ボブ・ディラン、一世一代の大傑作<ライク・ア・ローリングストーン>と双璧をなしてます。コレは。
8分を超える大作は正義とともに疾走する。疾走する果てがよくわからないけど、その分、一層アドレナリンが体内を駆け巡る。
あまりの振動にココロを揺らさずに聴くのは至難の技です。揺れまくり必至。
電車で聴いたら倒れます。振り子列車なら失神です。
このハリケーンとは、多くの人々を痛めつけたあのハリケーンではありません。
映画『ハリケーン』が公開されているので、映画を観たら意味がよく分かります。
実際の事件に関連して創られました、
この曲がなんだったのか分かったいま、ボブ・ディランの最高傑作に位置づけても問題ないくらいに素敵。
このシンプルでパワーに満ちた曲によってボブの支持者になった者も多い。
ボブ・ディランの陰気な雰囲気に逃げたくなる人もシビれること間違いなしです。
ボブ・ディラン
の最大の魅力はその声にある。
その声が明確な主張をしたとき、声はさらに威力を増し、無敵なまでにたくましい声になります。
特に<ハリケーン>はウルウルです。
声の魅力でいうなら最高峰にエルヴィス・プレスリーが擧げられます。
ボブの声の魅力はエルヴィスのそれとは異質。
エルヴィスはボブの作った<明日は遠く>を歌っている、聴き比べるとこれが同じ曲かと思うぐらいに違うからおもしろい。
それはアレンジされているわけではなくて、声による違いと文化の違いで曲がまるで変わってしまう。
ハードウェアでは遜色のない日本が、ソフトウェアではアメリカの相手にならないほど弱い。
その理由が分かるような気がします。
それほど両者の声の魅力はドキドキするほど創造的。これぞ!ソフトウェア力です。アメリカの偉大です!
その魅力あふれる声が、<ハリケーン>では一層魅力的に聴く者をなぎ倒す。
倒されてしまってください。気持ちいいですから。
激しい!声がシャウトしているのではない。ボブの文化がラップ状態でシャウトします!
くり返されるフレーズの中に反撃と同じだけ挫折が内包されている。その分激しい。
当然、聴く者は 激しく揺れます。
ただ日々だけが無意味に過ぎていく。気が遠くなりそうな無意味。
単調なサウンドのくり返しが時間の経過とともに「無意味」の凄みを増していく。
ふるえるほどに素晴らしい。
こんな曲とどれだけ出会えるだろうか。
この曲の姿勢はロックンロールの本質そのもの、生きるうえでパンクそのもの。
モーニング娘を8分聴いても人生の8分は過ぎる。
<ハリケーン>を聴いても8分過ぎる。
個人が選択権を持っている。
聴きまくらないと損をする。」それがボクの意見だけどね。
ヨレヨレになるまで聴こう。元気になれる。
この曲を収録したアルバム『DESIRE/欲望』はボブ・ディランのキャリアを代表する素晴らしい一枚です。