楽しい。1965年に日本で発売した「ダイナマイト」のＢ面に収録されていた。

レイ・チャールズ

　レイ・チャールズ（Ray Charles Robinson, 1930年9 月23日 ～2004年6 月10日）

　７歳で失明、１4歳で孤児になる。盲目の黒人というハンディを背負って、自らのルーツを探すように活動、音楽ひとすじの生涯を過ごした。魂の旅の途中、20年近く麻薬を常用していて、1965年に3度目の逮捕後、ロサンゼルスの更生施設に入所、ようやくヘロインを絶つことに成功した。

1979 年4月24日、ジョージア州議会はレイのもうひとつの大ヒット曲「わが心のジョージア」を正式な州歌と定めている。

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