マディ・ウォーターズが、こう歌ったことは知ってるよね。
「もうじき男の子が生まれる、ローリング・ストーンになる子が」
そして生まれたぞ----地上最強のロックンロール・バンド。
ベガーズ・バンケットで、本当のローリング・ストーンズが誕生した。
トイレで生まれたストーンズは成人してメイン・ストリートのならず者になったわけだよね。
そして、地上最強の幸福な気分にしてくれるロックンロール・バンドになった!
ここに最高最強にして目茶目茶にカッコいいローリング・ストーンズがいる。
これを聴かずにロックは語れないでしょうに。
メイン・ストリートのならず者を頂点として、ローリング・ストーンズのそれは、
ここまでやれば、
音楽というよりは、神様との交歓だ。
このジャケット通りのローリング・ストーンズがいる。
「メイン・ストリートのならず者」の邦題はぴったり決まった。
1.ロックス・オフ
2.リップ・ディス・ジョイント
3.シェイク・ユア・ヒップス
4.カジノ・ブギー
5.ダイスをころがせ(タンブリン・ダイス)
6.スウィート・ヴァージニア
7.トーン・アンド・フレイド
8.黒いエンジェル(スウィート・ブラック・エンジェル)
9.ラヴィング・カップ
10.ハッピー
11.タード・オン・ザ・ラン
12.ヴェンチレイター・ブルース
13.彼に会いたい
14.レット・イット・ルース
15.オール・ダウン・ザ・ライン
16.ストップ・ブレイキング・ダウン
17.ライトを照らせ
18.ソウル・サヴァイヴァー
なによりトップを飾る<ロック・オフ>のすさまじい快楽!
これぞロックンロールの快作!これを聴いたまま眠れたら幸福だよね。
布団のなかに天使が入り込んでくるような期待をしてしまってもいいかも?
かくいうボクは、スターバックスの窓越し・・・ビニール傘をさして歩く愛しのマドンナのテーマソングにしていますよ。
続く<リップ・ディス・ジョイント>は、<ロック・オフ>で悩殺された頭の風景そのままに、転がしてくださいませの感じ。
サックス炸裂でロックンロール最高!
その勢いそのままに<シェイク・ユア・ヒップス><カジノ・ブギー>は、ブルース万歳、音楽への愛への態度はさすがです。
ストーンズの魂と力を感じますね。
このアルバムには有名なシングルにして、総立ち確約の<ダイスをころがせ/タンブリン・ダイス>が収録されている。
静寂を打ち破るようにギター、続くドラムスのイントロが聴こえると身体が喜びます。
このゆったりとして息が合ってしまうグルーヴに包まれると、ああストーンズがいてくれて良かったなと思いますよ。
それほどこの曲はストーンズっぽい。
それにしても、あまりにもアルバム全体のレベルが高いので、この人気曲でさえかすんでいます。
おそらくストーンズ自身も、どれをメインディッシュにしたらいいのか迷ったと思いますね。
続いて、病みつきになる<スウィート・ヴァージニア>は、大好きな幸福になれる楽曲&パフォーマンスに手拍子、足踏み、躍りたくなる。
ボクはこの曲が大好き。またこういう曲をやっているストーンズが大好き。
彼らはエルヴィスの地元であるメンフィスでコンサートしたとき、エルヴィスのもっとも有名な<ハウンドドッグ>を熱演しているけど、自分たちのルーツに対して畏敬の念をもって接している。
どんなにビッグになっても率儀なところにも惹かれますね。
このアルバムは全体的に、何かを訴えている。反戦や貧困のようにはっきりしたメッセージがあるわけではない。
それよりもっと確かで強く嘘のないメッセージが伝わってくる。それって多分いのちそのもの、生きることのよろこびなんだろうけど、歌い演奏し、声で楽器で思い切り潔く迫ってくるのが気持ちいいわけで、<スウィート・ヴァージニア>はその代表と言えます。
お次は一転、非常に複雑なロックナンバー<トーン・アンド・フレイド>になるあたりにストーンズの根性を感じます。
この曲を聴いていると、あの石井輝男監督の映画を思い出しますね。
「え、なんでこうなるの?」みたいな筋が全然つながっていない展開。
石井輝男
監督の映画って突然予期せぬ展開に変わるじゃないですか。
それをワザとしているところが技というか趣味なんですが、まさにこの曲がここに出てくるところが、ストーンズの技ですね。
でも、それって長くやり続けるための技術なのかも知れないですね。
<黒いエンジェル(スウィート・ブラック・エンジェル)>は、カントリー調のシンプルな曲。
黒いエンジェルというタイトルからして意味深だけど、このような楽曲をどれだけ黒くやるかというところに、ストーンズの心意気を感じておもしろいです。
ブルースへ傾斜していても、誰でもできない。ごまかしがきかないですよ。こういうことが平然とできたのはエルヴィス・プレスリーだけだったと思うけど、ストーンズはそれを突破していってる。
次はすでに1969年、ハイドパークでのブライアン・ジョーンズの追悼コンサートで演奏していた<ラヴィング・カップ>だけど、この曲もパワーアップしている。
アルバム2枚目のトップにポジショニングされたキースのボーカルと歌詞がぴったりにして、繊細なギターが踊る<ハッピー>
アメリカでは、アルバムから2枚目のシングル・リリースされました。<オール・ダウン・ザ・ライン>がB面としてリリースされています。
<ヴェンチレイター・ブルース>は、とっても楽しい。<レット・イット・ルース>は2枚目C面のファイナルとしてこれ以上ない楽曲。
2枚組アルバムのD面トップにポジショニングされていた<オール・ダウン・ザ・ライン>は、最初シングル・リリースされる予定だった曲。
土壇場で急遽 <ダイスをころがせ>に変更された。結局本国ではリリースされずに終わった。
D面トップで、さあ、いまからラストの大暴れ、行くぜ!と言わんばかりの<オール・ダウン・ザ・ライン>・・・線路に沿って・・・・は、とっても男気を感じる勢いに満ちたナンバーだ。本国でシングルA面リリースされていたらもっと愛された楽曲になったはず。
怒濤のロック&ブルース・ティストは続く 。
<ストップ・ブレイキング・ダウン>はロバート・ジョンスンの原曲をストーンズが愛情をこめて、それゆえに自分たちらしく、ていねいに演奏したんだろうなと思う楽曲。
とにかく目茶目茶カッコいい。その彼らのあり方、心の入れ方が完全にまとまって音と声に昇華した様がカッコいい。
文句なしに、 このアルバムの価値を高めている。
こんなのを聴いていると、訳の分からん日本の女性ミュージシャンが、ブルースだなんて歌わずに、おとなしくしておいて欲しいと願ってしまいます。だって誤解で本物を汚してしまわないかと心配になる。
アルバムの終点に向かって異色な<ライトを照らせ>が、その終わりにミックの声が悲しいまでにシャウトすれば、最終曲<ソウル・サヴァイヴァー>で魂の饗宴を演奏する。
とにかくローリング・ストーンズは、べらぼうにカッコいい。
好みの問題なんだろうけど、ビートルズより断然カッコいいと思う。特に「メイン・ストリートのならず者」のローリング・ストーンズはカッコいい!
この前、キースを知らない最近の女性に、待たせた挙句にキースの写真を見せたら、そのシワの迫力に引いたね。
そら、お城の堀のように深いシワが無数にあるんだから。
えっ!こんなおじいさんが地上最強のロックバンド?と思ったわけ。
思わず、 違う、違うって懸命に訴えたよ、地上最強のロックンロール・バンドだよって。
それにしても、こんなにカッコいいおじいさん、世界中探したって、そうそう出会えるもんじゃない。
感動だよ、全面的に感動しようよ。
おじいさんになるほどカッコいい。団塊の世代がどうのこうのって言われるけれど、、その理想だね。
つまりアイドルにどんどんなっていってるわけだけど、実力がすごいじゃないですか!
それがカッコいい。勇気が演奏しているようなもんだね。
ロックンロールはその昔、シングル盤にこそ命があった。
3分に満たない一本勝負。だけどそこには満面の笑みが溢れてる。
ローリング・ストーンズもそういうロケン・ロールまるだしのバンド。
ビーチボーイズVSビートルズの決闘は、ロケンロールをアルバム上の戦いにしてしまった。
ビートルズ=神のような一辺倒の音楽界にあってロックンロールは衰退した。
が、しかし、ストーンズは騙されなかった。
すぐに自分たちは何者かを知って戻ってきた。
そして決めた!アルバム「ベガーズ・バンケット」で地上最強のロケンロール・バンドになった気がする。
つまりロックンロールの危機を救った。
そしてそのウップンを爆発させたかのようなアルバム「メイン・ストリートのならず者」が出来上がった。
アルバムと言っても、コンセプトくそくらえ!俺たちがコンセプトだと言わんばかりのやりたい放題の一枚は
最高傑作となった。
ふるさとを遠く離れてしまったR&B,カントリー、アメリカ・ロックンロールの原点に帰って、ブルースに魂を捧げた男たちの心意気が熱くて、涙が出るよ。メイン・ストリートのならず者に感謝。
それでも、ロックンロールはやがてロックになり、ストーンズの悩殺ギター男 キース・リチャーズに「ロールはどこに行った?」と言わすに至った。
それが寂しい人には、きっと通じる、男の気持ち。
1972年に発表した傑作。聴かないのは一生の損。「メイン・ストリートのならず者」
是非おすすめの大傑作です。
聴くほどに幸福な気分になれる!
だからローリング・ストーンズはエライ!