トウッティ・フルッティ/Tutti Frutti:1956

エルヴィスがいた。

行け!行け!どんどん宇宙の涯まで!これがエルヴィスだ!

最後まで自分のことを「キング・オブ・ロックンロール」と呼んで神父になってしまったリトル・リチャード。映画『ELVIS』でもビールストリートでシャウトしている姿がかっこいい。

エルヴィスもごきげんで、「この曲を歌いたい」と言うとB.Bキングが「君なら彼の何倍も売れるよ」と囁くシーンが印象的、事実、エルヴィスはリトル・リチャードが自分のキャリアに大きな影響を与えてくれたと感謝しており、リトル・リチャードもエルヴィスがロックンロールの道を大きくしてくれたと感謝を隠さない。白人と黒人が同じバスに乗ることができたのは、二人が出会った6年後だった。

トウッティ・フルッティ/Tutti Frutti>は、1956年の作品でリチャード・ベニマン名義で創作。エルヴィスはシンプルなR&Rとしてすぐにカヴァー『エルヴィス登場』に収録している。

リトル・リチャード

トウッティ・フルッティ/Tutti Frutti

エルヴィス・プレスリーの葬儀

ワップ・ボンブ・ア・ルーム・ホップ・ア・ロップ・バム・ブーン
トゥッティ・フルッティ、アー・ルッティ
トゥッティ・フルッティ、アー・ルッティ
トゥッティ・フルッティ、アー・ルッティ
トゥッティ・フルッティ、アー・ルッティ
トゥッティ・フルッティ、アー・ルッティ
ワップ・ボンブ・ア・ルーム・ホップ・ア・ロップ・バム・ブーン

スーって名前の彼女がいるんだ
とっても気のきくいい娘
スーって名前の彼女がいるんだ
とっても気のきくいい娘

彼女はオレを東にロック
そしたら今度は西にロック
彼女はオレのお気に入り
トゥッティ・フルッティ、アー・ルッティ
トゥッティ・フルッティ、アー・ルッティ
トゥッティ・フルッティ、アー・ルッティ
トゥッティ・フルッティ、アー・ルッティ
トゥッティ・フルッティ、アー・ルッティ
ワップ・ボンブ・ア・ルーム・ホップ・ア・ロップ・バム・ブーン

デイジーって名前の彼女がいるんだ
愛しくっておかしくなりそうさ
デイジーって名前の彼女がいるんだ
愛しくっておかしくなりそうさ

どうやってオレを愛せばいいか
ホントによく知ってるんだ
彼女のしてくれることったら最高さ

トゥッティ・フルッティ、アー・ルッティ
トゥッティ・フルッティ、アー・ルッティ
トゥッティ・フルッティ、アー・ルッティ
トゥッティ・フルッティ、アー・ルッティ
トゥッティ・フルッティ、アー・ルッティ
ワップ・ボンブ・ア・ルーム・ホップ・ア・ロップ・バム・ブーン
ゴー!

トゥッティ・フルッティ、アー・ルッティ
トゥッティ・フルッティ、アー・ルッティ
トゥッティ・フルッティ、アー・ルッティ
トゥッティ・フルッティ、アー・ルッティ
トゥッティ・フルッティ、アー・ルッティ
ワップ・ボンブ・ア・ルーム・ホップ・ア・ロップ・バム・ブーン

デイジーって名前の彼女がいるんだ
愛しくっておかしくなりそうさ
デイジーって名前の彼女がいるんだ
愛しくっておかしくなりそうさ
どうやってオレを愛せばいいか
ホントによく知ってるんだ
彼女のしてくれることったら最高さ

トゥッティ・フルッティ、アー・ルッティ
トゥッティ・フルッティ、アー・ルッティ
トゥッティ・フルッティ、アー・ルッティ
トゥッティ・フルッティ、アー・ルッティ
トゥッティ・フルッティ、アー・ルッティ
ワップ・ボンブ・ア・ルーム・ホップ・ア・ロップ・バム・ブーン
Year!

今夜限りの「アメリカン・グラフティ」なんか、ぶっとばせ!

アメリカングラフィティ

監督・脚本ジョージ・ルーカスのヒット作『アメリカン・グラフティ』は,白人と黒人が同じバスにのれるようになった1962年のカリフォルニアの小さな町が舞台。大学のために翌日には町を旅立つ高校生の夕刻から翌朝までの今夜限りの出来事を描いている。
注目は音楽。物語を象徴するように50年代のヒット曲と60年代のヒット曲が入り混じっている。

50年代エルヴィスは、アメリカをティーンエージャーの国と大人の国に分断した。分断するつもりはなかったが、大人の国しかなかったから奪い取ったのだ。

そのお陰で刑務所か軍隊かの選択を迫られる。危険分子と見なされたエルヴィスらがロックンロールで占領。追っ払った大人の音楽は一旦消えたが、エルヴィスが徴兵されたのを筆頭に、過激な50年代の戦士たちが微罪で投獄され、あるいは事故死に追いやられ、リトル・リチャードは神父に転職した。

ジョン・レノンが言った「エルヴィス以前にはなにもなかった」というのは、「ティーンエージャーの国」はアメリカにもイギリスにも世界のどこにもなかったということだ。
60年代のヒット曲は見かけはともかく実質的にはティーンエージャーを装った大人の音楽の再来でしかない。エルヴィスが奪い取ったものは、奪い返されたのだ。

黄色いフォード デュース クーペとキャロルとビーチボーイズ

アメリカングラフィティ

高校を出て2年。黄色いフォード デュース クーペを乗り回し、まだ町に留まっているジョン(ポール・ル・マット)は、「バディ・ホリーがいなくなり、ロックンロールは終わった。ビーチボーイズ・・・ガキの音楽だ」という。

ガキの音楽=無害な大人の音楽という意味だ。エルヴィス登場以前の従来どおりの、なんの変化も改革もない、人畜無害なつまらない大人の世界の価値として、コニー・フランシス、ニール・セダカ、ボビー・ライデル、ボビー・ヴィー、リッキー・ネルソン、フランキー・アヴァロン、フェビアン、ポール・アンカ、パット・ブーンたちがいて、彼らの少しもすぐれてはいないロックンロールは優れたものと同じように、そして時にはそれ以上に、売れていた。

サーフィン音楽やビーチ映画、その代表として、チャック・ベリーをコピーしたビーチ・ボーイズがいたが、13歳のキャロルには最先端に見えるが、ジョンは町から出ない大人になることを否定した不良のプライドをかけて否定する。ビッグ・ジョン・ミルナーは、50年代のロックンロール・ヒーローを追うように2年後の1964年12月、酔っ払い運転の車との事故により死亡する。

『アメリカングラフィティ』は、逃避を拒み黄色いフォード デュース クーペを乗り回すビッグ・ジョン・ミルナーキャロルがいなければ、成立しない映画だ。
映画は、今夜と明日を境界にしてティーンエージャー(50年代)から旅だち大人(60年代)に到着する若者を描いていて、町から逃避するデル・シャノンの<悲しき街角>に代表されるように大半は、60年代の曲だ。つまり『アメリカン・グラフティ』は懐メロ映画ではなく大人に脱皮していく、あるいは拒んだ若者たちの切ない映画なのだ。

『アメリカングラフィティ』に使用された楽曲

アメリカングラフィティ

『アメリカングラフィティ』に使用された楽曲

  • ロック・アラウンド・ザ・クロック(ビル・ヘイリー&ザ・コメッツ)
  • シックスティーン・キャンドルズ(ザ・クレスツ)
  • 悲しき街角(デル・シャノン)
  • 恋は曲者(フランキー・ライモン&ザ・ティーンエイジャーズ)
  • ザットル・ビー・ザ・デイ(バディ・ホリー&ザ・クリケッツ)
  • アット・ザ・ホップ(フラッシュ・キャディラック&ザ・コンチネンタル・キッズ)
  • シーズ・ソー・ファイン(同上)
  • ルイ・ルイ(同上) ※サウンドトラック・アルバムに未収録
  • シー・ユー・イン・セプテンバー(ザ・テンポズ)
  • サーフィン・サファリ(ザ・ビーチ・ボーイズ)
  • 煙が目にしみる(プラターズ)
  • 涙のチャペル
  • リトル・ダーリン
  • ペパーミント・ツイスト(ジョイ・ディー&スターライターズ)
  • バーバラ・アン(リージェンツ)
  • ブック・オブ・ラヴ(モノトーンズ)
  • メイビー・ベイビー(バディ・ホリー&ザ・クリケッツ)
  • ヤ・ヤ(リー・ドーシー)
  • グレイト・プリテンダー(プラターズ)
  • エイント・ザット・ア・シェイム(ファッツ・ドミノ)
  • ジョニー・B・グッド(チャック・ベリー)
  • 瞳は君ゆえに(フラミンゴス)
  • ゲット・ア・ジョブ (ザ・シルエッツ)
  • 踊ろよベイビー(ボビー・フリーマン)
  • カム・ゴー・ウィズ・ミー(ザ・デル・ヴァイキングス)
  • ユア・シックスティーン(ジョニー・バーネット)
  • 恋の特効薬(ザ・クローバーズ)
  • シンス・アイ・ドント・ハヴ・ユー(ザ・スカイライナーズ)
  • シャンティリー・レース(ビッグ・ボッパー)
  • ティーン・エンジェル(マーク・ダイニング)
  • グリーン・オニオン(ブッカー・T&ザ・MG’s)
  • オンリー・ユー(プラターズ)
  • オール・サマー・ロング(ザ・ビーチ・ボーイズ)

『アメリカングラフィティ』に「キング・オブ・ロックンロール」別格であるエルヴィスの歌は挿入されていない。

今夜限りを描く映画がそうであるように、音楽もティーンエージャーと大人が入り混じっているのだ。50年代のロックンロール戦線を駆け抜けた戦士たち。バディ・ホリーはなく、チャックベリー、ジェリー・リー・ルイスらはいなくなり、60年代のヒット曲に入れ替わる。

現状維持を否定する男たちの”Tutti frutti”


Wo p-bo p-a-Ioom-bo p-a-lo p-bam-boom
Tutti frutti, ah rutti
Tutti frutti, ah rutti
Tutti frutti, ah rutti
Tutti frutti, ah rutti
Tutti frutti, ah rutti
Wo p-bo p-a-loom-bo p-a-Io p-bam-boom

l got a gal named Sue
She knows just what to do
l got a gal named Sue
She knows just what to do

She rocks me to the east
She rocks me to the west
She’s the gal that I Iove best

* Tutti frutti, ah rutti
Tutti frutti, ah ruttl
Tutti frutti, ah rutti
Tutti frutti, ah rutti
Tutti frutti, ah rutti
Wo p-bo p-a-Ioom-bo p-a-lo p-bam-boom

** I got a gal named Daisy
She almost drived me crazy
I got a gal named Daisy
She almost drived me crazy

~** She knows how to love me
Yes, indeed
Boy, you don’t know what she do to me

* Repeat twice

* Repeat

*** Repeat

* Repeat

『アメリカングラフィティ』に登場する主要人物のひとり。高校を出て2年。黄色いフォード デュース クーペを乗り回し、まだ町に留まっているジョン(ポール・ル・マット)は、「バディ・ホリーがいなくなり、ロックンロールは終わった。ビーチボーイズ・・・ガキの音楽だ」といった。ガキの音楽=人畜無害な大人の音楽という意味だ。バディ・ホリーとクリケットは、もっとも熱心なエルヴィスのフォロワーであり、ビートルズのモデルだった。
しかしエルヴィスがアメリカから奪い取った『無邪気で自由でワクワクするティーンエージャーの国』が、ヴェトナムの戦火に捧げられても、人々は永遠に忘れない。ロックンロールは食後にちょっと聴くような音楽ではないと軍服を着せられドイツに送られる前にエルヴィスは呪文のように言い残していった。
Wo p-bo p-a-Ioom-bo p-a-lo p-bam-boom

エルヴィスは生き方,2歳から学ぶ200年ライフのあそび方

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